色が変わる希少な石「アレキサンドライト」を徹底解説|魅力や楽しみ方

アレキサンドライトの特徴は、当たる光によって色が大幅に変わることです。
1つの石で2つの色を楽しめる、贅沢で希少な石である、アレキサンドライト。
その色が変わる秘密や、歴史について興味がある方もいるのではないでしょうか。
この記事では、アレキサンドライトの特徴や歴史などについて、わかりやすくご紹介します。
鉱物としての魅力についても解説するので、ぜひ理解を深めてみてください。
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1. 宝石・ルースとしてのアレキサンドライト

まずは、宝石としてのアレキサンドライトの魅力について見てみましょう。
■高品質なアレキサンドライトの特徴と見分け方
高品質とされるアレキサンドライトの特徴は、主に下記のとおりです。
- 彩度が強め以上である
- インクルージョンがない
- 傷がない
- 透明度が高い
- 1カラットを超えるほど大きい
- カットが美しい
アレキサンドライトの彩度は、石それぞれで違います。太陽光の下では緑~青みがかった緑色、白熱光の下では赤から紫がかった赤色のものは彩度が高く、上質と判断されます。
また、気体や液体、別の鉱物などの内包物のことを指す「インクルージョン」がないものは、品質が良いアレキサンドライトです。
なお、インクルージョンが細長く並行に並ぶキャッツアイ効果が見られるアレキサンドライトは、非常にレアで価値が高くなっています。
彩度が高くインクルージョンがないことに加え、傷がなく透明度が高いものは、さらに高品質です。
アレキサンドライトは1カラットを超えるものが少ないため、大きいものほど価値が高くなることも特徴です。
そして、多色性であるアレキサンドライトはカットが難しく、色の変化が大きく見えるカットのものは品質が高いと判断されます。
■アレキサンドライトの特徴

アレキサンドライト最大の特徴は、当たる光によって色が大幅に変わることにあります。
当たる光によって色が変わる石は他にもありますが、アレキサンドライトの変色効果は独特で、「アレキサンドライト効果」と呼ばれるほどです。アレキサンドライトは、珍しい光吸収特性を持っているのです。
アレキサンドライトは青から紫、黄色などを吸収し、緑色と赤色はほとんど同じ割合で反射します。
太陽光や蛍光灯などの5,000K以上の色温度となる光に当たると緑色、ろうそくの光やランプ、白熱光など、5,000K以下となる色温度の光に当たると赤色に見える仕組みです。
ちなみに、紫外線ライトでも赤色に蛍光を示しますが、この紫外線ライトでの変色はアレキサンドライトの変色効果としては認められていません。この変色は、単に蛍光性を示しているというだけであるためです。
アレキサンドライトを手にする場合は、紫外線ライトではなく電球色ライト(白熱灯)やろうそくのような、赤を含む光で色変化が起こるかどうかが大事なチェックポイントとなります。
色を反射する割合は石によって異なり、緑色と赤色の反射割合が均等であればあるほど、石の価値は高くなります。
■宝石としての魅力
宝石としての魅力は、劇的に変わる色をそれぞれ楽しめる点にあります。
「昼はエメラルド、夜はルビー」と表現され、昼はクールに、夜はロマンチックにと違った表情を楽しめるとされてきました。
これは、昔の明かりがろうそくやランプだったためです。
現在の明かりは蛍光灯やLEDがメインとなるため、夜に家の中で見ても赤くは見えませんが、当時は違っていました。当時の日中は太陽光で生活しているのでエメラルドのような緑に見え、夜は家の中のろうそくやランプの明かりでルビーのような赤色に見えたのです。
まるで2つの宝石を使い分けているかのようなカラーチェンジは、「神様のいたずら」と称される神秘さが魅力です。サファイヤやガーネットなどもカラーチェンジしますが、アレキサンドライトは色の変化が突出して大きいことが特徴です。
■アレキサンドライトにまつわる逸話

1830年に、ロシアのウラル山脈で発見されたアレキサンドライト。
発見されたアレキサンドライトは極めて上質で、最初はエメラルドであると考えられていました。
しかし夜になると色が変化したため、エメラルドではない新しい石であることが分かったのです。
この石は、4月29日に当時のロシア皇帝だったニコライ1世へ献上されることになりました。
献上された4月29日は、皇太子であるアレクサンドル2世が成人を迎える12歳の誕生日であったことから、「アレキサンドライト」と命名されたと伝えられています。
アレクサンドル2世は、その後にロシアの農奴を開放した皇帝として知られている人物です。
アレキサンドライトは、未来の皇帝の誕生日に発見されただけでなくロシアの旗や軍服に使用されていた赤と緑に変色する性質であったことから、ロシア国内で大変人気の石となりました。
■主な産地と産地ごとの違い

アレキサンドライトの主な産地は、下記の6つです。
- ロシア
- インド
- ブラジル
- スリランカ
- マダガスカル
- モザンビーク
- タンザニア
アレキサンドライトが最初に発見されたロシアのウラル山脈は、現在はほぼ枯渇しています。
しかし、ロシアにはウラル山脈以外にもアレキサンドライトが採掘される鉱山があります。
採掘される量は多くありませんが、「ロシア産」であるというだけで価格が高くなることが特徴です。
インドでは、1996年にアラク峡谷で初めてアレキサンドライトが発見されました。
ナルシパトナム鉱山から採掘されるアレキサンドライトは、ロシアのウラル山脈にあるペグマタイト鉱床のものと同じものであると考えられています。
この2つの鉱山からはロシア産に匹敵するような素晴らしい品質のものも産出されますが、インド産は色の変化が弱いものが多く、価格が控えめであることが特徴です。
ブラジル産のアレキサンドライトは主にミナスジェライス州で採掘され、インクルージョンを含むものが多いことが特徴です。
ヘマチタ鉱山が有名で、ここで採掘されるアレキサンドライトは、ロシア産に引けを取らない上質なものもあります。
なお、約90年間、アレキサンドライトはロシアとスリランカでしか採掘されていなかった歴史があります。
レアな産地となっていたスリランカのアレキサンドライトは、採掘方法が独特です。
アレキサンドライトは火成岩の一種で花崗岩質岩の粗粒な岩石であるペグマタイトから採掘されることが多いですが、スリランカでは沖積した土砂から掘り出されるのです。
また、マダガスカルやモザンビーク、タンザニアでも、良質なアレキサンドライトが採掘されます。
2. 鉱物・原石としてのアレキサンドライト

鉱物・原石としてのアレキサンドライトも、非常に魅力的です。
ここからは、組成や原石の形状、鉱物としての魅力についてご紹介します。
■組成について
まずは、アレキサンドライトの組成について見てみましょう。
英名 | alexandrite(アレキサンドライト) |
和名 | 変彩金緑石(へんさいきんりょくせき) |
成分 | クリソベリル(BeAl2O4) |
結晶系 | 斜方晶系 |
モース硬度 | 8.5 |
屈折率 | 1.746~1.755 |
劈開 | なし |
色 | 太陽光の下では緑色、白熱光の下では赤色 |
主な産地 | ロシア、インド、ブラジルなど |
鉱物クリソベリルの中で変色効果がある変種が、アレキサンドライトです。
ベリリウムとアルミニウムをメインに形成された「酸化鉱物」に分類され、モース硬度は8.5と高めとなっています。
クリソベリルそのものの総産出量が少なく、その中の変種であるアレキサンドライトはさらに希少であることが特徴です。
■原石の形状
クリソベリルは斜方晶系なので、基本的にはひし形の結晶です。
しかし、中には2つの結晶が合わさった「接触双晶」や、3つの結晶が合わさった「透入双晶」になることもあります。
透入双晶は、「輪座双晶」と呼ばれる六角形をしていて、コレクターの間では大変人気が高くなっています。
この六角形の結晶は、トラピッチェ模様のように、放射状に見えることが特徴です。
■鉱物としての魅力
アレキサンドライトの鉱物としての魅力も、やはりその色味や色が変わることにあります。
原石の状態であっても太陽光の下では緑色、白熱光の下では赤色がハッキリとわかるものが多くあります。
母岩の内側で所々カラーチェンジが確認できる原石では、その神秘的な光り方も大きな魅力です。
3. アレキサンドライトをより楽しむために

アレキサンドライトには、さまざまな楽しみ方があります。
ルースとして楽しむだけでなく、アクセサリーとして楽しむ人も多いでしょう。
ここでは、誕生石や石言葉も含めて、アレキサンドライトの楽しみ方をご紹介します。
■6月の誕生石/アレキサンドライトの石言葉

アレキサンドライトは、真珠やムーンストーンと共に6月の誕生石となっています。
また、日本では結婚45年目を「金緑婚式」としていて、アレキサンドライトは結婚45周年のための結婚記念石となっています。
石言葉は、「秘めた思い」「情熱」「安らぎ」「高貴」です。
二面性がある石なので、「隠れた才能を開花させる」「情熱と安らぎの両方を持ち合わせる」などの意味があるとされています。
■ビーズ・装飾品として
アレキサンドライトは、ネックレスやピアス・イヤリング、リングなどで楽しむ人も多いです。硬度が高いので、日常使いとして楽しめることもアレキサンドライトの魅力です。
また、どれくらいカラーチェンジするのか、どのような色合いに変わるのかは石によってさまざまとなっています。
深い色合いのものももちろん美しいですが、淡い色合いのアレキサンドライトも大変魅力的です。
インクルージョンの入り方によっては、光り方や表情が変わり、中には虹色に見えるものもあるようです。
高品質のものはもちろん美しいですが、自分好みのアレキサンドライトを見つけるのも良いのではないでしょうか。
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4. まとめ
ドラマチックに、昼と夜で表情を大きく変える「アレキサンドライト」。
「神様のいたずら」と称されるほど神秘的なアレキサンドライトは、非常に希少で、近年では価格がどんどんと上昇しています。
誕生石や結婚記念石にもなっていてアクセサリーとして日常使いも可能なので、ぜひその魅力を楽しんでみてください。
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この記事を書いた人

Aria
TOP STOneRY / 編集部ライター
トップストーン編集部がお届けする「トップストーリー」メディアでは、古くから愛されている誕生石の歴史やエピソード、最新のレアストーンの特徴、宝石の楽しみ方をわかりやすく解説しています。「天然石の魅力をもっと多くの方に知ってもらいたい」という想いで、個性溢れるライターが情報発信しています。