アメリカの三大希少石「ベニトアイト」とは?青く美しい煌めきが魅力!

ダイヤモンドを思わせる眩い輝きを放つ、青い宝石「ベニトアイト」。その透き通るような青色は、サファイヤを連想させる美しさです。ベニトアイトは、アメリカの三大希少石の一つに数えられているほど非常に希少性が高い宝石です。
この記事では、ベニトアイトの魅力を、宝石と鉱物の視点からわかりやすくご紹介します。
気品さえ感じさせるベニトアイトに、ぜひ魅了されてみてください。
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1.宝石・ルースとしてのベニトアイト

宝石・ルースとしてのベニトアイトについて、品質や特徴、逸話などをご紹介します。
■高品質なベニトアイトとは

最高品質のベニトアイトは、下記の特徴を持ち合わせています。
透明度が高い
色ムラが少ない
色が濃くて鮮やか
インクルージョンが少ない
カラット数が大きい
カットが美しい
産出量が非常に少ないベニトアイトの中でも、透明度が高いものは高価になります。ベニトアイトは美しい青色~無色のものまでありますが、最高品質のものは色が濃く鮮やかで、色ムラが少ないことが特徴です。
また、液体やほかの鉱物の内包物であるインクルージョンが少ないベニトアイトは、光の屈折が邪魔されず強く輝くため、高グレードとなります。元々産出量が少なく市場に出回りにくいベニトアイトは0.5カラットを超えるものは希少で、1カラットを超えるものになると100万円以上の値がつくことも珍しくないほどです。
さらに美しいカットが施されていれば、最高グレードとして価格は高くなります。主要な産出地であった鉱山が閉山されたこともあり、ベニトアイトは今後さらに希少価値が高くなると予想されています。
■ベニトアイトの特徴
ベニトアイトの最大ともいえる特徴は、その分散率にあります。分散率は、光が宝石の中で七色に分散され屈折して反射する角度の差を測るものです。分散された光は虹色に輝き、この輝きは「分散光」や「ファイア」と呼ばれます。
ベニトアイトは0.044-0.046と高い数値を誇ることが特徴で、とても強い虹色の輝きを放ちます。ダイヤモンドが0.044とされているので、その輝きの強さは同等レベルです。さらに光の反射率も高く、ベニトアイトと同じくブルーカラーが魅力のブルーサファイヤより輝きが強いことも特徴の一つとなっています。
また、ベニトアイトは複屈折性があるために、二色性を持ちます。当たった光が石の中で2本に分かれて屈折していく「複屈折率」が高く、見る角度によって青色や青紫色へと見える色が変わる「ニ色性」も強くなる仕組みです。複屈折率が高いために、像が二重に見え「ダブリング」効果が発生し、写真を撮ると輪郭がボヤけてしまうこともあります。
ちなみに、ベニトアイトの多くは青系の色をしていますが、中には無色のもの、二色の色合いが楽しめるバイカラーのもののほか、ピンク色やオレンジ色のものもあります。
ただし、実際天然色のピンク色やオレンジ色のベニトアイトは幻レベルの稀少さで、残念ながら加熱処理加工によるものがほとんどのようです。
見る角度によって違った「青色」を楽しめるうえ、華やかなファイヤを見ることができ、また短波紫外線を当てることで青色に蛍光し、より神秘的な輝きを放つベニトアイト。このようにいくつもの特徴を持ち合わせていることで、ベニトアイトは非常に美しい輝きを放ち、数あるブルーの宝石の中でも特別な存在として扱われています。
■ベニトアイトの歴史と名前の由来
次に、ベニトアイトの歴史とその名前の由来を紐解いていきます。
ベニトアイトの歴史
諸説ありますが、ベニトアイトが発見されたのは1906~1907年とされています。アメリカのサンベニト郡のディアプロ鉱山で、探鉱者により偶然発見されたと伝えられています。たどり着くのが困難な荒れた土地で、もともとは水銀の鉱脈を求めて探検家が山に分け入ったそうです。
約一か月弱に及ぶ探検の結果、ある朝、川の向こう側に煌めく無数の青い鉱物を発見。それが、ベニトアイトの歴史的な発見であったと伝えられています。ただし青色が美しいベニトアイトは、発見された当時、サファイアまたは当時非常に稀産だったブルーのスピネルと考えられていたそうです。
ところが当時の地質学者はベニトアイトの結晶がスピネルの結晶とは異なる形であることに気付き、カリフォルニア大学の鉱物学博士に調査を依頼しました。この鉱物学博士の研究によって、ベニトアイトは未知の鉱物であり、サファイヤやスピネルとは別物であることが分かったとされています。
名前の由来
ベニトアイトという名前は、最初に発見された「サンベニト郡」に由来します。
なお、サンベニト郡は、中世キリスト教の修道院長で既婚者の守護聖人であった「聖ベネディクト(サンベネディクト)」にちなんで名づけられたという逸話があります。
その後ベニトアイトは、1985年にカリフォルニア州の州宝石に指定されました。サンベニト郡のディアプロ鉱山は2005年に閉山し、現在では限られた場所でしか産出されない幻の宝石となっています。
■ベニトアイトの産地

ベニトアイトは、世界中でも限られた場所でしか産出されません。特に宝石品質のものはアメリカのサンベニト郡にあるディアプロ鉱山が主な採掘地であったことから、閉山した今ではとても希少になっています。
ほかにも、アメリカのアーカンソーやベルギーでもベニトアイトが採掘されることがあるようですが、サンベニトほどの宝石質のものの産出は現在のところありません
サンベニト郡のディアプロ鉱山が閉山後、土地が均され売却されました。ただし、この土地の地質が泥を含んだものであることから、丁寧にクリーニングをほどこせばまだ眠っている原石が見つかるかもしれないという見方もされているそうです。
日本でも、下記の場所でベニトアイトが発見されています。
新潟県糸魚川市青海
東京都奥多摩町白丸鉱山
ただし、日本で採掘されるベニトアイトはアーカンソー州やベルギー産同様とても小さく、鉱物標本として出回っているものがほとんどです。
2.鉱物・原石としてのベニトアイト

(Wikipedia掲載画像)
Rob Lavinsky, iRocks.com – CC-BY-SA-3.0, CC 表示-継承 3.0,
https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=10447411による
鉱物・原石としてのベニトアイトも、ここから詳しく見てみましょう。
■組成について
ベニトアイトの組成は、下記の通りです。
英名 | Benitoite(ベニトアイト) |
和名 | ベニト石 |
成分 | BaTiSi₃O₉ |
結晶系 | 六方晶系(三方晶系) |
モース硬度 | 6.0-6.5 |
屈折率 | 1.76-1.80 |
劈開 | 不明瞭 |
色 | 青色、無色、ピンク、オレンジなど |
主な産地 | アメリカ・カリフォルニア州サンベニト郡 |
ベニトアイトは、バリウムとチタンを含むケイ酸塩鉱物に分類されます。熱水によって変質した蛇紋岩や片麻岩の脈などに生成されるベニトアイトは、ソーダ沸石やアルバイト、ネプチュナイト、サーペンティンなどと一緒に採掘されることが多いです。
ちなみに、ベニトアイトの青色はチタンによって発色すると考えられていますが、まだ解明されていないそうです。
■原石の形状
ベニトアイトの結晶は六方晶系で、平たい三角形の両錐状が一般的です。ダビデの星を思わせる「六芒星形のような形」と表現されることもあり、そのユニークさもまた魅力です。
ベニトアイトの結晶は、隣り合う面ではなく、一つ飛ばした面がそれぞれ同じであるという特徴があります。これは三方晶系における特徴ですが、三方晶系は六方晶系に含まれるという説もあるため、ここでは「六方晶系(三方晶系)」と記しています。
おにぎりの形をイメージしてください。ベニトアイトの結晶の形はまさにそのような、他に類を見ない独特の形状をしています。三角形の三つの角をそれぞれ落としたような長短が交互に来る六角形です。これが『一つ飛ばした面がそれぞれ同じであるという特徴』です。
また、さらに珍しいことに、この六角形の中心部分が盛り上がり、両面にとがった部分ができる両錐状の結晶を作ります。この非常に特徴的な結晶の形は、1830年にドイツの鉱物学者によって提言されていたものの、このベニトアイトの発見でようやくその説が正しいことが証明されたそうです。
■鉱物としての魅力
鉱物としてのベニトアイトも、強い二色性が確認できるものが多いです。そのものの色だけでなく、見る角度によって変わる色を楽しめるのがベニトアイトの原石の魅力です。
また原石であってもキラキラとした輝きを確認できるものもあり、その美しさに魅了される人は多くなっています。ネプチュナイトとセットになっている原石も珍しくなく、そのコラボレーションを楽しむコレクターもいるようです。
また、特徴的な結晶の形状を楽しむために、母岩を残した状態の美しい標本も非常に人気です。ただし、単純に宝石の加工用としてベニトアイトの結晶だけを取り出す場合とは異なり、母岩をすべて溶かさずに綺麗に整える作業の方が実は作業が難しく、美しい標本に出会ったら是非手に入れておきたい鉱物でもあります。
3. ベニトアイトをより楽しむために

ディアプロ鉱山が閉山し、ベニトアイトはさらに希少な存在となっています。今後はさらに希少価値が高まり、なかなかお目にかかれなくなってしまうのではと想定する人も多くいるほどです。そんなベニトアイトの、その他の楽しみ方についてもご紹介します。
■ベニトアイトの石言葉
ベニトアイトの石言葉は、下記の通りです。
気品
希望
成功
ベニトアイトそのものの美しさを表すような、前向きな言葉となっています。
■ジュエリーとして
小さなベニトアイトでも、ファセットカットに研磨すると虹色の美しいファイアが確認できます。そのため、指輪などでベニトアイトを楽しむ方も多いでしょう。産出量が少なく希少なベニトアイトは小粒のものがほとんどですが、硬度もそれほど高くないため、取り扱いには注意が必要です。
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4. まとめ
日本でも産出されることがある身近な宝石ですが、アメリカの三大希少石に数えられるほどのレアストーンである、ベニトアイト。流通量が少なく主な鉱山が閉山していることから、ベニトアイトの希少価値は今後さらに上がると予想されています。ダイヤモンドのように強く輝き、圧倒されるような美しい青色を持ち合わせるベニトアイトの魅力を、ぜひ一度その目でご覧になってみてはいかがでしょうか。
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この記事を書いた人

Aria
TOP STOneRY / 編集部ライター
トップストーン編集部がお届けする「トップストーリー」メディアでは、古くから愛されている誕生石の歴史やエピソード、最新のレアストーンの特徴、宝石の楽しみ方をわかりやすく解説しています。「天然石の魅力をもっと多くの方に知ってもらいたい」という想いで、個性溢れるライターが情報発信しています。