オーロラのように浮かび上がる神秘の輝き | レインボームーンストーンの基本情報と詳細を徹底解説

レインボームーンストーンはトロンとした地色に7色の光を放つ、とても不思議な宝石です。通常のムーンストーンより希少でなかなか見ることができない宝石で、それだけに人気も高いです。
勘違いされていることも多いのですが、レインボームーンストーンは本当はムーンストーンではありません。どういうことなのか、基本情報、特徴、産地、鉱物、その他の楽しみ方を踏まえてお伝えいたします。
*「ムーンストーン」について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
▶ TOP STONE で販売中のレインボームーンストーン
1.宝石・ルースとしてのレインボームーンストーン

まずはレインボームーンストーンの特徴や通常ムーンストーンと呼ばれるものとの違い、そして宝石・ルースとしての魅力や価値、産地について解説していきます。
■レインボームーンストーンとは
レインボームーンストーンはコマーシャルネームで鉱物名や宝石名ではありません。長石グループの中で7色の光を放つものをレインボームーンストーンといいます。主にラブラドライトという鉱物とアンデシンラブラドライトという鉱物がレインボームーンストーンと呼ばれています。
▶レインボームーンストーンが属している長石グループとは
レインボームーンストーンを初め、ムーンストーンと呼ばれる宝石は長石グループに属しています。長石は地球の地殻で最も多く存在する造岩鉱物として知られていて、なんと地殻の60%を占めているそうです。
そんな長石は二つのグループに分けられます。一つがアルカリ長石グループ、もう一つが斜長石グループです。通常のムーンストーンの多くはアルカリ長石グループに属しています。
▶レインボームーンストーンは斜長石グループ
それに対し、レインボームーンストーンであるラブラドライトとアンデシンラブラドライトは斜長石グループに属しています。
斜長石グループはナトリウム長石(アルバイト)とカルシウム長石(アノーサイト)の割合によってアルバイト、オリゴレース、アンデシン、ラブラドライト、バイトウナイト、アノーサイトの6つに分けられます。
斜長石グループの中ではっきりと別れているわけではなく、成分がグラデーションの様になっているので、中間体のものも存在します。アンデシンラブラドライトはアンデシンとラブラドライトの中間体にある鉱物です。ラブラドライトはアルバイトとアノーサイトの中間体で、その割合が、50:50から30:70までの範囲のものをラブラドライトと呼ぶそうです。
▶レインボームーンストーンは鉱物学的にムーンストーンではない
「ムーンストーン」という呼び名がついている、さらに同じ長石グループに属しているため誤解されることも多いですが、レインボームーンストーンとムーンストーンは全く違う鉱物です。レインボームーンストーンはラブラドライトまたはアンデシンという鉱物ですが、ムーンストーンはオーソクレースとアルバイトという鉱物が合わさったものです。
〇〇ムーンストーンと名前のつく宝石はコマーシャルネームの場合があり、使い方が曖昧なお店もあります。気になる方は、ムーンストーン購入の際に鉱物名が何か確認しておくと良いでしょう。
レインボームーンストーンは半貴石を扱う業界ではホワイトラブラドライトと呼ばれることもあります。半貴石が好きな鉱物愛好家は宝石も鉱物として購入することが多いので、レインボームーンストーンという曖昧な名称ではなく鉱物名でやりとりすることが多いためだと思います
■レインボームーンストーンの魅力

レインボームーンストーンは一度見たら忘れられないほど個性的な宝石だと思います。レインボームーンストーンの魅力といえば、柔らかな白地(または透明)の宝石に7色が浮き上がるミステリアスな美しさです。
7色の光を放つといえばオパールが有名ですが、オパールの光とはまた違った光を放ちます。個人的な意見ですが、オパールは沢山の色がステンドグラスのようにメリハリのある出方をします。
ですが、レインボームーンストーンはオーロラの様に徐々に色が帯状になって変化しているように見えます。この色の秘密はラブラドレッセンスと呼ばれる光学効果にあります。
▶ラブラドレッセンスとは
ラブラドレッセンスとはラブラドライト特有の光学効果。宝石を動かすと一緒に中の光が変化しているように見える不思議な現象です。体感的にはブルー、グリーン、イエロー、オレンジなどの色が浮かび上がります。いろんなカラーがありますがピンク系が特に希少価値が高くなるそうです。
なぜこのような不思議な光が生まれるのか、詳しい仕組みは後ほどご紹介いたします。
▶青色のシラーが美しいブルームーンストーン
ブルームーンストーンはその名の通り青色の強いシラー効果が美しい宝石です。初期のブルームーンストーンはオーソクレースという鉱物が主成分のものでしたが現在はほとんど流通しておらず、現在は主にペリステライトがブルームーンストーンとして流通しています。他にもラブラドライト、アンデシンでもブルーのシラー効果だけが出るものをブルームーンストーンと呼ぶこともあります。
ペリステライトはムーンストーンに似た青いシラー効果を示しますが、アルバイトとオリゴクレースの中間体で、ラブラドライトやアンデシンと同じようにムーンストーンとは違う鉱物ですので注意しましょう。
ブルームーンストーンについては他の記事で詳しく解説します。
■高品質なレインボームーンストーンとは
多くのカラーストーンのクオリティは色の濃淡、透明度、その宝石の特徴がどうかをみて判断します。
レインボームーンストーンの場合は最大の特徴である虹色の閃光が美しく出ているかがポイントとなります。広い範囲に鮮やかな虹色が出ているものはそれだけ美しく希少です。
また透明度はインクルージョン(内包物)や傷がなく透明度が高いものが良いとされています。透明度が高いかどうかを比較するなら、宝石を手に乗せてみてください。上から見たときに、石が透けて手がどれぐらい見えているかをチェックすると比較しやすくなります。
カットはドーム型のカボションカットが多いですが、キラキラと輝くファセットカットされたものもあります。
好みもありますが、レインボームーンストーンの7色の魅力が引き出せているか、形が左右対称で整っているか、カット面が美しく磨かれているか、逆に薄すぎて割れる心配がないかなどで判断します。
クオリティではありませんが、サイズの大きいものはそれだけ希少ですので価値が高くなります。
■レインボームーンストーンの産地

レインボームーンストーンの元となるラブラドライトは1770年にカナダのラブラドル地域で発見されました。他にもマダガスカル、オーストラリア、ノルウェー、アメリカ、メキシコ、インド、ウクライナ、ロシアなど、世界中で産出します。アンデシンはモンゴルや内モンゴル自治区、オーストラリアで採掘されています。
2.鉱物・原石としてのレインボームーンストーン

前半でお伝えしたとおりレインボームーンストーンは鉱物名ではなくコマーシャルネームです。長石グループの中で虹色が出るもの、主にラブラドライトとアンデシンラブラドライトがレインボームーンストーンと呼ばれています。
■組成について
英名 | Rainbow Moonstone(レインボー ムーンストーン) White Labradorite(ホワイト ラブラドライト) |
和名 | 曹灰長石(ラブラドライト)、中性長石(アンデシン) |
成分 |
①ラブラドライト(Ca,Na)(Si,Al)4O8 ②アンデシン(Na,Ca)Al(Si,AL)3O8 または①②の固溶体(中間体) |
結晶系 | 三斜晶系 |
モース硬度 | 6−6.5 |
屈折率 | 1.56-1.57、1.54-1.56 |
劈開 | 1方向に完全、1方向に良好 |
色 | カラーレス、白、青灰色(虹彩効果が加わる) |
主な産地 | マダガスカル、カナダ、フィンランド、インド |
硬度は6-6.5と低めでさらに劈開もあるため、あまり強い宝石とは言えません。強い衝撃を与えると宝石が結晶構造に従ってスパッと割れる場合があります。どの宝石もそうですが、できる限り優しく扱うようにするといいでしょう。
ジュエリーとして身につけるならぶつけにくいネックレスやピアスがオススメです。もし指輪にする場合は利き手の反対の手につけるとぶつけにくくなります。
■原石の形状

ラブラドライトは火山岩、変成岩で生成されます。塊状で見つかることが多く、中には直径1m以上の大きさのものも見つかることもあるそうです。
また、原石の状態でも特徴であるシラー効果が美しいものもあります。そういったものはカットせず原石のまま販売されていることもあります。カット石とはまた違った自然そのままの美しさが魅力的です。
■鉱物としてのレインボームーンストーン
ラブラドライトはラブラドレッセンスと呼ばれる光学効果を示します。上記でラブラドライトはアルバイトとアノーサイトの中間とお伝えしました。
結晶が生成する時、この2つの長石が薄い層となって交互に重なるように成長していきます。ちょうど木の年輪のようなイメージをしていただければわかりやすいかと思います。
そこに入った光がラブラドライトと相互に作用することで、光の回折でラブラドレッセンスが発生します。どの色が出るかは交互に重なった層の厚さとその屈折率によって違います。同じラブラドライトでも出る色が違って見えるのはこのためです。
3. レインボームーンストーンをより楽しむために

レインボームーンストーンは通常のムーンストーンよりも希少なため、愛好家の中にはジュエリーとして楽しむのではなく、ルース(裸石)をそのまま観賞用としてコレクションする人もいます。
■ビーズやその他の加工
レインボームーンストーンは硬度が低く加工しやすいため、オーソドックスなカボションカット以外にも様々な形にカットされます。
▶ビーズへの加工

ビーズ加工したものはブレスレットとしても楽しめます。丸型だけでなくペアシェイプカット(洋梨型)やブリオレットカット(立体的な雫型で、周りにファセットカットを施されたもの)のものなど、いろんな形があります。
ダブルホールタイプの幅広ビーズはインパクトある見た目が魅力のカットビーズです。幅広なのでラブラドレッセンスを存分に楽しめるビーズになっています。
▶その他の加工

原石の1面だけをカットし、美しい七色と原石の自然の躍動の両方を楽しめるカット石も人気です。球体状にカットされたものはミステリアスな月のように見えます。どちらもレインボームーンストーンの魅力や奥深さを感じることのできるものとなっています。
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4. まとめ
レインボームーンストーンの基本情報と魅力をお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか。7色の輝きは一つずつ違い、光に当たる時、暗い時にも違った魅力を見つけることができます。また、ジュエリー、ルース、原石など、どの状態でも違った美しさを見ることができます。
もっと踏み込んでみたい方は、ムーンストーンやブルームーンストーンの記事もぜひ読んで、同じ名をもつ宝石・鉱物を比較してみてくださいね。
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この記事を書いた人

Yuki.O
TOP STOneRY / 編集部ライター
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