バラ色の宝石ロードナイトの魅力を徹底解説!鉱物的特徴から歴史まで

バラの花びらのような赤色が美しい宝石、ロードナイト。古くはアメリカ先住民たちが魔除けやお守りとして儀式に用いて大切にしていたとされる神聖な石です。
現在は「友愛」「博愛」の石と呼ばれて親しまれており、パワーストーンとしても人気があります。
この記事では、そんな気高くも美しい宝石ロードナイトについて、特徴から歴史まで詳しくご紹介します。20年以上天然石の卸売に携わる宝石のプロTOP STONEがわかりやすく解説しますので、ぜひ最後までチェックしてみてください。
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1.宝石・ルースとしてのロードナイト

まずはロードナイトの特徴や品質など、基本的な情報をご紹介します。一緒にロードナイトがどのような宝石なのか見ていきましょう。
■高品質なロードナイトとは

ロードナイトの品質は、カラー・透明度・カラットなどを総合的に見て決められます。
カラー
ロードナイトは淡いピンク色から濃い赤色をした宝石です。全体的に色が均一で鮮やかに発色しているものほど、価値が上がります。
なかでも鮮やかな赤色で透明度の高いロードナイトは「インペリアル・ロードナイト」と呼ばれ、最高品質として高値で取引されます。インペリアル・ロードナイトはめったに産出せず非常に希少です。
透明度
ロードナイトはインクルージョン(内包物)が入りやすい石です。水晶やベリルなどと同じケイ酸塩鉱物の一種であるロードナイトは、成長過程においてさまざまな不純物を含みやすい性質を持っています。特にマンガン鉱床で産出するロードナイトは、二酸化マンガンを含みやすく黒っぽいインクルージョンが見られることがほとんどです。
そのため市場に流通するロードナイトのほとんどは半透明から不透明で天然石として扱われますが、ごくまれに透明度が高い宝石品質のロードナイトが産出することがあります。インクルージョンが少なく透明度の高いロードナイトは、非常に希少で高い価値があります。
カラット
カラットは宝石の重さのことです。1ct(カラット)は0.2gに相当し、一般的に宝石はカラットが大きいほど高く評価されます。
ロードナイトは1ct以上のサイズの大きなものも比較的多く見られます。しかし高品質でサイズの大きなロードナイトは希少で、価値が上がります。
■ロードナイトの輝き
ロードナイトは、ピンク色から赤色の華やかな色合いと自然な輝きが魅力です。バラの花びらのような美しさから、ギリシャ語でバラを意味する「Rhodon(ロードン)」に由来して名付けられました。
インクルージョンが入りやすく半透明から不透明のものがほとんどですが、まれに透明度が高く美しい輝きを持つルースも見られます。特に最高級のインペリアル・ロードナイトは鮮やかな赤色でルビーにも似た美しい見た目が特徴です。
■ロードナイトの魅力
ロードナイトは硬度があまり高くない上に割れやすい性質を持つため、複雑なカットが難しい石です。ジュエリーに加工されることは少なく、コレクター向けのルースやパワーストーン用のビーズなどに加工されるのが一般的です。
高品質なロードナイトはやわらかな質感と美しい赤色が魅力的で、コレクターを中心に人気が高まっています。古くから神聖な石としても親しまれているため、お守りのように手元に置いておきたいと考える人も多いようです。
■ロードナイトの産地

ロードナイトはマンガン鉱床から産出する鉱物で、オーストラリア、ロシア、ブラジル、カナダ、ニュージーランド、アメリカなど、世界各地で採掘されています。
特にブラジルのミナスジェライス州は、透明度の高い美しいロードナイトの産地として知られています。最高品質のインペリアル・ロードナイトが見つかることも。
また、オーストラリアはブラジルに次ぐ高品質なロードナイトの産地です。アメリカにもニュージャージー州とマサチューセッツ州に重要なロードナイト鉱山があり、マサチューセッツ州は1979年にロードナイトを公式の州宝石に指定しました。
かつては日本でも岩手県や愛知県などを中心に多く産出していましたが、近年はほとんど採掘されていません。
2.鉱物・原石としてのロードナイト

ロードナイトの原石はそれぞれ色や形が異なり、原石ならではの魅力があります。ここでは鉱物としてのロードナイトについて詳しくご紹介します。
■組成について
英名 | Rhodonite(ロードナイト) |
和名 | 薔薇輝石(ばらきせき) |
成分 | (Mn,Ca)Mn4[Si5O15] |
結晶系 | 三斜晶系 |
モース硬度 | 6 |
比重 | 3.40~3.70 |
屈折率 | 1.74~1.75 |
劈開 | 二方向に完全 |
色 | ピンク色、帯紫赤色、褐ピンク色 |
主な産地 | オーストラリア、ロシア、ブラジル、日本、カナダ、ニュージーランド、スウェーデン、アメリカ、メキシコ、イギリス、南アフリカ共和国、タンザニア |
ロードナイトの日本名は「薔薇輝石」。しかし実際にはロードナイトは輝石族ではなく、準輝石族に属します。ロードナイトに日本名が付けられた明治時代には輝石の一種だと考えられていましたが、のちに準輝石族であることが判明したのです。しかし一度浸透した名前を変えることは難しく、現在もそのまま使われています。
モース硬度は6とあまり高くなく、劈開性(一定の方向に対する割れやすさ)が二方向に完全のため、割れやすい特徴があります。さらに宝石品質に近づくほど表面に傷がつきやすくなります。衝撃を与えると傷ついたり割れたりしてしまうおそれがあるので、取り扱いには十分注意してください。
また、ロードナイトはマンガンを主成分とする鉱物です。マンガンは紫外線や水に弱い性質があるため、長時間直射日光に当てたり汗や水分がついたまま放置したりすると、酸化して黒く変色してしまう可能性があります。パワーストーンとして身につける場合には、外した後にやわらかい布で汗や汚れをやさしくふき取ってから保管するようにしましょう。
■原石の形状

ロードナイトの原石は、マンガンが豊富な変成岩やスカルン鉱床、大理石や不純物を含む石灰岩の中などで形成されます。塊状や粒状で見つかるのが一般的で、おもにクォーツやスペサルティンガーネットなどとともに産出します。
多くは半透明から不透明の赤みがかった原石に、樹枝状や葉脈状の黒い模様が見られます。黒い模様は二酸化マンガンによるものでほとんどのロードナイトに見られますが、まれにインクルージョンが少ない美しい原石も見つかります。
また、クォーツ(水晶)の中にロードナイトが含まれる結晶を「ロードナイトインクォーツ」と呼び、イタリアで多く産出します。なかでもくっきりとした結晶の形状があるものは「クリスタルロードナイトインクォーツ」という鑑別名が付けられます。透明なクォーツの中に華やかなピンク色のロードナイトが見られる美しい結晶です。
さらにスペサルティンガーネットが共生しているものは「ロードナイトスペサタイトインクォーツ」と呼びます。ロードナイトのピンク色に混じってガーネットの黄色やオレンジ色が見られるのが特徴です。
■原石コレクターからみた魅力

一般的に宝石は透き通った美しいものほど価値が高いとされていますが、さまざまな鉱物や不純物によって独自の模様を織りなす原石には、原石にしかない美しさがあります。
ロードナイトの黒いインクルージョンも個性的な模様や柄のようになっており、自然の趣を感じられます。同じロードナイトでも原石は一つひとつ異なり、それぞれに独自の魅力があるためコレクションする楽しみがあります。
■鉱物としてのロードナイト
ロードナイトは、1790年にロシアのウラル山脈で初めて発見されました。その後1819年にドイツの博物学者クリストフ・フリードリヒ・ヤッシェによって、ギリシャ語でバラを意味する「Rhodon(ロードン)」に由来して「ロードナイト」と名付けられました。
ロードナイトとよく比較されるロードクロサイトとは見た目も非常に似ていますが、ロードクロサイトには黒い模様が見られません。俗にロードクロサイトとロードナイトの見分け方は「サイトに黒なし、ナイトに黒あり」といわれます。
マンガン鉱床ではほかにもさまざまな種類の鉱物が産出し、ひとつの塊のなかに複数の鉱物が含まれることも少なくありません。肉眼での鑑別が難しいことや、微量な成分の違いで結晶の種類が大きく変わることもあり、正確に鑑別するためには科学的に詳しく分析する必要があります。
3. ロードナイトをより楽しむために

古くから神聖な石として崇められてきたロードナイトは、パワーストーンとしても非常に人気があります。ここではパワーストーンとしての楽しみ方のほか、歴史的にどう使われてきたかなどロードナイトの知識をさらに深める情報をご紹介します。
■ロードナイトの歴史
かつてウラル山脈のエカテリンブルグの鉱山から、高品質で美しいロードナイトが見つかりました。そこでロードナイトは同じくウラルの特産であったマラカイトとともに工芸品に加工され、ロマノフ王朝からヨーロッパの王朝に贈られたと伝えられています。
サンクトペテルブルクのエルミタージュ美術館には、ロシアの貴族や皇帝が所有していた貴重なロードナイトの装飾品が数多く保存されています。今日でも、ロシアの子どもたちは友情のしるしとして、イースターにロードナイトの卵を交換するそうです。
また、アメリカ先住民たちの間でもロードナイトはターコイズと並び、神聖な石として大切にされてきました。魂と宇宙をつなぎ、霊的な力を高めてくれる石と考えられており、魔除けや除霊など宗教的な儀式の際に用いていたようです。
■ロードナイトのカットについて

ロードナイトは硬度があまり高くなく、劈開性があり割れやすいため、加工には高度な技術を必要とします。ロードナイトの特性をよく理解した職人によって、カボションカットやビーズカットが施されるのが一般的です。彫刻が施され、宝飾品や工芸品に加工されることもあります。
透明度が高く高品質なロードナイトにはカボションカットが施され、コレクター向けのルースとして流通することが多いでしょう。赤色の色合いと自然な輝きが美しく人気があります。
半透明から不透明のロードナイトはビーズカットされ、天然石として流通するのが一般的です。ビーズに加工されたロードナイトは落ち着いたピンク色と美しいツヤ、天然石ならではの独特の風合いが魅力です。
■アクセサリーやパワーストーンとして

古くから神聖な力があると考えられてきたロードナイトは、パワーストーンとしても高い人気を誇ります。
「友愛」「博愛」を象徴する石とされ、豊かな人間関係を築き、人と人との絆を深めてくれると考えられています。友情においても恋愛においても、愛情と思いやりのエネルギーを高めてくれるとされています。性別や関係性を問わず、人との絆を深めたいと考えている人にとって、人間関係のお守りになってくれるかもしれません。
■ロードナイトの断面
二方向に完全な劈開があるロードナイトは、劈開面に沿って割れると真珠光沢が見られます。また、断口(不特定方向に割れたときの断面)は貝殻状から不平坦状を示します。貝殻状は割れ口が二枚貝の貝殻のような同心円の波紋状になっており、不平坦状は割れ口がザラザラででこぼこしているのが特徴です。
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4. まとめ
バラを意味する言葉が名前の由来になっているほど、バラ色が美しいロードナイト。可憐な名前と、ピンク色から赤色の華やかで情熱的な見た目に惹かれる人も多いのではないでしょうか。
愛情や絆を深めるパワーストーンでもあり、さまざまな魅力がつまった注目の宝石です。宝石品質の美しいルースに出会えることはまれなので、ぜひ一度探してみてくださいね。
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この記事を書いた人

ほしあゆみ
TOP STOneRY / 編集部ライター
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