幻想的な魅力を放つムーンストーン|価値や種類・ストーリーなど徹底解説

柔らかい月の光のような幻想的なカラーが特徴的で、神秘的な魅力が人々を惹きつけるムーンストーン。アクセサリーとして身につける人も多く、時代や年代にとらわれず人気を集めている石種です。
この記事ではそんなムーンストーンの特徴やカラーの魅力、さらにはムーンストーンが持つストーリーや鉱物的な観点など、より深いところまでを解説します。ストーリーや背景を知ることでさらに石について詳しくなると、もっとムーンストーンの虜になるはずです。
▶ TOP STONE で販売中のムーンストーン
1. 宝石・ルースとしてのムーンストーン

まずはムーンストーンの宝石・ルースとしての特徴について詳しく解説していきます。
幻想的な輝きを放つムーンストーンは、コレクションとして飾ったり、アクセサリーとして身に着けているだけで、気分も高揚するような美しい宝石です。しかし、自分好みのムーンストーンを見つけるためには、どのようなムーンストーンに価値があるのか、どのような種類のムーンストーンがあるのかを知ることも重要です。
ムーンストーンの宝石としての価値を学ぶことで、自分にとって特別な一粒を見つけられるはずです。
■希少価値の高いムーンストーンとは
どのようなムーンストーンが良質とされるのか、また特殊な光学効果をもつムーンストーンをご紹介します。
▶クオリティの基準
ムーンストーンは透明なもののほうがより良質であると判断されます。
しかしムーンストーンは半透明であることがほとんどで、透明な個体にであえることはめったにありません。
ですがごく稀に、透明なムーンストーンが発見されることがあります。
透明なムーンストーンはその希少性はもちろん、シラーの輝きが特に美しいことから、非常に高い価値がつけられているのです。市場で出会えることは滅多にありませんが、もし出会えた時は非常に運が良いと言えます。
透明度だけでなく、内包物の有無もムーンストーンの価値を大きく左右します。
ムーンストーンの内包物でもっとも典型的なのは、応力により入る細長い亀裂。
ムーンストーンの内包物である細長い亀裂は、足の数が多い細長い生物のように見えるため『ムカデ』と呼ばれています。ムカデときくとあまり良いイメージを持たない人もいるかもしれませんが、ムーンストーン特有のムカデには独特の魅力があります。
内包物が多いと宝石・ルースとしての価値は低くなりますが、一方で同じ内包物は世界にふたつとありません。その石だけが持つ特別な魅力、ムーンストーンの内包物にもぜひ注目していただきたいと思います。
▶キャッツアイ効果を持つムーンストーン
ムーンストーンの中にはキャッツアイ効果(猫目効果)が現れるものがあります。
キャッツアイ効果とはその名の通り、猫の目のスリットアイに似ている独特の光の反射が起きることを指し、シャトヤンシーとも呼ばれます。

キャッツアイ効果がみられるムーンストーンは『キャッツアイ・ムーンストーン』と呼ばれます。
ムーンストーンのシラーとキャッツアイ効果、ふたつの光の反射が組み合わさることは非常に稀で、キャッツアイ・ムーンストーンは世界でも価値があり人気のあるムーンストーンの一つとして扱われています。
キャッツアイ効果自体は非常に珍しいもの。 さらにキャッツアイ効果はどの宝石にもあらわれるものではありません。 キャッツアイ効果がみられるのはムーンストーンを始め、 クリソベリル、アパタイト、アクアマリン、トルマリン など、限られた宝石にしか見ることができません。
▶スター効果をもつムーンストーン
キャッツアイ効果ではなく、星の形をした光が宝石表面に現れるスター効果をもつムーンストーンもあります。
しかし出会えることはこちらも非常に稀で、価値が高いムーンストーンです。
スター効果は、針状結晶の内包物をもつ宝石を、カボションカットと呼ばれる形に加工することで出現するとされていますが、必ず出現するというわけではありません。
キャッツアイ・ムーンストーンと同じく、ふたつの光学効果をもちあわせたムーンストーンは非常に希少価値が高いのです。
▶虹色に輝くレインボームーンストーン
*レインボームーンストーンについてはこちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひ読んでみてくださいね。

虹色の光彩が美しいレインボームーンストーンも高い人気と価値を誇ります。
しかし、このレインボームーンストーンは、ムーンストーンと同じくフェルドスパー(長石)の一種ではありますが、若干の違いがあるのをご存知でしょうか。
ムーンストーンとは、フェルドスパーグループの中の『オーソクレース+アルバイト』という成分を持つものに付けられた宝石名。
一方で、レインボームーンストーンは同じフェルドスパーグループのなかの『ラブラドライト(ラブラドル長石)』などの変種であり、ムーンストーンのように正式な宝石名として認められた名前ではありません。虹色の光学効果からムーンストーンのイメージをもたれ、レインボー・ムーンストーンという通称名(コマーシャルネーム)で呼ばれています。
実際にはムーンストーンではなく、多様なラブラドライトなのですが、宝石取引においてはムーンストーンとしてよく扱われているのです。
■ムーンストーンの輝き

ムーンストーン最大の特徴は、その美しい輝き。
青白い光が内側から放たれているような神秘的な輝きは、まさに月明かりのようです。ムーンストーンの内側に見える青白い光のことを『シラー効果』と呼びます。『アデュラレッセンス』『シーン』とも呼ばれるこの光学効果をもつ長石に与えられるのが、ムーンストーンという宝石名なのです。
■カラーバリエーションとその魅力
ムーンストーンはカラーによって印象が大きく変わる宝石です。
ムーンストーンのカラーは長石の種類の組み合わせによって大きく変化します。その中でも、ブルーやホワイトなどのカラーがより透明度は高くなり、内側から放つムーンストーン独特の輝きがはっきり見て取れるので価値が高くなります。
▶ブルームーンストーン

ブルームーンストーンは、青というよりどちらかといえば水色にちかいミルキーな印象です。
まるで雨上がりの葉の上にある水滴に光が集まりゆらめくその輝きは、見る角度によっても印象が変わりその美しさに心を奪われます。ブルームーンストーンを一言で説明するのは非常に難しいため、後述の【鉱物種名と宝石名の関係】でも解説しております。
*ブルームーンストーンにつていは別の記事で詳しく解説します。
▶オレンジムーンストーン

オレンジムーンストーンはこっくりとしたミルキーなオレンジカラーで、暖かく優しい印象が魅力です。色味がはっきりすればするほど、シラー効果は見えづらくなります。
▶グレームーンストーン

灰色のムーンストーンもあり、グレームーンストーンとして親しまれています。
グレームーンストーンは神秘的な風合いにファンも多いカラーです。グレーカラーの範囲についても大きな決まりが無く、個体によってグレーの濃さや色味も変わるので自分好みの1粒を見つけることも楽しみの一つといえます。よりグレーが濃く黒に近いムーンストーンはブラックムーンストーンと呼ばれることも。ブラックムーンストーンはシラーの美しさそのままに、よりクールでシャープな印象を与えるため男性からも人気があるカラーです。
■ムーンストーンにまつわる逸話

ムーンストーンはその名のとおり、月を象徴とした石です。
内側から発する青白い光が月の光に見えたことから、インドのヒンドゥー教では『月の光が凝固してできたのがムーンストーンである』と言われています。ムーンストーンから発せられるシラーは、柔らかく静かに私たちを照らす月の光を連想させてくれます。
また、ムーンストーンはその神秘的な光を放つことから、古代より聖なる石として重宝されてきました。
古代ローマではムーンストーンの中に月の女神ダイアナが宿るとされ、狩猟、貞節に携わる人にはお守りのような石として扱われていたようです。
ムーンストーンはその輝きと柔らかな印象から女神が宿る石とされることも多く、女性を連想させる言い伝えも多くあります。また、月の満ち欠けによりその光が変化することから、『未来を予知できる石』とも言われ、政治家や農業・漁業など未来をよむことが大切な職業と深い関わりを築いてきました。
『満月の夜にムーンストーンを口の中に入れると未来がみられる』という伝説もあり、ムーンストーンが聖なる石として扱われてきたことがよくわかります。
■ムーンストーンの主な産地

ムーンストーンは以下の国で採れることが確認されています。
アルプス山脈
インド
オーストラリア
スリランカ
タンザニア
ノルウェー
ポーランド
マダガスカル
メキシコ
ミャンマー
ムーンストーンを含むフェルドスパー(長石)は、一般的に宝石が産出されるといわれる鉱脈で数多く採掘することができます。
2. 鉱物としてのムーンストーン

続いては、ムーンストーンを鉱物的視点から詳しく解説していきます。
宝石としての美しさやストーリーだけでなく、鉱物としてムーンストーンの理解を深めることでより興味や関心が湧くはずです。
■組成について
ムーンストーンは、長石の一種。その中でも斜長石に属する鉱物です。
英名 | Moonstone(ムーンストーン) |
和名 | 月長石(げっちょうせき) |
成分 | K[AlSi3O8] ・カリウム・アルミニウム珪酸塩鉱物 |
結晶系 | 単斜晶系 |
モース硬度 | 6-6.5 |
屈折率 | 1.518~1.526 |
劈開 | 二方向に完全 |
色 | 白、青、桃、橙、緑、灰、黒など |
主な産地 | オーストラリア、アルプス山脈、ミャンマー、インド、スリランカ、メキシコ、マダガスカル、ノルウェー、ポーランドなど |
灰長石と曹長石の二つの鉱物の成分を持ち合わせているため『曹灰長石』や『亜灰長石』が多く見られます。
長石の中でもアデュラレッセンス(シラー効果)と呼ばれる光学効果を持っているものだけがムーンストーンという宝石名を与えられるため、非常に貴重な鉱物です。
■形成方法について

ムーンストーンは、地中のマグマが結晶化されることにより形成される鉱物です。マグマが地中で冷却され鉱物となり、その鉱物の条件が揃えば結晶化され宝石となります。全ての鉱物が結晶化されるわけでは無く、条件が合わなければただの集成岩になってしまうのです。
マグマの結晶化により出来る宝石はムーンストーンだけではなく、サファイアやルビーも同様な形成方法。そのため、条件が異なればムーンストーンではなくサファイヤやルビーなど他の宝石になります。
ムーンストーンは形成中にオーソクレーズとアルバイトが交互に層に分離することで、薄い層となり、光が当たるとアデュラレッセンス(シラー効果)を生み出せるのです
■鉱物種名と宝石名の関係
ムーンストーンという名は、鉱物種名としては存在しません。あくまでも、長石の中の特殊な光学現象(シラー効果)を見せる鉱物に対する宝石名です。
そのため、別の鉱物でありながらムーンストーンとして扱われることもしばしば。代表的なムーンストーンといわれる、最初にムーンストーンという名を与えられたオーソクレース+アルバイトの組み合わせばかりではなく、ほかの組み合わせでも独特な光学効果を見ることができます。
たとえば、シラー効果が美しく見え、幻想的な輝きを見せることからムーンストーンのなかでも人気が高いブルームーンストーン。ですが、現在市場に出回っているものはムーンストーンではなくペリステライト、もしくは虹色の光学効果が出ないラブラドライトのみ。ムーンストーンが発掘された初期にはごく稀にブルーのシラーを放つものもありましたが、現在出会えることはほとんどありません。
しかし、ペリステライトやラブラドライトで鑑別のでるブルームーンストーンも、ムーンストーンと同じくフェルドスパー(長石)の一種ですので決してまがい物というわけではないのです。
そのため、これからも新しいムーンストーンが発見されるのではないかという可能性を秘めています。
3. ムーンストーンをより楽しむために

ここでは、ムーンストーンにどのような楽しみ方があるか、どのような石言葉をもつのかなどを解説していきます。いろいろな楽しみ方を知っておくと、ムーンストーンの美しさを最大限に発揮し、いろいろな可能性を広げ宝石として楽しめるようになるはずです。
■誕生石&石言葉

ムーンストーンは6月の誕生石です。
『愛の予感』『健康』『幸運』などの石言葉を持っています。
月を象徴するムーンストーンには健康や恋愛、幸福を引き寄せるパワーがあるとされ、幸運のお守りとしても重宝されている宝石です。恋を成就させる力も持つと信じられており、『恋人たちの宝石』としても扱われることから、贈り物としても人気があります。
■ムーンストーンの加工について

ムーンストーンはストランドのビーズとして成形されることもあります。
ムーンストーン最大の魅力であるシラー効果を最大限に引き出すために一般的にはカボションカットで加工されることがほとんどです。ムーンストーンのカボションカットは楕円形が一般的ですが、四角形であったり角度のついたカボション(テーパーシュガーローフ)などのカットが施されたものもあります。
カボションカットされたムーンストーンを選ぶ際に注意したいのは、側面が平坦すぎないかどうか。極端に平坦になったカボションカットの場合、あまり光沢をあらわさないためムーンストーンの価値が劇的に下がります。
また、ムーンストーンは愛嬌のある笑みを浮かべる『マン・イン・ザ・ムーン』の顔など装飾ジュエリーのエレメントとしても人気がある宝石です。
ムーンストーンが放つ楽しく複雑で生き生きとした光学効果が、見るたびに表情を変化させるため見飽きることもなく長く楽しめると人気があります。
天然石・レアストーン・誕生石ならトップストーン
トップストーンは、国内最大級の天然石輸入卸問屋「株式会社ウイロー」が運営するルース専門の通販サイトです。世界中から買い付けたレアストーン、誕生石を販売しております。パライバトルマリン、タンザナイト、サファイアなどの宝石、ルースなど。豊富な品揃えから、天然石やパワーストーン、カラーストーンをお選び頂けます。
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天然石の市場価格は、決して安定しているとは言えません。常に変動する相場の中、トップストーンでは、最新の天然石の相場・平均価格を熟知しております。世界情勢や市場の動向をいち早くキャッチアップし、適切な価格を提示しておりますので、安心してご購入いただけます。
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株式会社ウイローでは、40,000点以上の石を、鉱物・原石から宝石、ルースまで取り扱っております。また、弊社独自の調査により、入手難易度レベルを作成。入手困難な希少な天然石もトップストーンならば仕入れ可能です。
第3者鑑別機関のチェック済み
弊社で扱っている宝石、ルース(天然石)の数々は、商品名には流通名または宝石名を記載して販売しております。中立の立場である第3者鑑別機関に鑑別しているため、安心してご購入いただけます。
※TOPSTONEでは、鑑別・ソーティングを概ねA.G.L加盟の鑑別機関にお願いしております
▼鑑別・ソーティングについては以下ページにて詳細をご確認いただけます
4. まとめ
ムーンストーンは月の光のような幻想的な光を放ち、神秘的かつ柔らかな風合いから古代より愛されてきた宝石です。
ブルーやオレンジなど、豊富なカラーバリエーションもあります。より透明度が高く、シラー効果が美しく見えるものの価値が高いため、選ぶ際は透明度もひとつの基準とするといいかもしれません。
その美しさから古代より人々を魅了し、現代も年代性別とわず愛されているムーンストーン。
さまざまな種類があり、個体によっても特徴が変わるので、ぜひ自分好みのお気に入りを見つけてください。
ムーンストーンについてもっと踏み込んでみたい方は、レインボームーンストーンとブルームーンストーンの記事も合わせてご覧くださいね。
▶ TOP STONE で販売中のムーンストーン
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この記事を書いた人

TORACO
TOP STOneRY / 編集部ライター
トップストーン編集部がお届けする「トップストーリー」メディアでは、古くから愛されている誕生石の歴史やエピソード、最新のレアストーンの特徴、宝石の楽しみ方をわかりやすく解説しています。「天然石の魅力をもっと多くの方に知ってもらいたい」という想いで、個性溢れるライターが情報発信しています。