ネオンブルーの希少石アウイナイトの特徴や組成、魅力や宝石にまつわる逸話について紹介

ネオンブルーの煌めきが美しいアウイナイトは、印象的な輝きを放つ宝石です。しかしアウイナイトは産出量が少ないため「幻の宝石」と呼ばれています。
サファイアよりも美しいと称されているアウイナイトは、どのような宝石なのでしょうか。そこで本記事では、希少石であるアウイナイトの特徴や組成、そして魅力や輝き方について天然石の卸会社であり宝石のプロのTOPSTONEが詳しく紹介します。
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1. 宝石・ルースとしてのアウイナイト

はじめにアウイナイトの概要について紹介します。希少石であるアウイナイトとはどのような特徴があるのか、そして輝き方や宝石にまつわる逸話についてまとめました。
それでは、アウイナイトの宝石としての魅力を確認していきましょう。
■高品質なアウイナイトとは

コバルトブルーにネオンの輝きが美しいアウイナイトは、ドイツでしか産出されないレアストーンです。まるでイタリアにある「青の洞窟」のような輝きに魅了されるでしょう。
自ら発光しているようなネオンの煌めきは、アウイナイトでしか感じられない聡明感があります。アウイナイトはラピスラズリの構成鉱物のひとつで、美しい青い色の主因とされています。
そもそもアウイナイトは産出する結晶自体小さく、その中でもルース加工ができる宝石質の結晶は少ない傾向があります。さらに硬度が低く劈開が明瞭で靭性が低いという理由から、アウイナイトの加工難易度は最高位レベルといえるでしょう。
さまざまな要因のもと、アウイナイトは「幻のジュエリー」としてコレクターに人気を博しています。
■アウイナイトの輝きと特徴
海の底まで届きそうなネオンブルーの輝きが特徴的なアウイナイト。一方で少し黄みを帯びているアウイナイトは、ブラックライトで照らすとオレンジ色に蛍光します。
2つの顔があるといわれているアウイナイト。その中でも蛍光するアウイナイトは更なるレアストーンといっても過言ではなく、コレクターや鉱物好きにはたまらない魅力だといえるでしょう。
アウイナイトはネオンブルーの発色が特徴的ですが、ブルー色は薄い発色より濃い発色が好まれ、透明度が高く内包物やキズが少ないものほど価値が高いとされています。
またアウイナイトの産出は小粒であることが多いため、大きい結晶体はとても珍しく、なかなか見ることができません。
■アウイナイトにまつわる逸話
世界5大宝石のひとつ「サファイア」ですが、アウイナイトはそのサファイアになぞられた「アイフェルのサファイヤ」と愛称をつけるほど、ドイツの人々にとって自慢の宝石です。
また美しいネオンブルーの煌めきは、サファイアよりも高価格になることもあるレアストーンです。
■アウイナイトの産地

宝石質のアウイナイトが採掘されるのは、ドイツのライン川沿いの街コブレンツの西に10kmほどにある「アイフェル鉱山」のみです。
しかし現在では、アイフェル鉱山の商業的な採掘は終了しています。ドイツ以外でもパキスタンからの産出も報告されていますが、色が薄かったり透明度がなかったりすることから、宝石質のアウイナイトを採掘できるのは現状ドイツだけです。
またアウイナイトはドイツの都市である、イーダーオーバーシュタインのディーラーが保管している原石があり、希少ではありますが1カラット前後のものが香港やツーソンの展示会で見られています。
そして昨今では、瑠璃色の宝石“アウイナイト”を採掘できるよう、鉱山の再開が待ち望まれています。
2. 鉱物・原石としてアウイナイト

(Wikipedia掲載画像)
Didier Descouens - 投稿者自身による著作物, CC 表示 3.0,
https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=9583648による
次に、鉱物の原石や組成についてアウイナイトを解説します。
■組成について
アウイナイトの組成情報は以下のとおりです。
英名(カタカナ) | Hauynite(アウイナイト) |
和名 | 藍宝石(らんほうせき) |
成分 | (Na,Ca)₄-₈Al₆Si₆(O,S)₂₄(SO₄,Cl)₁-₂ |
結晶系 | 等軸晶系 |
モース硬度 | 5.5 – 6 |
比重 | 2.44 – 2.50 |
屈折率 | 1.49 – 1.50 |
劈開 | 明瞭 |
色 | 赤(濃淡)青色、帯灰白色、帯緑白色、帯黄白色、帯赤白色 |
主な産地 | ドイツ:アイフェル地方 |
アウイナイトの鉱物名はアウィンですが、アウイナイトという名前は、フランスの鉱物学者のルネ・ジュト・アウイ(以下 アウイ)に由来して名付けられました。
アウイは、方解石が破壊されて出来た微細な破片がすべて同じ形であることを観察しました。これらの形は菱面体と呼ばれ、一定の大きさと角度を持っていたのです。そしてアウイは、「結晶は小さな多面体(基本単位)の繰り返しでできている」という結晶構造の理論を示しました。
またパリのエッフェル塔には建設に関わった科学者や技術者、発明家たちの名前が刻まれていますが、アウイもその中のひとりです。
アウイは結晶学や鉱物学の分野で重要な業績を残し、その功績が讃えられアウイの名前もエッフェル塔に刻まれました。
アウイは鉱物の名前となったりエッフェル塔に刻まれたりと、歴史的に偉大な鉱物学者だった様子がうかがえます。
ちなみに和名にあたる藍宝石は、同じ主要構成鉱物の青金石や方ソーダ石、黝方石(ゆうほうせき)と同じ、藍色の方ソーダ石グループの石という視点から名付けられたのです。
■原石の形状
アウイナイトは準長石に分類されており、珪酸が乏しい火成石や変成石に結晶します。またドイツのアイフェル地方では、火山の溶岩が分布しているため、軽石質の母岩にアウイナイトが生成されているのです。
アウイナイトの原石は母岩の隙間に小さく入り込むような形に生成されており、0.1カラット台の小さな結晶が多いのはそのためです。
アウイナイトは軽石の採石場にて発掘されます。本来軽石やブロック、コンクリートの建材に用いられる採石場ですが、山側に広がっている採石場の柔らかな地盤を崩してアウイナイトを採掘します。
また一般的にアウイナイトは採石場にある、砂利が集まり露出した堆積層から産出しています。一方で雨が降ると付着した泥が落ちて青く輝き、灰色の土砂の中に隠れていたアウイナイトが見つかることもあるようです。
基本的にアウイナイトの結晶は主に8面体や12面体ですが、不規則な形をした小さな粒子状のものがよく産出されます。丸い小さな青い粒や、2つ以上の同じ種類の単結晶が規則性をもって結合し双晶となっているものも少なくありません。
またアウイナイトは結晶中に曇りやキズがあることが多く、無傷な石をカットするのは至難の業。そのため無事にファセットカットされたものは、コレクターストーンとして流通しているのです。
■原石コレクターから見た魅力
アウイナイトが含まれているトライカイト(粗面岩)は軽石質の岩石です。トラカイトの母石は脆く少しの衝撃で結晶が脱落してしまうため、アウイナイトが産出する場所では風化した土壌の上に青い粒が散らばっているといわれています。
また、響石(きょうがん)と呼ばれる粗面玄武岩(そりゅうげんぶがん)の中に、カリ長石やノゼアン、白榴石(はくりゅうせき)や斜長石(しゃちょうせき)などと共に1mm程度の結晶や粒状、そして団塊状でアウイナイトは発見されます。
アウイナイトの標本では、外れてしまった結晶と母石を接着し修復したものや、採集したアウイナイトの粒を別の母石に接着した標本も数多く販売されています。そのためアウイナイトが母石に付いている無修正の標本は珍しいといえるでしょう。
アウイナイトの原石は、濃く透明感のあるインテスブルーの結晶が散りばめられており幻想的です。原石は同じ色や形ものはなく、唯一無二の存在感があります。ブルーの輝きを愛でながら楽しむのも、アウイナイトの楽しみ方のひとつといえるでしょう。
3. アウイナイトをより楽しむために

続いて、アウイナイトの楽しみ方について紹介します。
■石言葉
ドイツのみで産出される希少価値の高いアウイナイトは、0.1カラット台が一般的です。他のカラーストーンと比べると小粒と分類されますが、アウイナイトは透明感のあるネオンブルーの結晶が美しいため、小粒であってもインパクトがあります。
またアウイナイトの石言葉は、「高貴」「情熱」「過去との決別」など。例えば新しい生活に踏み出し慣れ親しんだ環境からの別れが必要なとき、アウイナイトを身に付けていると、次のステップへ進めるようそっと背中を押してくれるといわれています。
■カット
アウイナイトの完全な結晶体はとても希少ですが、透明度が高いものが産出された場合「ブリリアントカット」や「ミックストカット」を楽しめる宝石です。なお半透明や不透明のアウイナイトでは、主に「カボションカット」に研磨されます。
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4. まとめ
サファイアより美しいといわれることもあるアウイナイトは、ネオンブルーの結晶が美しく小粒であっても魅力的でインパクトがある宝石です。しかし現在では、商業的な採掘はしていないため、今後さらに希少となる可能性があります。
アウイナイトはレアストーンなので多く流通はしているわけではありませんが、機会が一瞬で惹きつけられるネオンブルーの煌めきをぜひ、体験することをおすすめします。
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この記事を書いた人

どいまちこ
TOP STOneRY / 編集部ライター
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