▶2025/8/27更新(随時追加)

はじめて宝石に触れる方、もう少し詳しくなりたい方、知らないことをもっと学びたい方、さらには…宝石を楽しみながら本当の価値を知りたい方まで!多方面の情報にアプローチするTOP STONEオススメ書籍特集です

TOP STOneRY -Spin off-

~TOP STONEスタッフ・編集部推薦書籍特集 TOP STOneRY番外編~

『 月刊 たくさんのふしぎ 光る石 北海道石 』

『月刊 たくさんのふしぎ
 光る石 北海道石 新鉱物Hokkaidoiteはっけん記』
文・写真■田中陵二
発行所■株式会社福音館書店
発 行■2024年8月号(第473号)
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あらゆるふしぎを小学生向きにお届けする科学雑誌シリーズ。2024年8月号は北海道石がテーマに取り上げられました。バックナンバーは全国の書店で取り扱われています。

『月刊 たくさんのふしぎ 光る石 北海道石 新鉱物Hokkaidoiteはっけん記』 ◀オススメポイント!!

これはなんだ?という最初の気づきから、新種認定までの困難でわくわくする過程、そして北海道石についての解説まで、多くの写真と誰にでもわかりやすい文章とで構成されています。

イラストなのかと思うほど美しい表紙は、実際この北海道石を発見した際に撮影された写真です。ページを開くと見開きいっぱいに、圧倒されるほどの美しい北海道石の拡大された蛍光写真がひろがります。

内容はまず、石とは、鉱物とは、から始まり、有機物無機物を解説していきます。北海道石をとらえる上で欠かせない2つの概念をここで知るわけです。

お話は北海道石にたどり着く1年前にさかのぼり、持ち込まれた石を分析機に掛けたときの不思議な数値への疑問、その疑問を解き明かす鳥肌の立つような過程がつぶさに語られています。新種の鉱物として提出する書類や認定されるまでにどんなことがなされているのか、普段目の当たりにする機会のほとんどない「新鉱物発見!」に至る手続きを知ることが出来るのも興味深い点です。

もちろん、北海道石とは、という解説にはかなりの厚みがあります。北海道石だけでなく、北海道産の蛍光オパールの謎、蛍光する仕組み、どのように出来上がっているのかまで、【小学3年生から】が対象となるこのシリーズは、難しい鉱物世界もとても分かりやすく、冒険譚のような構成でまとめられています。

さらに、こういった自然を保護することの大切さとその活動にも言及し、結ばれている1冊。北海道石だけでなく、多くの学びのある書籍です。


『 知っている人は得をしている  宝石の価値 』

『知っている人は得をしている 宝石の価値』
著 者■諏訪恭一
発行所■株式会社新潮社
発行日■2024年5月20日
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日本初のGIA資格取得者であり、宝石商。諏訪貿易株式会社会長、宝石に関する多数の著書をお持ちの諏訪恭一氏による宝石の価値に言及した1冊。宝石を価値という視点を元に、真に価値ある宝石とはなにか、定義、魅力、買い方、価値、資産性、宝石の将来価値までを誰にでも読みやすい語りで執筆された書籍です。

『知っている人は得をしている 宝石の価値』 ◀オススメポイント!!
天然宝石の持つキセキ的な価値。正しい知識と見る目を持つことで、その素晴らしさを価値と共に何倍も楽しむことができる、その本質について語られた1冊です。豊富な経験、素晴らしい知識に裏打ちされた確かな情報を元に語られる内容は非常に説得力があり、業界裏話的な内容も非常に引き込まれました。「価格はあなたは払うもの、価値はあなたが得るもの」という言葉が印象的です。

原石の成り立ちから研磨、仕立てといった根本的な知識から、宝石・貴石とは何か、天然と合成、高価値と無価値、適正価格で価値ある宝石を手に入れるために必要な知識、ハイブランドのバーチャル価値とノーブランドのリアル宝石の価値…など、今まで見えにくかった流通の上流工程から実際にエンドユーザーの手に渡った後まで、詳細に読みやすく語られています。

純粋に美しく希少な宝石は、愛で楽しんでいるだけで実は資産的な価値も併せ持っている、本物の価値ある宝石を楽しむことは、一挙両得ならぬ幾重もの得が積み重なったワンダーランドのようなキセキの世界だと実感させられる、学びの深い1冊です。


『 Gem 』
特別展「宝石 地球がうみだすキセキ」 2022 公式図録

『Gem』
特別展「宝石 地球がうみだすキセキ」2022公式図録 
監修・執筆■
宮脇 律郎(国立科学博物館 地学研究部長)
門馬 綱一(国立科学博物館 地学研究部 鉱物科学研究グループ 研究主幹)
西本 昌司(愛知大学 教授)
諏訪 恭一(諏訪貿易 会長)
執筆■
有川 一三(アルビオン アート・ジュエリー・インスティテュート 主催)
発行所■TBSテレビ、読売新聞社
発行日■2022年4月3日

『Gem』
特別展「宝石 地球がうみだすキセキ」2022公式図録
 オススメポイント!!

2022年に国立科学博物館で開催された特別展「宝石 地球がうみだすキセキ」で販売された公式図録です。

何故地球が宝石の惑星になったのか、という語りから始まるこの図録は、鉱物が地球という星でどのように誕生するのか、宝石のキラメキとはかけ離れた地球の遥か深部を知ることから第1章が始まります。

第2章はこの地中深くで誕生した原石が宝石になるまでがまとめられています。産地やカット、紀元前から現代までの装飾品が並んだ、橋本コレクションによる宝石史年表は圧巻です。

第3章では宝石の輝きや美しさの秘密に迫ります。ダイヤモンドをはじめ、エメラルド、ルビー、サファイアはもちろん、スピネルやトルマリン、ガーネットなど、様々な宝石の特徴が写真と共に開設されています。

第4章からはいよいよ、現代の素晴らしいジュエリー、そしてアンティークコレクションが登場します。使われている宝石は多種多様。ゴッシェナイトやデマントイド・ガーネット、トラピッチェエメラルド、さらには緑めのうやカーネリアンまで!メゾン、そしてミュージアムや個人所有の素晴らしい作品や収蔵品が続きます。アンティークジュエリーには解説もついていますので、見るだけでなく読みごたえも素晴らしいものがあります。

世界中の素晴らしいコレクションと宝石に関する知識がここまで網羅され、1冊に収められた書籍はないのではないでしょうか。通常販売で購入ができないのが残念ですが、古書などで見かけた際にはぜひ手に入れていただきたいおすすめの図録です。


『 ジュエリーの神髄 アルビオンアート 至高の名品コレクション 』

『ジュエリーの神髄
アルビオンアート 至高の名品コレクション』
著 者■山口 遼
発行所■株式会社世界文化社
発行日■2024年5月5日

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芸術的に高められた世界屈指のジュエリーコレクションを、宝飾史研究家である山口遼氏の解説と共に堪能する1冊。すべて日本国内にあるコレクションです。製作当時の価値観や歴史的な背景を絡めて語られ、作品集としても解説書としても素晴らしいコレクション集です。

『 ジュエリーの神髄 アルビオンアート 至高の名品コレクション 』 オススメポイント!!
世界的なジュエリーコレクターでありアルビオンアート代表取締役の有川一三氏による世界屈指のコレクションが紹介されている、まるで展覧会のような作品集です。驚くべきことは、このすべてが日本国内にコレクションされているということ!1点ずつじっくりと眺め、解説を読み込み… 1冊を見終えるには1日ではとても足りません。

著者の山口氏は有川氏のことを「良いものの紹介者」と称賛しています。至高のコレクションをもしも自分自身で所有出来るならば何にも勝る幸運ですが、このようなコレクション集を作っていただくことで、広く多くの人たちが素晴らしい作品がこの世に存在することを知ることができます。

ひとつひとつの美しい写真には作者名・製作年代・製作国が添えられ、それぞれがテーマにまとめられ、小さな解説(とご本人は書かれていますが、とても詳しくワクワクするような内容にあふれています!)が添えられています。どういったモチーフがどういった思いを込めて形作られたものか、また、今では作ることができないような高度な技巧を持った職人がいたことなど、知れば知るほどに奥深いジュエリーの世界に没頭することができますよ。


『 天然石のエンサイクロペディア 』

『天然石のエンサイクロペディア』
著 者■飯田孝一(日本彩珠宝石研究所 所長)
発行所■株式会社亥辰社
発行日■2011年2月19日
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日本彩珠宝石研究所・飯田孝一所長による天然石大資料。125種もの石種を網羅し、美しい写真を見比べながら、鉱物学的、化学的知見からの解説を読みつつ、さらに伝承や流通まで幅広い知識を得ることができる、宝石・鉱物関係者、ファン必読の1冊です。

『天然石のエンサイクロペディア』 オススメポイント!!
内容を暗記するほど読み込んだ大辞典ともいえる1冊です。貴石とよばれる宝石ルースだけではなく、いわゆる半貴石といったものまで取り扱いがあります。宝石名、鉱物名、組成式、結晶系、硬度などの基本情報はもちろん、成分・産地的な特徴、空想の物語から伝承、さらには二転三転した間違った逸話など、学問だけではなくそれぞれの『石の物語』としてもとても興味深い話題が収められています。

2011年の発行ですので、ここ数年話題になったような新しい石種は載っていませんが、それらをしっかりと理解するための根本の知識を得ることができます。やや専門的ですが、何度も読みつつ本物にも触れることで、宝石鉱物の世界がぐっと身近になるはずです。

美しい写真には番号が振られており、それぞれの解説も載っているため、写真を見ながら解説をより具体的にイメージしながら読み解くのもとても面白く、石の世界が広がりますよ。


『 宝石図鑑 』

『宝石図鑑』
著者・監修者■KARATZ/小山慶一郎
発行所■日本文芸社
発行日■2023年8月1日
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ハンディサイズのコンパクトな大きさながら、300種以上もの宝石が紹介されています。「色別」分類で、お気に入りを見つけやすいのもポイントです。もちろん、レアストーンも多数掲載されています。宝石の特徴とともに、名前の由来や歴史的エピソードも知ることができ、広く詳しくなりたい人におすすめの1冊です。

『宝石図鑑』 オススメポイント!!
「あの宝石図鑑にも載っていない」「この宝石図鑑にも載っていない」と情報を探し回ることも多い、希少石まで網羅された1冊です。掲載された石種数は、大きな図鑑に劣りません。情報の正確性も高く、1冊で宝石の基本的な知識が理解できます。

宝石とは何か、宝石の美しさの基準とは、といったコレクターならずとも気になる点も詳しく解説。評価される宝石を押さえるために知っておきたい、産地やクオリティ、見分け方も解説されています。1つの宝石のページに、関連性のある石や間違えやすい石が紹介されていることもあり、読み進めるにつれて「なるほど!」と膝を打つこと間違いありません。

添えられた写真は、1点1点、カラッツのスタッフが実際に撮りためたものだそう!どれも自然光下で撮影されており、ありのままの輝きを見せてくれています。まだあまり知られていないコレクター垂涎の宝石もたくさん載っていますよ。すみからすみまでサラッと眺められます。次に迎えたい宝石を見つける、そんなお供に最適の書籍です。

この書籍で注目して欲しいのは、2か所!

1つ目は、34〜37ページです。普段はあまり考える機会がないかもしれない、宝石産地や買い付けのリアルな様子がわかります。鉱山にたどり着くまでに、コブラがでるジャングルを通過しないといけないとか!買い付け時はすり替えや犯罪に遭わないよう気をつけないといけないとか!美しい宝石が私たちの手元に届くまでには、幾重もの苦労があるのだとわかります。

274ページからの「宝石撮影のQ&A」もおすすめです。スマートフォンで宝石の美しさを最大に引き出し、撮影するテクニックなどが紹介されています。とっておきの1枚が撮れたら、ぜひSNSに「#わたしのトップストーリー」のハッシュタグをつけて投稿してください!topstoneの記事で紹介されるかもしれませんよ。


『 宝石Q&A 』

『宝石Q&A』
著 者■飯田孝一(日本彩珠宝石研究所 所長)
発行所■株式会社亥辰社
発行日■2012年6月15日
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宝石に関するあらゆる疑問へ、全50の一問一答+丁寧な解説付き。なんとなくあやふやだった部分が明快になる、「いまさら聞けない」と「知っていなくてはいけない」が解決する、Q&A方式宝石解説書です。

『宝石Q&A』 オススメポイント!!
誰しもが一度は抱くような一般的な疑問から、ショップスタッフのような販売側が「(お客様からよく聞かれるけれど実はあやふやで…)」といった専門的な疑問まで、ページをめくるごとにクイズを解くように知識を得られる読み物としても面白く、宝石を正しく知って、正しく購入し、正しく楽しむための1冊です。

質問の回答には宝石をイメージしやすい写真と、次頁に丁寧な解説が1ページ分付き、さらにその次のページには今の回答解説に付随する『かんたん宝石学』のページが続きます。そこには『ちなみに…』といった補足の説明が書かれており、さらに興味が深まります。「質問に答える+話題を盛り上げる」、といった、雑学的なトーク術にも使える知識が満載です。


『 自分にピッタリの石が見つかる! 天然石・ジュエリー事典 』

『自分にピッタリの石が見つかる!天然石・ジュエリー事典』
監修者■中央宝石研究所
発行所■株式会社池田書店
発行日■2008年3月25日

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魅力的なアクセサリーやジュエリーの写真と共に、その石の特徴や歴史を学べる1冊。巻末にはコーディネートの参考になるアドバイスや天然石のパワーなどまで網羅した、多方面から自分に合った天然石を探すことができる事典です。

『自分にピッタリの石が見つかる!天然石・ジュエリー事典』 オススメポイント!!
第1章は誕生石、第2章は代表的な天然石が44種取り上げられています。注目点は歴史や特徴と共に、品質の見方が記載されているところです。どのようなものが高品質なのか、一目で知ることができます。載せられているジュエリーやアクセサリーはページ下部に価格も載っていますので(発行時の価格です)、ほしいジュエリーを探す際の参考にすることもできます。

さらに巻末に進んでいくと、鑑別書・鑑定書の見方やリング・ネックレス・イヤリングのデザインの説明から始まるジュエリー基礎知識。宝石の扱い方や専門用語の説明は鑑別機関ならではの豊富な情報量と共に、初心者にもわかりやすく、写真やイラストが載せられています。

さらには天然石とアロマ、パワーストーンとしての天然石の見方、その日の気分で選べるチャート式の天然石診断まで、幅広いユーザーにマッチする内容です。


『 宝石を楽しむ ルースコレクターズ・マニュアル 』

『宝石を楽しむ ルースコレクターズ・マニュアル』
著 者■なかがわ
発行所■創元社
発行日■2020年11月30日

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ルース(裸石)に興味を持ったら、最初に読みたい1冊。ルースの定義や品質基準、選び方、鑑別など、ルースに関する“ひととおり”の知識を網羅できます。シンプルでわかりやすい語り口で、専門用語の解説も平易。納得しながら読み進められます。最終章では、コレクター道を極める道筋も紹介されています。

『宝石を楽しむ ルースコレクターズ・マニュアル』 オススメポイント!!
「ルースとは何か」から始まり、ルースの良し悪しの見方や探し方が解説されています。石種一つひとつの個性を掘り下げるのではなく、あくまで「ルースとは」という概要がまとめられた書籍。この1冊でルース世界の全体像が把握できます。また、著者自身がルースコレクターであり、行間からはルースへのあふれんばかりの愛情や悩みも読み取れます。ルースは鉱物標本とは異なり、人の手が入っています。だからこそ、そこに良し悪しの評価や価値が生まれます。

あなたは、どんな石を集めたいですか。「品質が良い石」「価値ある石」「子や孫に受け継いでいける石」、そして何より「自分が気に入った石」と答える人が多いのではないでしょうか。コレクションに加える価値がある石を見極めるには、ルースに関して正しい知識を持っていることが何より大切です。そして、知識とともに、多方面からルースを楽しみ味わう、技量も欠かせないでしょう。

「ルースについて基本的な知識を、網羅的に知りたい」「良い石の選び方を、ざっくり知りたい」「コレクターがどうやって石を見付けているのか知りたい」、そんな方はぜひ、本書を手に取り読んでみることをおすすめします。

この本では、ぜひ「宝石の処理」に言及した第5章にも注目してみてください。宝石は、美しさや強度を増す目的で「処理」が行われる場合があります。加熱や放射線照射、オイル含浸など、手法はさまざま。「人為的な処理が加わった宝石」と聞いて加工品、偽物、人工石…、ネガティブなイメージを持つ人もいるかもしれません。

しかし、実はルビーやサファイア、アクアマリンといった誰もが知る宝石も、大半は加工されています。無処理のルースのほうが少ないのが実際です。本書では、宝石の処理についても詳しく解説されています。本物の、品質の良い石を適正価格で入手するためには、この「処理」に関する知識は避けては通れません。宝石の価値を正しく知る一助として、きっと役に立ちます。


『 起源がわかる 宝石大全 』

『起源がわかる 宝石大全』
著 者■諏訪恭一、門馬綱一、西本昌司、宮脇律郎
発行所■ナツメ社
発行日■2022年4月21日

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宝石の生まれ方から定義、人類とともに歩んだ歴史、価値基準までを解説した書籍。この1冊で、宝石が一般的な“石”と区別され、価値を持つ理由がわかります。主要宝石からレアストーンまで網羅した図鑑ページは、コンパクトながら専門的な知識が満載。クオリティスケールや知られざるコラムも多数紹介されています。

『起源がわかる 宝石大全』 ◀オススメポイント!!
宝石は、なぜ価値を持つのでしょうか。

本書は、そんな素朴な疑問に、宝石学・鉱物学の観点からまっすぐに答えを与える1冊です。化学的観点の解説が豊富な点が、「大全」たるゆえんでしょう。宝石の品質や産地など、専門的で正しい知識を得たい人におすすめです。

また、豊富に掲載された美しい写真も目を引きます。開いて最初に登場するモゴック産のピジョンブラッド・ルビーとパライバ・トルマリンをはじめ、有名宝石からレアストーンまで、まるで書籍が光を放つような画像の連続!ルースや鉱物標本、ジュエリーになった宝石まで、世界レベル・博物館級の宝石が多数掲載されています。

国立西洋博物館が所蔵する「橋本コレクション」の指輪画像も、多数載っている点がポイント。めったにお目にかかれない橋本コレクションを、紙上ながら堪能できます。本書は、写真を見ているだけでも、間違いなく心躍る1冊です。

掲載されている宝石は、モース硬度で分類されています。産地による違いや個性的な宝石には、十分なページを割いて解説。真珠やコーラル、アンバーなど、生物起源の宝石までまとまっています。

コレクターなら手にしておきたい石種と特徴、価値がすべて分かる1冊。蒐集を始める前に、ぜひ読んでみてください。

ぜひチェックしてほしいのは、「第1章 宝石の基礎知識」です。この章は大きく2つの内容で構成されています。

まず、前半は「宝石ができる過程」の解説。地球の中がどうなっており、どのように宝石が生まれ、地表に運ばれるのか。宝石となって私たちの手元に届くあの石は、実に奇跡的な確率が続いた結果なのだと、あらためてその価値を実感できる内容です。

後半は、採掘された原石が宝石になる工程や価値基準が、多彩な角度から解説されます。輝きやきらめきの種類や光学効果、サイズ、さまざまなカットまで詳しく解説されているのは、さすが著者筆頭に宝石商・諏訪恭一氏が居並ぶからこそでしょう。

個々の宝石ページを見る前に、ぜひ第1章に目を通してください。宝石の価値がどのように決まるのかがわかり、コレクションに迎えるべき宝石をより精緻に見極められるようになるはずです。


『 美しいインクルージョンの鉱物図鑑 』

『美しいインクルージョンの鉱物図鑑』
著者・監修者■atelier Ruchi/門馬綱一
発行所■X-knowledge
発行日■2022年4月21日

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インクルージョン(宝石の内包物)に注目した1冊です。水晶のインクルージョンを中心に、トパーズやベリル、トルマリンなども紹介。2つと同じ石はないインクルージョン鉱物の魅力を、豊富な画像とともに解説します。読後にはインクルージョンに対する見方や価値観が変わり、コレクションを始めたくなるかもしれませんね。

『美しいインクルージョンの鉱物図鑑』 ◀オススメポイント!!

一般的に、宝石は「インクルージョンがないもの」ほど、価値があるとされます。インクルージョンは、宝石の透明度を下げ、美しさを邪魔するものと考えられるためです。しかし、見方を変えれば、インクルージョンは地球が生み出した芸術。それぞれに個性があり、特徴的な美しさを持っているともいえます。

本書はそんなインクルージョン鉱物の魅力が詰まった1冊です。鉱物の数だけあるとも、無数にあるともいわれるインクルージョン鉱物を、クォーツ(石英)を中心に集めました。インクルージョンの入り方やカラーを見極め、カットされた宝石たちは、どれも一幅の絵画のよう!

シダのような模様が入ったデンドリティック・クォーツや、降りしきる霧氷のようなマーカサイト・イン・クォーツは、ぜひご覧いただきたいところ。ほかにもキラキラ、ギラギラ、しっとり、モワモワ、シュッ、トロ〜リ、ふわふわ、トゲトゲ、さらにレインボーまで、とても語りつくせない豊かな表情に出会えます。

少ない文字で、簡潔にインクルージョンの特徴を語り切っているのも本書の特徴。ページをどんどんめくって行け、その度に新しい出会いが生まれます。クリアな宝石にはない、唯一無二の個性を持ったインクルージョン鉱物。その魅力に、どっぷりとハマれる1冊です。

主題のインクルージョン鉱物をどんどん見たくなりますが、そこをぐっと我慢して。冒頭6ページから13ページを、じっくり読んでみてください。インクルージョンの正体やでき方、種類が詳しく解説されています。よく見ると、インクルージョン自体にも、さまざまな形や色があり、鉱物(物質)なのだ、と気づかされます。宝石の解説書で、インクルージョンについてここまで詳細に言及した書籍は、見たことがありません。これぞ、インクルージョン鉱物専門書の面目躍如といったところでしょう。

また、本書の画像がどれも、自然さと鮮明さを共存させている点にも注目してみてください。これは著者が「できるだけ自然光で見たありのままの様子を」と狙って撮影したものだそうです。ルーペとほぼ同じ倍率で写されている点もポイント。手元に本物の石があるように感じられる、臨場感あふれる1冊です。


『 BRUTUS特別編集 合本 珍奇鉱物 』

『BRUTUS特別編集 合本 珍奇鉱物』
発行・編集人■田島 朗
発行所■マガジンハウス
発行日■2024年1月1日15

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ファインミネラルと呼ばれる特に美しい鉱物標本を特集した『珍奇鉱物』 『珍奇鉱物2』 を1冊にまとめた総集編。見たこともないほどの美しい鉱物の写真はもちろん、著名なコレクターへのインタビュー記事、同行取材記事が満載です。

『BRUTUS特別編集 合本 珍奇鉱物』 ◀オススメポイント!!
表紙の写真に使われているすべてが人の手が加わっていないナチュラルなものだということから、すでに驚きが始まります。とにかく写真が美しい!!美術本といっても過言ではありません。

ミネラル(鉱物原石標本)の中でも特に芸術的な美しさを持つファインミネラルと呼ばれる鉱物たち。それらを集めた究極ともいえる特集号です。1冊の中に世界最高のファインミネラル博物館が出来上がっているかのよう…!! 1ページ前面に大きく映し出された原石は、その細部のきらめきまで鮮明に見ることができます。名前を知っている鉱物も多いのですが、今まで知っていたものと本当に同じものなの??と思ってしまうほど。その美しい原石の姿はミネラルファンでなくとも必見です。インクルージョンを拡大したミクロの世界も普段はなかなか目にすることのできない別世界が広がっています。

読み物として特におすすめしたい部分は、中盤のキング・オブ・カシミール・アクアマリンの採掘記。採掘記というよりも冒険譚のようです。実際の採掘現場に同行し、実況中継のように語られる採掘の様子は、読んでいるだけで手に汗握る高揚感があります。

世界一の鉱物コレクター、ビル・ラーソン氏をはじめとした、世界の名だたる鉱物コレクターの紹介や、世界中のミネラルショーでのサプライヤー取材、さらには実は日本でも見ることができる鉱物の穴場ショップなど、お宝写真とお宝情報が満載のムック本です。

内容の立ち読みはこちらでも⇒BURUTUS


『 物語のある鉱物図鑑 』

『物語のある鉱物図鑑』
著者・監修者■ペズル/小田島庸浩
発行所■三才ブックス
発行日■2024年4月1日

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ありそうでなかった、宝石・鉱物にまつわる“物語”をまとめた書籍です。誰もが知る誕生石から、知られざる鉱物までを網羅。一つひとつにまつわる歴史的、あるいは文学的、民俗的なストーリーが紹介されています。見開き1ページで1〜2石が紹介される文量。読むほどに、宝石の新たな魅力が発見できます。

『物語のある鉱物図鑑』 ◀オススメポイント!!
紀元前から人類とともにあった宝石は、無数の物語を持っています。歴史的意義のある物語に発見時の冒険物語、ホロリとさせられる人情話…、宝石にまつわる物語を知れば、宝石を新しい視点で楽しめるようになるでしょう。本書では、宝石に深くかかわる有名人との物語も、多数紹介されています。たとえば、クレオパトラにマリー・アントワネット。ツタンカーメン、ゲーテ、ナポレオン。日本国内では菅原道真や武田信玄、平賀源内、宮沢賢治など…。

それぞれにまつわる物語、あなたはいくつわかりますか?

赤穂浪士で有名な、吉良上野介。彼の姓「吉良」は、実は鉱物に由来するそうです。地元でとれたキラキラと美しい鉱物に感銘を受けた上野介のご先祖が、「キラキラ=吉良」としたとか。嘘のようでホントの、そんな話も載っています。さて吉良の由来になった鉱物は、いったい何でしょうか?

物語と一緒に、それぞれの宝石・鉱物の基本的な知識もまとめられています。ポケットサイズの本で、携帯性も◎。どのページを開いても、魅力的な物語に出会えます。お出かけ時にバッグに忍ばせてみてはいかがでしょうか。カフェでちょっと読みたい、そんな小話が満載の1冊です。

この書籍、言葉の選び方や並び方が独特の美しさを持っています。とくに、それぞれの鉱物を解説するページ(見開きの右側です)冒頭に1~2行でまとめられた、導入文に注目していただきたいです。たとえばアマゾナイトには『地球の裏側で 美しい詩になった』。トパーズには『謎が多いほうが、魅力的に見えることもある』。そして金には、『むかーしむかし、おじいさんが山へ金を探しに行きました。』

本当にほんの一言、しかし鉱物にまつわる物語が端的に表現されており、この冒頭文だけを読んでいきたくなる魅力にあふれています。

調べたところ、本文を執筆したペズルさんという方は、絵本作家のよう。なるほど、だからシンプルでわかりやすく、しかしストーリーに人を引き込む力を持った言葉を綴るのですね。この書籍の裏話は、ペズルさんのnoteでも紹介されています。美しい画像の秘密も、要チェックです。


『 自然科学ハンドブック 宝石図鑑 』

『自然科学ハンドブック 宝石図鑑』
著者・監修者■キャリー・ホール/石橋 隆
発行所■創元社
発行日■2023年3月30日

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160ページ余りというコンパクトさに反し、見出し石種だけで210以上を掲載した図鑑です。細かな石種まで含めると、紹介種類は大判の図鑑に見劣りしません。「宝石図鑑」と銘打っていますが、鉱物的な解説も詳しいのが本書の魅力。宝石を軸に、鉱物学まで網羅した幅広い知識を習得できます。

『自然科学ハンドブック 宝石図鑑』 ◀オススメポイント!!
宝石は地球から鉱物結晶として産出され、結晶がカット・研磨されてルースになります。その鉱物・結晶からルースまでの過程を詳しく知れる1冊が、本書です。産出した際の様子や結晶の形状、色、バリエーションなどもじっくりと解説。読むにつれて、それぞれのルースが「なぜあの形にカットされるのか」が納得できるはず。

前半には、宝石に関する基本的な知識が簡潔に解説されています。合成宝石や、イミテーション・エンハンスメント(処理)にも詳しく言及。価値にも影響するポイントがまとめられています。ここはコレクターならずとも、気になるポイントではないでしょうか。それぞれの宝石を紹介するページには、おもな産地や価値基準、歴史的ストーリーも「ちょっとした解説」として掲載されています。また、カットルースの画像も豊富で、カットの違いによる美しさの変化も見てとれます。

有名宝石を中心に、レアストーンも多数紹介されています。注目株のフォスフォフィライトやパパラチアサファイア、ベニトアイトなども載っています。探していた「あの石」について、基本的な知識を習得できること間違いなし!

本書の厚みは2センチに満たないほどで、手軽に持ち運べます。ミネラルショーや展示会への持参にも最適です。

現在に至る宝石の歴史を解説した『時代ごとの宝石』(P30~)の章には、宝石・宝飾品の歴史や変遷がまとめられています。

現在のような機械を使った採掘や研磨ができなかった時代、人々はどのように宝石を探していたのでしょうか。また、宝石が宝飾品に加工されるようになったのは、いつごろから・どのようにして始まったのでしょう。考えれば考えるほど不思議な宝石の歴史の、概論が知れるページです。

また、神秘的な輝きを持つ宝石は、宗教や儀式とも無縁ではありませんでした。世界各国に残る宝石にまつわる歴史と伝承、実際に使われていたレリーフや仮面も紹介されています。


『 図説 鉱物の博物学[第2版] 』

『図説 鉱物の博物学[第2版]』
著者・監修者■松原總、門馬綱一、宮脇律郎
発行所■秀和システム
発行日■2021年10月1日

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貴石として、また資源として価値ある鉱物を、化学的・地質学的に解説しています。前半が鉱物の解説、後半は鉱物の化学組成や性質、生成過程、人との歴史などが解説されています。「鉱物がなぜ宝石になれたのか」がわかる、総合的に専門的な知識を得られる1冊です。

『図説 鉱物の博物学[第2版]』 ◀オススメポイント!!

「鉱物の化学式は、なぜ書籍によって書き方が違うのか」
「なぜ鉱物種によって、硬さに違いがあるのか」
「鉱物によって、産地が限定されるものがあるのはなぜか」

このような疑問の解決に役立つのが、本書。宝石たりえる鉱物種も多数紹介されていますが、観点はあくまで鉱物学。産状の特徴や生成する岩石、含まれる成分などがおもな内容です。

興味を引かれるのは、むしろ後半かもしれません。鉱物の種類や性質について、「なぜそうなのか」という疑問を一つひとつ解説してくれます。鉱物種ごとに異なる色を顕出する仕組みや、劈開・硬度の秘密もわかります。鉱物種ごとに異なる特徴は、鉱物の判別にも利用されています。本書では、鉱物種の判別に用いられる手法にも言及。語りつくせぬ鉱物の世界を、化学的に読み解きたい人におすすめ。巻末には鉱物採集の仕方や、鉱物展示がある全国の博物館・科学館も紹介。山や博物館に足を運びたくなること、請け合いです。

鉱物学の書籍なだけあって、宝石図鑑には載らないような石種も掲載されています。とくに注目したいのは、日本産鉱物の数々。大阪石(オオサカアイト)、箕面石(ミノオライト)、東京石(トウキョアイト)など日本の地名がついた石から、逸見石(ヘンミライト)に杉石(スギライト)、原田石(ハラダイト)など、人由来の名前がついた石も多数紹介。カタカナのオンパレードになりがちな鉱物書のなかで、なんだかほっとするひと時を過ごせます。

日本の国石「翡翠(ひすい)」についても、詳しい解説つき。緑色の翡翠に、なぜ赤色をあらわす「翡」の文字が入っているのかがわかりますよ。翡翠産地として有名な新潟県糸魚川市で、翡翠を上手に見つけるコツも解説されています。


『 Newton大図鑑シリーズ 鉱物大図鑑 』

『Newton大図鑑シリーズ 鉱物大図鑑』
監修者■松原總
発行所■Newtonプレス
発行日■2022年7月15日

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科学雑誌でお馴染みのNewtonによる鉱物図鑑です。世界に5,000種類あるといわれる鉱物から、代表的なものをピックアップ。宝石や光や輝きが魅力的な鉱物、生活に欠かせない鉱物など、基本知識に加え意外な利用法も紹介。宝石や鉱物が身近に感じられるようになる1冊です。

『Newton大図鑑シリーズ 鉱物大図鑑』 ◀オススメポイント!!

Newtonらしく、見やすくわかりやすいレイアウトで書かれた書籍です。主要な宝石や鉱物、貴金属を、石種それぞれの個性とともに紹介。でき方や特徴、利用法まで平易に解説されています。宝石や鉱物の世界に足を踏み入れる、入門書として最適です。

鉱物を生み出す地球とはどのような星なのか、その歴史や構造、物質も詳しく解説されています。ビジュアルが豊富につかわれており、視覚的にも理解しやすいでしょう。鉱物が生まれる場所・岩石に興味が湧いてくるかもしれません。

後半では、現代生活に欠かせなくなったレアメタル・レアアースの特集もあります。なぜ「レア」とされるのか、その定義に始まり、具体的な用途も事例をあげて紹介。セラミックにリチウム電池、太陽電池、さらにスマートフォンまで、意外なところで鉱物が活躍していることがわかります。

ちなみに、リチウムイオン電池の原料であるリチウムは、リチア輝石から採取されます。リチア輝石は、透明度が高く色が美しいと「スポジュメン」という宝石になる鉱物。地球から誕生したリチア輝石が、電池になるのか宝石になるのか…、そんな「鉱物の歩む道」を想像するのも、楽しい時間ではないでしょうか。

難解な用語にはフリガナがついています。中学生以上くらいから楽しめる、ビジュアル重視のムックです。

鉱物から派生した「よもやま話」をまとめたコラムを、ぜひチェックしてみてください。隕石やジオード(晶洞)、化石など、一度は読んでおきたい・知っておきたい知識が満載です!同素体や同質異像、蛍光と燐光といった、鉱物を理解する上で重要な解説もキャッチできます。

人工ゆえに、鉱物書であまり語られることのない、ビスマスにも2ページを割いて解説。なんとビスマスは、家庭のキッチンでもつくれるそうですよ。作り方を見ながら、キッチンから結晶を生み出してみたくなること間違いなしです。


『 鉱物アソビ 』

『鉱物アソビ』
企画・編集・執筆■フジイ キョウコ
発行所■スペースシャワーブックス
発行日■2008年10月25日

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鉱物そのものを見たまま感じたままに楽しむためのガイドブック。ミュージアムや鉱物の専門店のコレクション、美術家のギャラリーの写真などもふんだんに掲載されています。まっさらな気持ちでただひたすらに石を愛でる、インテリアのように楽しむ、そんな提案をしてくれる1冊です。

『鉱物アソビ』 ◀オススメポイント!!
豊富な写真はすべてが芸術的で、そこに独特の時間の流れを感じます。こんな風に鉱物を飾ってみたい、そう思わせるインテリアブックのような1冊です。巻末にはおすすめ書籍や年間のミネラルショーカレンダー、日本全国の鉱物博物館の紹介などまで掲載されています(発行当時)。

学術的な難しい内容は一切なし。そのかわりに、純粋に『見たまま』を楽しめるような説明が感覚的な語りでつづられています。美しい写真から石にあこがれを持ったら、本物を見るためにミュージアムや展示会、専門店へ。そしてそこで一期一会に出会ったら、家に連れて帰って、どんなふうに飾ってみようか、そこまでの一連の流れが体感できるような構成になっています。

思ってもみなかった鉱物の楽しみ方に出会える書籍です。


『 鉱物みたいなアクセサリー 』

『鉱物みたいなアクセサリー』
著 者■金子あゆみ、阿部桃子
発行所■学校法人文化学園 文化出版局
発行日■2016年4月24日

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鉱物に見立てたレジンで作るアクセサリー。美しい作品写真のあとには、実際の作品レシピや基本のアクセサリー加工テクニックが載っています。

『鉱物みたいなアクセサリー』  ◀オススメポイント!!
カラフルで可愛らしい、世界に一つしかない原石鉱物モチーフのアクセサリー作品集です。

載っている「鉱物」はすべて『レジン』で作られたものですが、実際の天然石で作ることもできそうな作品が満載です。本物の鉱物から型を取って作られているものもありますので、レシピを参考に、自分だけのオリジナルアクセサリー作りに挑戦してみては…!?

※TOPSTONEでの書籍の販売はありません。各種媒体・書店にてお買い求めください。


世界の宝石&標本コレクターの紹介 -No.1

世界には美術館か、博物館かと見紛うレベルのコレクションを持つ人もいます。今回はドイツ南西部にあるミュールハイム(Mülheim an der Ruhr)にプライベートギャラリーを構えるファビアン・ヴィルドファング氏を紹介しましょう。

ヴィルドファング氏は、世界的なトップコレクターとして宝石界で知られた存在です。彼の本業は、会社経営。世界規模で展開するグローバル企業を経営しています。ヴィルドファング氏は、「ファインミネラル」と呼ばれるジャンルの宝石コレクションの第一人者。ファインミネラルとは、鉱物標本の中でも審美的に優れているとされるピースを指します。アートの1ジャンルとしても、人気です。

彼のコレクションには、1,000以上ものファインミネラルが収蔵されています。美しさの点で選りすぐられた石たちは、どれも最高級品質。形状から色、個性、独自性まで洗練され、見る者を飽きさせません。ウォーターメロンと呼ばれるバイカラーのトルマリンや放射状に結晶したインディゴライトトルマリン、ワイヤー状の自然銀の先にある薔薇の花のようなロードクロサイト。信じられないほどの透明度を誇るビビアナイト、自然が生み出したとは思えないほど高い芸術性を持った自然銀とクォーツ結晶など、魅力を語り始めると…時間がいくらあっても足りないほど!

ルースとはまた異なった、鉱物標本が持つ美意識を存分に教えてくれる世界最高峰のコレクションであり、コレクターです。興味を持っていただけたら、彼のコレクションを収録したアートブック『The Wildfang Collection : Where Minerals Meet Art / FABIAN WILDFANG』がおすすめです。

世界の宝石&標本コレクターの紹介-No.2

宝石とはまた違った魅力を放つ、「模様石」の世界を知っていますか。アゲート(瑪瑙)やゼブラロックと呼ばれる堆積岩に代表される、文字通り特徴的な模様を持つ石です。石の数だけあるともいわれる模様の種類は、実に多様。縞模様や目玉模様は当たり前、幾何学模様や宇宙人のような印象を与える石まで!

国内では、装丁家・山田英春氏が模様石コレクターとして知られています。山田氏のコレクションには、自然が作り出したとは思えない造形美の模様石が、これでもかというばかりに並びます。中には、ロイヤル・インペリアル・ジャスパーやサンダーエッグ、モス・アゲートなど、宝石や結晶コレクターが気になりそうな石も多数。山田氏が所蔵する芸術的な石の数々は、『不思議で美しい石の図鑑』(創元社)でチェックできます。

世界の宝石&標本コレクターの紹介-No.3

ビル・ラーソン(ウィリアム・ラーソン|William Larson)は、コレクションがかのスミソニアン国立自然史博物館に常設展示されるほどのコレクターです。ルースになる前、ミネラル標本の蒐集で世界的に知られ、専門家や博士も思わずうなる、極上の品を所有しています。

ラーソンさんが鉱物に興味を持ったのは、6歳のころ。家の近くで見つけたメノウを割って見つけた、キラキラと輝くクリスタルに魅せられたのがきっかけだそうです。以来、たぎる情熱をミネラルに注ぎ続け、ついには鉱山を所有するまでに!ヘルデライトで知られるブルー・チワワ鉱山、アクアマリンのマック鉱山、トパーズのリトルスリー鉱山と、いずれも大成功します。

チェーンのように結晶が連なったフローライトや、「カタツムリ」との愛称がついたロードクロサイト。鮮やかな色彩のレインボー・ガーネット、白いカルサイト母岩とのコントラストが際立つピジョン・ブラッド・ルビーなど、どれもため息しか出ない美しさです。

世界の宝石&標本コレクターの紹介-No.4

クランツ商会」の名をご存じでしょうか。日本の鉱物研究にも多大な影響を与えた、ドイツの超老舗ディーラーです。始まりは1833年。世界で初めて、鉱物結晶の木製模型を製作しました。

木製の結晶形態模型は、鉱物の模式形態を正確に立体化しています。鉱物の対称性の学びに欠かせない題材で、明治初期に日本にもたくさん輸入されました。東北大学にも、クランツ商会の木製結晶模型が保存されています。また、ガラス製の模型も製造。透明で内部が見える特性を生かし、内側には鉱物結晶の軸がカラフルな糸で張られています。鉱物を本格的に学ぶ人には、必須といえる教材でしょう。

クランツ商会には、創業当時につくられた貴重な模型928個が、いまも大切に保管されています。年1回のオープンデーには、一般公開されるとか。ドイツのボンにいますぐ飛びたくなる、そんなコレクションの紹介でした。

世界の宝石&標本コレクターの紹介-No.5

ジュエリーコレクションなら、「アルビオンアート・コレクション」を見逃すわけにはいきません。アルビオンアート・コレクションは、紀元前3000年から現代まで、とりわけヨーロッパの往古貴族が愛したジュエリーを集めた、一大コレクションです。

国内外の美術館や博物館にも貸し出されるという希少なジュエリーを集めたのは、日本人の有川一三氏。宝石や美術品の輸入販売を手掛けるアルビオンアート株式会社の創業者です。

アルビオンアート・コレクションには、「ロシアの女帝エカテリーナが贈った、エメラルドとダイヤモンドのネックレス」「ルネサンス時代に、水晶彫刻の巨匠によってつくられた従事か」など、この世のものとは思えない美しさを持つジュエリー・工芸品がぎっしり。専門家すら「腰を抜かすほど感動した」と称える価値を持っています。

時折、欧米の展覧会に貸し出されるそうです。もしかしたら、旅行先で日本の蒐集家があつめた逸品に出会えるかもしれませんね。

世界の宝石&標本コレクターの紹介-No.6

世界に名だたる宝石コレクションを持つ博物館といえば、スミソニアン国立自然史博物館(Smithsonian National Museum of Natural History)です。収蔵する鉱物標本は、37万5,000種以上!科学的研究支援のために研究者たちに開放されていますが、一生かかっても堪能しきれないかもしれません。

「蒸気船」という愛称を持つバイカラー・トルマリンの標本や、50センチ以上はあろうかというトパーズの結晶など、コレクターならずとも一度は見ておきたい鉱物標本を見ることができます。

「スミソニアンは遠くて」という人には、国内コレクションをご紹介。日本の大学博物館として最大規模といわれる、京都大学総合博物館はいかがでしょうか。鉱物標本2万点以上をはじめ、化石や植物標本など260万点以上の学術資料が展示されています。

北海道大学総合博物館も、鉱物・岩石標本専門のエリアをもっています。整然と並べられた標本の数々は、静謐な美しさを放ち、いつまでも見ていたくなるほど。マンガン鉱物や鉱石、北海道産の鉱物標本が豊富です。

世界の宝石&標本コレクターの紹介-No.7

大きな宝石をふんだんにあしらった、まばゆいばかりのジュエリーが似合うのは?セレブや芸能人ももちろんですが、やはりロイヤル(王室)を置いては語れないでしょう。実際、各国のロイヤルは、多くの有名なジュエリーコレクションを保有しています。

イギリス王室の「インペリアル・ステート・クラウン」は1937年、ジョージ6世の戴冠式のために制作されました。ダイヤモンドが2,868個、サファイアが17個、エメラルド11個、パール269個があしらわれています。

モナコ公妃グレース・ケリーが、レーニエ大公から贈られた指輪には、10.74カラットものダイヤモンドがついています。ちなみに、それ以前にルビーとダイヤモンドがあしらわれたリングも贈ったとか。グレース・ケリーは婚約指輪を2つ持っていたのですね。

皇帝ナポレオンは、2番目の妻マリー=ルイーズにダイヤモンドのネックレスを贈りました。ダイヤモンドが234個使われたこのネックレスは、当時の皇后の年間予算相当の額だったとか。

いまも受け継がれるロイヤルジュエリーたちにも、ぜひ注目してみてください。

世界の宝石&標本コレクターの紹介-No.8

三菱鉱業株式会社の顧問であり、鉱物学にも造詣が深かった「若林彌一郎」の名前をご存じでしょうか。東京帝国大学工科大学採鉱冶金学科を卒業し、後に工学博士になった人物です。

若林は鉱物集めにも熱心で、個人でありながら生涯に2,000点以上の鉱物を蒐集しました。アマチュアのコレクターとしては、世界的に見ても稀有な標本数だといわれます。

彼が集めた標本は、大半が国内鉱山産のもの。現在は閉山した鉱山で採れたものも多く、貴重な日本産鉱物標本群です。

若林の鉱物コレクションは、現在は彼の母校でもある東京大学に保存されています。種類と質の両面から高く評価されており、和田標本(三菱マテリアル)・高標本(九州大学)と並び「日本の三大鉱物標本」ともいわれるとか。

ちなみに、若林は「若林鉱((As,Sb)11S18・単斜晶系・硬度1.5)」の発見者でもあります。彼のコレクションをまとめた冊子「若林標本」は、英語にも翻訳されました。運がよければ古本屋で出会えるかもしれませんね。


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