「世界一美しい隕石」パラサイト隕石とは?全隕石1%未満の希少性とオリビンが生む美しさ
隕石。
宇宙から地球へと飛来した石というだけで、壮大なロマンを感じさせる存在です。地球の大気圏に突入しても、そのすべてが地表までたどり着くわけではなく、私たちが実際に目にできるものは限られています。
今回紹介するパラサイト隕石は、そんな隕石のなかでも特に希少な存在です。しかも、「灰色の石」という隕石のイメージをくつがえすような美しさを持ち、「世界一美しい隕石」と称されることもあります。
宇宙から飛来した美しき贈り物、パラサイト隕石。その希少性や魅力、でき方について詳しく紹介します。
▶ TOP STONE で販売中のパラサイト隕石
intro:パラサイト隕石とは?
パラサイト隕石は、確認されている隕石の1%未満とされる希少な隕石です。鉄・ニッケルを主成分とする金属と、主にオリビン(かんらん石)などのケイ酸塩鉱物からなる、石鉄隕石の一種に分類されます。
はじめに、パラサイト隕石とはどのような石なのか、その特徴を見ていきましょう。
■隕石は大きく3種類
一般的に「隕石」と一括りにされがちですが、隕石は成分や構造によって大きく3つに分類されます。
・石質隕石(せきしついんせき)
・鉄隕石(てついんせき)
・石鉄隕石(せきてついんせき)
パラサイト隕石は、3つ目の石鉄隕石の一種です。それぞれの特徴を簡単に解説します。
石質隕石
石質隕石は、確認されている隕石の大半を占める最も一般的な隕石です。主にケイ酸塩鉱物からなり、見た目が地球の石とよく似ているものもあります。
石質隕石は、さらにコンドライトとエイコンドライト(無球粒隕石)に大きく分けられ、その種類も非常に豊富です。
私たちが「隕石=灰色の石」とイメージするのは、隕石の大半が石質隕石だからでしょう。
鉄隕石
鉄隕石は、主に鉄とニッケルの合金からなる隕石です。地上に落下して時間が経つと、金属部分が風化・酸化し、表面が褐色に変化することがあります。
隕石コレクターに人気のウィドマンシュテッテン構造は、一部の鉄隕石で見られる代表的な特徴です。
石鉄隕石
石鉄隕石は、鉄・ニッケルを主成分とする金属と、ケイ酸塩鉱物の両方を含む隕石です。代表的なものに、パラサイト隕石とメソシデライトがあります。
そのうちパラサイト隕石は、確認されている隕石の1%未満とされる希少な隕石です。鉄・ニッケルの金属中にオリビン(かんらん石)の結晶を含み、宝石質のオリビンはペリドットとして知られています。
銀色の金属に、黄緑色から黄色のオリビンが散らばるさまは、まさに宇宙に輝く星のよう。薄くスライスするとオリビンが光を透過し、ステンドグラスのような美しさを見せてくれます。
その希少性と、「世界で一番美しい隕石」と称されることもある独特の美しさから、コレクターにも人気の高い隕石です。
■金属とオリビンが織りなす不思議な構造
パラサイト隕石を構成するオリビンと鉄-ニッケルは、密度が大きく異なります。天体内部が溶融した状態では、重い鉄やニッケルは中心部へ沈み、軽い岩石質の物質とは分離していくと考えられています。
それにもかかわらず、パラサイト隕石では鉄-ニッケルの金属中にオリビンの結晶が入り混じっています。その成因については、かつて分化した小惑星の核とマントルの境界付近で形成されたと考えられていました。しかし近年、主群パラサイトについては、天体同士の衝突によって金属とオリビンが混ざり合って形成されたことを支持する研究が相次いでいます。パラサイトには複数のグループがあり、その形成過程の詳細には未解明な点も残されています。
こうして生まれた金属とオリビンの独特な模様も、パラサイト隕石の大きな魅力です。
ただし、パラサイト隕石に似せてつくられた模造品も存在しますので、その点は注意が必要です。
■隕石由来のペリドット
パラサイト隕石から取り出された宝石質のオリビンは、「パラサイティック・ペリドット」と呼ばれる希少なレアストーンです。宇宙から飛来した隕石に含まれるペリドットとして、コレクターからも人気を集めています。
パラサイティック・ペリドットは、黄緑色から黄色がかった色合いを呈します。また、個体によっては針状のインクルージョンが見られることもあり、地球産のペリドットとは異なる特徴を持つものがあります。
■魅力あふれる隕石とその仲間たち
パラサイト隕石とともに楽しみたい、個性豊かな隕石や隕石衝突によって生まれた天然ガラスを紹介します。
ギベオン隕石/ムオニナルスタ隕石
ウィドマンシュテッテン構造と呼ばれる、特徴的な幾何学模様を見せる鉄隕石として知られるのが、ギベオン隕石やムオニナルスタ隕石です。
ウィドマンシュテッテン構造は、鉄-ニッケル合金が極めてゆっくりと冷却される過程で、カマサイトとテーナイトという異なる組成の金属相が成長して生まれます。切断・研磨した表面にエッチング処理を施すことで、この独特の模様が浮かび上がります。
ギベオン隕石はナミビアで、ムオニナルスタ隕石はスウェーデンで発見された鉄隕石です。どちらも、美しいウィドマンシュテッテン構造を楽しめる隕石としてコレクターから人気を集めています。
テクタイト/インパクトガラス
1.宝石・ルースとしてのパラサイト隕石
パラサイト隕石は、個性的な表情からルースとしても人気があります。パラサイト隕石の品質や美しさを、詳しく解説します。
■パラサイト隕石の美しさ
パラサイト隕石の美しさは、なんといってもオリビン(ペリドット)の存在感でしょう。無機質な銀色の金属の中に散らばるオリビンは、光を透過すると美しく輝きます。
優しく透ける光はステンドグラスのようで、「万華鏡」にたとえられることもあります。
パラサイト隕石に含まれるオリビンの色合いは、黄緑色から黄色、褐色がかったものまでさまざまです。中には、地球上で採れるペリドットを思わせる美しいグリーンを呈するものもあります。
こうした色合いはオリビンの組成などによって異なり、地球への落下後の風化や酸化によって見た目が変化する場合もあります。金属と透明感のあるオリビンが織りなす、一つとして同じもののない表情も、パラサイト隕石ならではの魅力です。
■美しさを保護する「トリプレット」
パラサイト隕石のルースには、保護のために「トリプレット」と呼ばれる三層貼り合わせ加工が施されることがあります。
パラサイト隕石は鉄-ニッケル合金を含むため、湿気や水分によってさびが生じる可能性があります。また、金属中に含まれるオリビン(かんらん石)が脱落することもあります。
そこで、隕石の表面と裏面を合成水晶や合成スピネル、樹脂などの透明な素材で挟んで保護します。水分や湿気との接触を抑えるとともに、オリビンの脱落を防ぐことも、トリプレット加工の目的です。
同じように、アンモナイトの化石に由来する宝石「アンモライト」も、薄く剥がれやすい性質を保護するため、トリプレット加工が施されることがあります。
■パラサイト隕石の発見
パラサイト隕石の歴史は、1749年にロシアで発見された「クラスノヤルスク隕石」から始まります。ここでは、その発見のストーリーや、パラサイト隕石にまつわる歴史を紹介します。
パラサイト隕石の発見地
現在「クラスノヤルスク」と呼ばれる隕石は、1749年、ロシア・シベリア中部のクラスノヤルスク近郊で発見されました。重さは約700kgにも及ぶ巨大な隕石です。
その後、ドイツ出身の博物学者ペーター・ジーモン・パラス(Peter Simon Pallas|1741年 - 1811年)がロシア各地を調査するなか、1772年にこの隕石に出会いました。パラスはその標本を研究し、のちに報告しています。鉄-ニッケルの金属中にオリビンを含むこの珍しい隕石は、パラスの名にちなんで「パラサイト」と呼ばれるようになります。
クラスノヤルスク隕石は、最初に知られたパラサイトとして隕石研究の歴史でも重要な存在です。さらに1804年には、イギリスの地質学者・鉱物学者ウィリアム・トムソンがこの隕石の断面を酸でエッチングし、後に「ウィドマンシュテッテン構造」と呼ばれる金属組織を図示・公表しました。
1762年の戴冠式のために製作された「ロシア帝国大冠」には、4,936個のダイヤモンドと75個の真珠が使用され、現在はモスクワ・クレムリンのダイヤモンド基金に収蔵されています。
また2017年には、この大冠を再現したレプリカがイスラエルのダイヤモンド見本市に登場しました。レプリカには11,352個のダイヤモンドが使用され、価格は2,000万ドルとされ、大きな話題を集めました。
パラサイト隕石の発見時期
パラサイト隕石について調べていると、「2016年発見」という記述を目にすることがあります。しかし、これはパラサイトという種類の隕石が2016年に初めて発見されたという意味ではありません。
最初に知られたパラサイトは、1749年に発見されたクラスノヤルスク隕石です。一方、2016年は、現在広く流通しているケニア産のパラサイト隕石「セリコ」が隕石として認識された年です。
パラサイト隕石は、クラスノヤルスク以外の地域でも発見されています。たとえばロシアのマガダン州では、1967年に「セイムチャン」が発見されました。当初は鉄隕石として報告されましたが、その後の研究によってパラサイトに再分類されています。
そして2016年、ケニアのハバスウェインとセリコの間の地域で、多数の巨大な隕石が確認されました。これが「セリコ」です。地元の人々には以前からその存在を知られていましたが、隕石として認識されたのは2016年。2017年には、Meteoritical Societyによって「Sericho」の名称とパラサイトとしての分類が正式に承認されました。
セリコは現在、国内外の市場でも比較的よく見かけるパラサイト隕石の一つです。金属の中にオリビンが散らばる美しい断面を楽しめることから、ルースやスライス標本としても人気があります。
大量に発見されたパラサイト隕石「セリコ」
Meteoritical Bulletin Databaseに登録されているセリコの質量は、約2.8トンです。初期の公式記載では、当時までに2,800kgを超える隕石が発見されたと報告されています。
発見された個体は1kg未満のものから500kgに達するものまでさまざまで、45kmを超える範囲から多数の隕石が見つかりました。
2.8トンと聞くと膨大な量に思えますが、隕石は地球上で新たに生成される鉱物資源とは異なり、同じセリコ隕石が新しく生み出されることはありません。市場に流通する標本も、地球へ飛来した限られた個体から切り出されたものです。
宇宙から地球へ飛来し、長い年月を経て発見されたセリコ。その出自を知ることも、パラサイト隕石を楽しむ魅力の一つといえるでしょう。
2.鉱物・原石としてのパラサイト隕石
ここからは、パラサイト隕石について鉱物学的な観点から、さらに詳しく見ていきましょう。
■組成について
パラサイト隕石の基本情報は、以下のとおりです。
| 英名 | Pallasite(パラサイト) |
|---|---|
| 和名 | パラサイト隕石 |
| 主成分 | 鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、オリビン(かんらん石/(Mg,Fe)₂SiO₄) |
| 結晶系 | - |
| 硬度 | - |
| 屈折率 | - |
| 劈開 | - |
| 色 | 銀灰色の金属部+黄緑色、黄色、褐色などのオリビン |
| 落下地点/発見地 | ケニア、ロシア、アルゼンチン、チリ、アメリカ、中国、日本など |
パラサイト隕石は、世界各地で見つかっています。美しい標本として知られるものも、ケニアやロシアに限らず、アルゼンチンやチリ、アメリカ、中国などさまざまな地域で発見されています。
日本でも、パラサイト隕石が確認された例があります。1898年2月1日、高知県香美市に約330gの「在所(Zaisho)隕石」が落下しました。現在は、パラサイトに分類されています。
■原石・標本の形状
パラサイト隕石は、ルースだけでなく、原石や切断・研磨したスライス標本としても流通しています。薄くスライスされた標本では、オリビンが光を透過し、パラサイト隕石ならではの美しさを楽しめます。
一方、鉄-ニッケル合金を含むため、湿気の多い環境では腐食が進むことがあります。防錆処理が施されていない標本は、高湿度を避け、乾燥剤とともに密閉性の高い容器で保管するなど、できるだけ乾燥した環境を保つことが大切です。必要に応じて、専門店に防錆処理を相談するのも一つの方法です。
■隕石の誕生
隕石の多くは、地球上の岩石とは異なり、太陽系が形成された約46億年前の歴史を今に伝える物質です。とくに小惑星を起源とする隕石の多くは、約45億年前の太陽系初期に形成されました。
約46億年前、ガスやちりからなる巨大な雲が収縮し、その中心に太陽が誕生しました。太陽の周囲に残った物質は円盤状に広がり、ちりや岩石が衝突・合体を繰り返して微惑星を形成します。さらに微惑星同士が集まり、現在の惑星や小惑星などが形成されていきました。
その後、小惑星同士の衝突などによって天体から破片が飛び出し、軌道を変えたものの一部が地球へ到達します。こうして地表まで落下したものが、私たちが手にする隕石です。
太陽系初期に溶融した小惑星の中では、重い鉄やニッケルが中心部へ沈んで核をつくり、軽いケイ酸塩質の物質がその外側を形成しました。鉄隕石の多くは、こうした天体の核に由来すると考えられています。
一方、パラサイト隕石の成因には未解明な点が残りますが、とくに主群パラサイトについては、近年、天体同士の衝突によって鉄-ニッケルとオリビンが混ざり合って形成されたことを支持する研究が相次いでいます。
手元にパラサイト隕石を迎えられたら、ぜひその小さな隕石が辿ってきた45億年あまりの時間に思いを馳せてみてください。どこを、どのように漂い、地球にやってきたのか。私たち人間には到底経験できない、長い長い時間が、その小さな隕石には詰まっています。
3.パラサイト隕石をより楽しむために
希少なパラサイト隕石を、より深く楽しむためのヒントを紹介します。
■誕生石・石言葉
パラサイト隕石は、誕生石には指定されていません。石言葉としては「宇宙の真理」が挙げられます。
宇宙空間を漂い、長い旅を経て地球にやってきた神秘の隕石。その壮大なイメージから、宇宙の力をまとい、私たちをポジティブな人生へ導いてくれるともいわれています。
■パラサイト隕石の加工
パラサイト隕石をアクセサリーに仕立てて楽しむ方法もあります。トリプレット加工が施されたものは、オリビンの脱落や金属部分の腐食を防ぐために保護されています。
アクセサリーとして楽しむなら、比較的衝撃を受けにくいネックレスやペンダントがおすすめです。胸元でオリビンが光を透過し、パラサイト隕石ならではの神秘的な表情を楽しめます。
希少な素材であるため、強い衝撃や水分、湿気には注意が必要です。硬いものにぶつかりやすいリングやブレスレットへの加工は、避けた方が安心でしょう。
■パラサイト隕石の真贋と注意点
希少で人気のあるパラサイト隕石には、見た目を似せた模造品も存在します。金属と石などを組み合わせて、パラサイト隕石の特徴的な外観を再現したものもあるため、見た目だけで真贋を判断するのは困難です。
購入する際は、隕石を専門に扱う信頼できるショップを選び、産地や隕石名などの来歴、鑑別情報を確認すると安心です。
パラサイト隕石の金属部分には、個体によってウィドマンシュテッテン構造が見られることがあります。研磨した金属面をエッチングすることで模様が現れる場合がありますが、これだけでパラサイト隕石の真贋を判断できるわけではありません。
手元にあるパラサイト隕石の真贋が気になる場合は、自分で酸を使って確認するのではなく、専門機関や専門家に相談することをおすすめします。
天然石・レアストーン・誕生石ならトップストーン
トップストーンは、国内最大級の天然石輸入卸問屋「株式会社ウイロー」が運営するルース専門の通販サイトです。世界中から買い付けたレアストーン、誕生石を販売しております。パライバトルマリン、タンザナイト、サファイアなどの宝石、ルースなど。豊富な品揃えから、天然石やパワーストーン、カラーストーンをお選び頂けます。
適正な販売価格を提示
天然石の市場価格は、決して安定しているとは言えません。常に変動する相場の中、トップストーンでは、最新の天然石の相場・平均価格を熟知しております。世界情勢や市場の動向をいち早くキャッチアップし、適切な価格を提示しておりますので、安心してご購入いただけます。
取り扱い種類が豊富
株式会社ウイローでは、40,000点以上の石を、鉱物・原石から宝石、ルースまで取り扱っております。また、弊社独自の調査により、入手難易度レベルを作成。入手困難な希少な天然石もトップストーンならば仕入れ可能です。
第3者鑑別機関のチェック済み
弊社で扱っている宝石、ルース(天然石)の数々は、商品名には流通名または宝石名を記載して販売しております。中立の立場である第3者鑑別機関に鑑別しているため、安心してご購入いただけます。
※TOPSTONEでは、鑑別・ソーティングを概ねA.G.L加盟の鑑別機関にお願いしております
▼鑑別・ソーティングについては以下ページにて詳細をご確認いただけます
4.まとめ
パラサイト隕石は、確認されている隕石の1%未満とされる希少な隕石です。鉄-ニッケルの銀色の金属中に、黄緑色から黄色、褐色がかったオリビンが散らばり、個性的な表情を見せてくれます。
二つとして同じ表情のものがない点も、パラサイト隕石の魅力です。オリビンの色や大きさ、金属とのバランスを比較しながら、自分好みの一点を探すのも楽しみの一つでしょう。
パラサイト隕石には模造品も存在するため、購入する際は信頼できる専門店を選ぶことをおすすめします。TOP STONEでも、パラサイト隕石のルースを取り扱っています。ぜひご覧ください。
▶ TOP STONE で販売中のパラサイト隕石
▸ こんな記事も読まれています
この記事を書いた人

みゆな
TOP STOneRY / 編集部ライター
トップストーン編集部がお届けする「トップストーリー」メディアでは、古くから愛されている誕生石の歴史やエピソード、最新のレアストーンの特徴、宝石の楽しみ方をわかりやすく解説しています。「天然石の魅力をもっと多くの方に知ってもらいたい」という想いで、個性溢れるライターが情報発信しています。