まるで夕暮れ時の空!「タンザナイト」の魅力とは?|歴史や楽しみ方を紹介

キリマンジャロの夕暮れ時を思わせる魅惑的な輝き、タンザナイト。
地球上でたった1ヶ所からしか採掘されず、その量も減っていることから、タンザナイトの希少性は年々高くなっています。
この記事では、「最高のブルーカラーストーン」と称されたタンザナイトについて、その魅力や歴史、楽しみ方をご紹介します。宝石としてだけでなく、鉱物としての特徴についても理解を深め、タンザナイトの魅力を紐解いていきましょう。
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1. 宝石・ルースとしてのタンザナイト

最初に、宝石としてのタンザナイトの特徴や魅力について、ご紹介します。
■最高品質のタンザナイトとは?
最高品質のタンザナイトの特徴は、下記の通りです。
- 濃く鮮やかな色相である
- 美しいカットである
- 5カラット以上である
- 目に見えるインクルージョンがない
最高品質のタンザナイトの色相は、すみれがかった青~独特なすみれ色が強いことが特徴です。
見る方向によって異なる色に見える「多色性」という性質を持つタンザナイトは、カットによっても色相が異なります。一般的にはオーバルやクッションが多くなっていますが、カッティングによっては輝きが失われて暗い色に見えてしまうこともあるほど、タンザナイトの美しさはカットによって左右される部分が大きくなっています。石によってもさまざまな色相がありますが、もともとの色だけでなくカットにより濃く鮮やかな色相となったタンザナイトは、特に評価が高くなっているのです。
濃く鮮やかな色相のものは、5カラット以上のタンザナイトに見られることも特徴です。5カラット以下の小さな石で濃い色相のものはあまりないことから、タンザナイトの品質は大きさにも左右されることになります。
また、気体や別の鉱物などの内包物である「インクルージョン」が入っているかどうかでも品質は変わります。目に見える大きさのものや、内部の亀裂であるフラクチャーなどのインクルージョンが入っているタンザナイトは、品質が大きく下がってしまうことが特徴です。約15センチ離れた距離から裸眼で見た時に、インクルージョンが見えないものは「アイクリーン」と呼ばれ、品質が高くなります。
■タンザナイトの特徴・魅力
ゾイサイトの内、ブルーカラーのものを「タンザナイト」と呼びます。地球上ではただ1ヶ所でしか採れず、この鉱床の寿命も長くないため、希少性がとても高いことが特徴です。
アメリカ鉱物学者用冊子の「American Mineralogist」に掲載された学術論文によると、タンザナイトには「赤紫」「濃青」「黄緑」の多色性があるとされていました。多色性とは、光源に関係なく、宝石を見る角度により色が変わる性質のことです。この学術論文によると、タンザナイトでは聞きなれない「黄緑」も含まれることになります。
現代のタンザナイトのほとんどに「黄緑」が入っていないのは、熱処理が施されているためです。熱により、黄緑色や赤みがかった色などを低減させ、「紫」と「濃青」が際立つようになっています。この「紫」と「濃青」の美しさは、タンザニアの夕暮れ時の空の色に例えられることも多くあるほどです。
現在のタンザナイトの鑑別では熱処理が前提であるという考えに基づき、「通常-加熱」との表記がなされます。熱処理は前提であることから、この表記によりタンザナイトの価値が下がることはないという認識が一般的です。
タンザナイトの彩度は、含まれるバナジウム量で決まる仕組みであるため、石それぞれで異なります。色が濃いほど品質が高いと言われますが、パステルカラーのような淡い色を好む人も少なくありません。
なお、最初に発見されたタンザナイトは鮮明な紫~青だったそうです。これは大変珍しく、地球による天然の熱源にさらされて熱処理されたためだと考えられています。
タンザナイトは、多色性があることのほかに「変色効果」があることも特徴です。変色効果とは、光源によって見える色が変わる仕組みのことです。多色性宝石のタンザナイトは、太陽光では青が強く、白熱光やキャンドルの光では紫が強く見えることも魅力の1つなのです。
■タンザナイトにまつわる逸話
タンザナイトが発見される前にもゾイサイトは出回っていましたが、タンザナイトとは違い不透明な緑色やピンク色をしていました。そんな中、1967年に、タンザニア北部にあるメレラニ地方でタンザナイトは発見されました。
メレラニ地方に住むマサイ族がキリマンジャロ山のふもとで発見したとされていて、発見秘話には諸説あります。キリマンジャロ山のふもとを旅していた人が青い結晶を見つけたという説のほか、地元民が結晶を発見し、そこに居合わせた探鉱者がサファイアだと思ったという説。また、落雷によって小さな火災が発生し、これによって小石が紫色から鮮やかな青色に変わり発見に至ったという説もあります。
発見された結晶は、Tiffany & Company(ティファニー・アンド・カンパニー)が主要販売業者として契約しました。この時Tiffany & Companyは、産出国にちなんで、この結晶を「タンザナイト」と名付けます。
そして翌1968年には大々的にタンザナイトを宣伝するキャンペーンを行い、すぐに宝石業界で注目される存在となりました。以降、タンザナイトの人気は高まり、「世界で最も売れているカラーストーン」に2年連続で輝くなど、宝石界で絶大な存在感を放っています。
なお、命名秘話には、もう一つ有名な説があります。鉱物名であるゾイサイトが英語で自殺を意味する「suicide(スーサイド)」と響きが似ていることから、Tiffany & Companyがブルーゾイサイトではなくタンザナイトと呼ぶようになったという説です。
ちなみに、タンザナイトを発見したとされるマサイ族では、首長に赤ちゃんが産まれると妻にタンザナイトを贈るという伝統が現在でも続いています。
■タンザナイトの産地は1ヶ所のみ

タンザナイトは、地球上でたった1ヶ所からしか採掘されない希少な石です。
採掘場所は発見されたタンザニアのメレラニ地方で、キリマンジャロ山のふもとの平原から登る、メレラニの低い丘陵に鉱床が広がっています。採掘エリアはA~Dブロックの4つに分けられていますが、なかでもDブロックからは最高品質のタンザナイトが多く発見されてきました。そのためDブロックはタンザナイトの最高品質を意味する言葉として使われることもありますが、ほかのブロックからも品質の良いタンザナイトは産出されています。
ただし、タンザナイトは1トンあたりで約4.4グラムしか産出されないうえに、産出量は年々減少しています。近い将来、タンザナイトは産出されなくなると考える専門家が多いことからも、タンザナイトは希少性が増しているのです。
2. 鉱物・原石としてのタンザナイト

タンザナイトは、ゾイサイトという鉱物の変種です。
ここからは、鉱物としてのタンザナイトの魅力に迫ってみましょう。
■組成について
タンザナイトの組成は、下記の通りです。
英名 | Tanzanite(タンザナイト) |
和名 | 灰簾石(かいれんせき) |
成分 | CaAl3(SiO4)3(OH) |
結晶系 | 斜方晶系 |
モース硬度 | 6~7 |
屈折率 | 1.691~1.700 |
劈開 | 一方向に完全 |
色 | 青紫~濃い青 |
主な産地 | タンザニア |
タンザナイトは、ケイ酸塩鉱物の一種であるゾイサイトの中でも、バナジウムを含む変種です。
約5憶8千5百万年前、何かのきっかけでゾイサイトの中にバナジウムがランダムに混入して形成されたとされています。このバナジウムが含まれるためにタンザナイトは美しい青色になり、その含有量によって彩度が変わる仕組みになりました。なお、ゾイサイトにマンガンを含むものはチューライト、ルビーを含むものはルビーインゾイサイトと呼ばれます。
タンザナイトのモース硬度は6~7と高くなく劈開性もあるため、取り扱いには十分な注意が必要です。特に、超音波洗浄器の使用は避けるべきとされています。
■原石の形状
タンザナイトの原石は柱状で、平たい柱のような形状をしています。
ゾイサイトには白や緑褐色などの原石もありますが、そのなかでも青いものがタンザナイトの原石です。
■鉱物としての魅力

熱処理されていないタンザナイトの原石は、赤いワインのような色をしていることが特徴です。
これが美しい青紫~濃い青色のタンザナイトになるのですが、処理する過程によって、稀に「バイカラータンザナイト」が完成することがあります。バイカラータンザナイトは一般的なタンザナイトの特性を持ちながら色が二層に分かれているため、コレクターの羨望の的となっています。
また、自然の力によってハートのような形になった原石があるなど、原石そのものでも造形美を楽しめることが魅力です。
多色性や光源による色の変化を原石のまま楽しむ人も多く、熱処理されていない自然のままの赤みが残った原石も人気があります。
3. タンザナイトをより楽しむために

宝石・ルースとしても、原石・鉱物としても魅力的な、タンザナイト。
ここからは、誕生石や石言葉のほか、ビーズや加工品としての楽しみ方もご紹介します。
■誕生石・石言葉

タンザナイトは、ターコイズ(トルコ石)・ラピスラズリ・ジルコンと並び12月の誕生石になっています。
また、結婚24周年記念の石とされることもあります。
石言葉は、「高貴」「冷静」「神秘」「誇り高き人」などです。
■ビーズ・アクセサリー
タンザナイトはモース硬度が高くなく劈開性を持つという特性から、日常使いよりもドレスアップ用のアクセサリーとしての使用が一般的です。また、リングよりもペンダントやピアスなどのアクセサリーとして使用するほうが、衝撃を受けにくくタンザナイトに適していると考える専門家もいます。
ただし、取り扱いに注意すれば、どのような形でもタンザナイトの魅力を楽しむことが可能です。ぜひ、自分らしいタンザナイトの楽しみ方を見つけてみてください。
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4. まとめ
地球上でたった1ヶ所からしか産出されない、大変希少なタンザナイト。濃い青と青紫が入り混じる魅惑的な美しさは、多くの人を魅了し続けています。発見されてからの歴史はまだ浅めですが、早くも産出量が年々減っているため、今後さらに価値が上がると予想されています。タンザニアの夕暮れ時の空のような神秘的な美しさを誇るタンザナイトの魅力を、ぜひご自身の手で感じてみてください。
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この記事を書いた人

Aria
TOP STOneRY / 編集部ライター
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