2023/05/22

宝石の女王ルビーの魅力に迫る!特徴から歴史まで詳しく解説

情熱的な赤色が美しいルビー。古くから世界中で愛されてきた宝石のひとつで、その美しさと希少性から「宝石の女王」とも呼ばれています。

最近だと、アニメ化された漫画『推しの子』の主人公の名前としても使われ、まさしく老若男女に広く知られています。

ルビーは数ある宝石のなかで人気、知名度ともにトップクラスですが、実は限られた地域でしか産出しない希少性の高い宝石です。希少性の高さなら、ダイヤモンドを超えるといってもよいでしょう。

この記事では、そんな宝石の女王ルビーの魅力を詳しくご紹介します。20年以上天然石の卸売に携わる宝石のプロTOP STONEが、特徴から歴史まで詳しく解説していきます。ぜひ最後までチェックしてみてください。


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1. 宝石・ルースとしてのルビー

まずはルビーの特徴や品質など、基本的な情報をご紹介します。一緒にルビーがどのような宝石なのか見ていきましょう。

■最高品質のルビーとは

鮮やかな赤色が印象的なルビー。この赤色が美しいほどルビーの品質は上がりますが、ほかにも透明度やカラットなどさまざまな要素を総合的に見て、価値が決められます。ここでは高品質なルビーがどのようなものか詳しく解説します。

カラー

カラーはルビーの価値を決めるもっとも重要な要素です。ルビーの赤色はクロムと鉄によるもので、クロムの含有量が多いほど赤色が濃くなります。鮮やかな赤色で均一に発色しているものほど高品質なルビーです。

最高品質のルビーは「ピジョン・ブラッド」と呼ばれ、言葉どおり鳩の血のような鮮やかで濃い赤色をしています。

なお、現在市場に流通しているほとんどのルビーには加熱処理が施されています。加熱処理を加えることで色合いが鮮やかになるからです。加熱処理は1960年代から一般的に行われている加工のひとつなので、加熱処理の有無でルビーの価値が大きく変わることはありません。ただし加熱処理をしなくても結晶そのものが美しい非加熱ルビーはきわめて希少なため、価値が高くなります。

透明度

ルビーはインクルージョン(内包物)が入りやすい鉱物です。天然である以上まったくインクルージョンが含まれないルビーは存在しませんが、インクルージョンが少なく透明度の高いものほど価値が上がります。

ただしインクルージョンがあることは天然ルビーの証であり、個性や輝きを増すプラスの効果もあります。たとえばルチルと呼ばれる針状のインクルージョンがあると、星型の光の筋が入った「スタールビー」と呼ばれるルビーになります。スタールビーは個性的で美しく、産出することは非常にまれなため、一般的なルビーよりも価値が高いとされています。

また、宝石の内部に6方向の結晶形が見られる「トラピッチェルビー」と呼ばれるルビーも希少で高い価値があります。トラピッチェ模様は六方晶系の鉱物に見られる特徴の一つです。結晶の成長過程で六角形の周囲にインクルージョンや不純物が入り込み、その後その周囲の結晶がまた成長を始めるため、不純物を含んだまま六角形の辺と辺が結合して六条の放射状をした個性的な模様が生まれます。このように、インクリュージョンは必ずしも価値を下げてしまう要因になるとは限らず、新たな魅力が生み出されることもあるのです。

カラット

カラットは宝石の重さのことです。1ct(カラット)は0.2gに相当し、一般的に宝石はカラットが大きいほど高く評価されます。

1ctを超える高品質なルビーが産出するのは非常にまれです。そのためカラットが大きくなるほど価値も値段も高くなります。

カット

ルビーはカットによって光の反射や輝きが変わります。原石の形状にあわせて適切なカットを施すことで美しい輝きが最大限に引き出され、高品質なルースになります。

■ルビーの輝き

透明度が高く鮮やかな赤色をしたルビーは、光が当たると美しく情熱的に輝くのが魅力です。

良質なルビーを太陽光の下で見ると、内側から燃えているような赤い光を放ちます。ルビーに赤色をもたらすクロム元素が、紫外線に反応して赤色に発光するためです。これを「赤色蛍光」と呼びます。

ただし、すべてのルビーに蛍光性があるわけではありません。含まれる不純物の量によって色合いや蛍光性の強さが変わります。鉄分の含有量が多いと「ビーフ・ブラッド(牛の血)」と呼ばれるルビーのように、蛍光性が弱く落ち着いた色合いになる特徴があります。

■宝石としての魅力

ルビーはダイヤモンドサファイアエメラルドと並ぶ世界四大宝石のひとつです。情熱的な赤色の美しさと希少性の高さから「宝石の女王」とも呼ばれ、古くから世界中の人々を魅了してきました。

人気や知名度に反して産出量が少なく、ダイヤモンドより希少性が高いのもルビーの魅力。アフガニスタンやミャンマーなどの限られた国の鉱山からしか採掘されず、時が経つにつれてルビーの価値はますます高まっています。

また、ルビーは丈夫で割れにくいため加工しやすく、日常使いのジュエリーに向いているのも人気の理由といえるでしょう。美しくカットされたルビーは、ピアスやネックレス、指輪などどんな種類のジュエリーにもよく合います。

■主な産地と産地ごとの違い

ルビーのおもな産地はミャンマーやスリランカ、タイなどアジアが中心です。なかでも宝石品質のルビーの産地はきわめて限定されています。

また、ルビーは産地によって色合いや透明度などに微妙な違いが見られます。インクルージョンや特徴などから産地を鑑別でき、産地によってルビーの価値が変わることも。以下におもな産地ごとの特徴をご紹介します。

ミャンマー産のルビー

ミャンマーはルビーのもっとも有名な産地として知られています。

特にモゴック地方の鉱山は歴史が古く、透明度が高く鮮やかな赤色をした高品質なルビーを産出することで有名です。モゴック産のルビーは大理石の中で形成されるため不純物が入りにくく、紫外線を当てると蛍光性を持つ鮮やかな赤色に輝きます。しばしば最高品質の「ピジョン・ブラッド」も産出します。

また、ミャンマーのモンスー鉱山も有名なルビーの産地です。モンスー産のルビーはかつては褐色で低品質とされていました。ところが1990年代以降に加熱処理技術が向上したことで美しいルビーが得られるようになり、シェアを拡大しました。ただし、モンスー産のルビーは小粒のものが多く、インクルージョンが入りやすいという特徴があります。

タイ産のルビー

タイ産のルビーは黒みがかった落ち着いた色合いが特徴です。タイの鉱山では玄武岩の中でルビーが見つかるため、鉄が多く含まれ色が暗くなるのです。高級感があり落ち着きのある赤色をした「ビーフ・ブラッド」が産出することもあります。

1960年代に加熱処理技術の向上により暗い色のルビーを鮮やかな赤色にできるようになり、タイ産のルビーは大きくシェアを伸ばしました。1970〜80年代のルビージュエリーの多くはタイ産といわれています。しかし、1990年代以降はモンスー産のルビーにシェアを奪われ、鉱床も枯渇したことから産出量は激減しています。

スリランカ産のルビー

スリランカ産のルビーはピンクに近い淡い赤色が特徴です。透明度の高いものは「チェリーピンク」と呼ばれ、かわいらしい色合いが人気です。ただし赤色が薄すぎる場合は「ピンクサファイア」に鑑別され、価値が下がることもあります。

モザンビーク産のルビー

モザンビークは2008年頃から宝石品質のルビーが産出するようになった新しい産地です。モザンビーク産のルビーは、ミャンマー産のものと比べるとオレンジや紫がかった赤色で、蛍光性がやや低めなのが特徴です。透明度が高い良質なルビーが産出することもあります。

2. 鉱物・原石としてのルビー

ルビーは原石も美しく、鉱物的にも大変魅力的な石です。鉱物としてのルビーについても詳しくご紹介します。

■組成について

英名 Ruby(ルビー)
和名 紅玉(こうぎょく)
成分 Al2O3
結晶系 六方晶系または三方晶系
モース硬度 9
比重 3.99~4.05
屈折率 1.76~1.77
劈開 なし
主な産地 ミャンマー、タイ、スリランカ、マダガスカル、タンザニア、ケニア、ベトナム、カンボジア、アフガニスタン、パキスタン、インド、ロシア、 グリーンランド、ノルウェー、中国、コロンビア、ネパール

ルビーの鉱物名は「コランダム」です。純粋なコランダムは無色で、微量の金属イオンが不純物として含まれると、青色や赤色、紫色、緑色、黄色などさまざまな色に変化します。コランダムの中で赤色のものがルビー、それ以外はサファイアに分類されます。つまりルビーとサファイアは同じ鉱物の色違いなのです。

ルビーの赤い色を生み出す微量元素はクロムで、オレンジがかった赤色から紫がかった赤色までの色を示します。含まれるクロムの量が多いほど蛍光性のある鮮やかな赤色になります。

ルビーはダイヤモンドに次ぐ硬さを持ち、丈夫で割れにくいのが特徴です。加工しやすく日常使いのジュエリーにも向いています。

■原石の形状

ルビーの原石は一般的に六角柱状の結晶形状をしていますが、産地や形成された環境によって形状や特徴が異なります。

ミャンマーやベトナム、ヒマラヤなどで産出するルビーは、おもに大理石の中で形成されるのが特徴です。地表に上昇したマグマが上層部の堆積岩と接触した際に、熱と圧力で大理石が形成され、その中にルビーが生まれます。大理石の中には鉄分が少ないため、鮮やかな赤色のルビーになります。

一方、タイやモザンビークなどで産出するルビーは玄武岩の中で形成され、多くの鉄分を含みます。ルビーは鉄分を多く含むほど色が暗くなります。

■原石としての魅力

美しくカットされたジュエリーとしてのルビーももちろん魅力的ですが、ありのままの自然の姿をした原石にも魅力がつまっています。

ルビーは大理石や玄武岩などを母岩として形成されます。そのためルビーの結晶は母岩の中に埋まった状態で見つかるのが一般的です。ルビーの原石には母岩が残る状態のものも多く、何百万年もかけて地球の奥深くで育まれてきた歴史とロマンを感じることができます。

また、ルビーは他の鉱物と共生することもあります。ルビーインゾイサイトやルビーインフックサイト、ルビーインカイヤナイトなどはその一例で、それぞれの鉱物が混じり合った複雑な色や形が魅力的です。

■鉱物としての魅力

コランダムにクロムが含まれると赤いルビーになり、鉄とチタンが含まれると青いサファイアになります。同じ鉱物でも微量な不純物の違いでまったく別の色に変化するので、自然の力の奥深さを感じられます。

しかし、本来コランダムにクロムが含まれることはめったにありません。クロムは珪酸分の少ない塩基性または超塩基性の火成岩に含まれます。一方コランダムは珪酸分の多い酸性岩質の条件の下で生成します。つまり通常はコランダムとクロムが一緒に存在することはありえないのです。

それでもルビーは地球上に存在しています。これは自然界で偶然が重なって生まれた奇跡といってもよいでしょう。だからこそルビーは希少で特別な存在なのです。

3. ルビーをより楽しむために

ルビーはジュエリーとして身につけるのはもちろん、お守りやコレクションなどさまざまな楽しみ方ができる宝石です。ここではルビーの歴史的背景や新たな楽しみ方についてもご紹介します。ルビーの魅力をさらに掘り下げていきましょう。

■ルビーの歴史

ルビーは歴史的にも重要な宝石のひとつで、太古の昔から大切にされてきました。「ルビー」という名前は、ラテン語で赤色を意味する「rubeus(ルベウス)」に由来します。古代インドでは「ratnaraj(ラトラナジュ)=宝石の王」とも呼ばれていたそうです。

古代の文化ではルビーは血液の色に似ていることから、生命力の象徴とされていました。古くからルビーの産地として知られるミャンマーでは、戦いに勝つお守りとして兵士たちが身につけていたとされています。ルビーを体に埋め込むこともあったそうです。

また、病気や呪いなどの危険から身を守る魔除けの石としても用いられていました。病気を治す力があると考えられ、インドではルビーを粉末にして薬として飲んでいた時代もあるようです。

中世ヨーロッパではルビーが富や権力の象徴であるとされ、王や権力者たちがルビーの宝飾品を好んで身につけていました。

■ルビーのカットや加工について

ルビーは丈夫で割れにくく、加工にも適した宝石です。原石の形状や品質にあわせて職人が適切なカットを施すことで、美しい輝きや透明感を最大限に引き出せます。ラウンドブリリアントカットやオーバルカットなど、さまざまな種類のカットを施すことができます。

ジュエリーとして人気のルビーですが、宝石品質に満たない透明度の低いルビーは天然石のビーズやアクセサリーに加工されることもあります。ビーズカットされた天然石のルビーは濃いピンク色でツヤのある美しい見た目が魅力です。

■アクセサリーやパワーストーンとして

ルビーは古くから情熱や行動力を高めてくれる石とされ、パワーストーンとしても人気があります。身につけることで危険や困難から身を守り、能力を最大限に引き出してくれると考えられています。仕事やプライベートで成功を収めたいときや、新しいチャレンジをしたいときなどに身につければ、力になってくれるかもしれません。

ルビーは7月の誕生石でもあります。「情熱」「良縁」「勝利」などポジティブな意味の石言葉があり、プレゼントにもぴったりです。

また、結婚40周年を「ルビー婚式」といいます。ルビーのように情熱的で固い絆で結ばれた夫婦を象徴してルビーの名前が用いられているそうです。ルビー婚式にお祝いや感謝の気持ちを込めてパートナーにルビーのアクセサリーを贈ったり、両親にルビーをプレゼントしたりする人も増えています。


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4. まとめ

古くから宝飾品や魔除けのお守りとして人々の生活に深く関わってきたルビー。情熱的な赤色の輝きは今もなお多くの人々を魅了し続けています。

ルビーの歴史や希少性の高さを知ると、また新たな魅力を感じていただけるのではないでしょうか。パッと目を引く赤色のルビーは、普段のファッションに取り入れることでいつものスタイルを上品で華やかに演出し、自分に自信を持たせてくれます。ぜひ自分へのご褒美や大切な人へのプレゼントに、お気に入りのルビーを見つけてみてください。


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この記事を書いた人

ほしあゆみ

TOP STOneRY / 編集部ライター

トップストーン編集部がお届けする「トップストーリー」メディアでは、古くから愛されている誕生石の歴史やエピソード、最新のレアストーンの特徴、宝石の楽しみ方をわかりやすく解説しています。「天然石の魅力をもっと多くの方に知ってもらいたい」という想いで、個性溢れるライターが情報発信しています。