様々な顔をもつ『トパーズ』 | 豊富なカラーや逸話・鉱物的情報まで

光沢をもち多種多様で鮮やかなカラーを放つトパーズ。様々なカラーがあるだけでなく、それぞれ印象が大きく変わることもあり、トパーズはいくつ持っていても飽きがこず、宝石初心者から愛好家まで幅広い層に支持されています。ロマンチックな宝石としても有名で、小説や旅行先のタイトルに使われることも多く一度は目にしたことがある人も多いはずです。
美しさだけでなく耐久性も持ち合わせているため、ジュエリーにも多く使われ人々に愛されているトパーズ。トパーズの美しさにただただ酔いしれるのも良いですが、鉱物的な情報や背景まで知っているとより選ぶ楽しさも見る楽しさも増幅するでしょう。今回は、トパーズの鉱物的な情報からストーリーまで詳しく解説していきます。
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1.宝石・ルースとしてのトパーズ

まずは、トパーズの宝石としての特徴やルースについて解説します。自分好みの輝きを持つトパーズを選ぶのも良いですが、どのような個体が価値を持ちクオリティが高いトパーズなのかを知っておくことで宝石を見る目も変わるはずです。
■高品質なトパーズとは
トパーズは様々なカット・カラーが市場に出回っていますが、全般的に言えることとして、10×8mmを超えると一気に価値も価格も上昇します。
また、トパーズはOHタイプとFタイプの2種類に分かれています。
※OHタイプとFタイプについては、後述の【h3:組成について】で詳しく解説していきます。
OHタイプのトパーズ
OHタイプに部類されているのは、インペリアルトパーズと呼ばれる最高峰のトパーズ。
赤色系のトパーズ中でも、水酸基(OH)を含むオレンジピンクのトパーズは非常に貴重。オレンジピンクのトパーズは『インペリアルトパーズ』と呼ばれています。市場に出回る数も非常に少ないので、出会えた時は大変ラッキーです。
黄色の宝石の代表であるトパーズは、そのためにトパーズの代表的なカラーが黄色であると思われています。
しかし実は、赤いカラーを放つ『レッドトパーズ』が最も需要も価値も高い色です。レッドトパーズは採掘された原石中、ファセットカットに適した品質のものは0.5%以下しかありません。レッドトパーズはほとんど幻といってもいいほど希少なもの。無色や色の淡いトパーズにコーティング処理を施して赤く見せているものも出回っていますので、よく確認することが大切です。
インペリアルトパーズの中でもより価値が高いとされるのが、桃色の澄んだカラーが心をつかむ『ピンクインペリアルトパーズ』。ピンクインペリアルトパーズは、褐色のインペリアルトパーズに加熱処理を施したものが一般的。
しかし、ごく稀に非加熱のピンクトパーズもあります。非加熱のピンクトパーズは非常に希少なので、出会えたらラッキーです。
Fタイプのトパーズ
続いてはFタイプのトパーズ。
トパーズといえば澄んだ青色が爽やかな『ブルートパーズ』を思い浮かべる方も多いはず。そのブルートパーズはFタイプに分類されます。
ブルートパーズの色の幅は広く、淡いブルーから濃く鮮やかなブルーまで宝石によって放つカラーが異なるのも選ぶ楽しみの一つです。流通しているものの多くは照射処理で色を変えたものであり、それらは処理により作られた色となります。しかし、処理によって引き出された美しいブルーカラーは安価で美しい宝石を手にできるため、非常に人気が高いことも事実です。
そんなブルートパーズの中で、人気がある3つのカラーを紹介します。
・晴れた空のように澄んだ『スカイブルートパーズ』
・鮮やかで強い発色の『スイスブルートパーズ』
・落ち着いた深い青の『ロンドンブルートパーズ』
どれも人気は高いですが、その中で一番価値があるとされているのはロンドンブルートパーズです。
なお、天然未処理のブルートパーズも極めて稀ですが存在しています。採掘量もごくわずかのため、非常に高い価値がつけられているのです。
トパーズのバリエーション
カットされたトパーズの中には、二色のカラーが組み合わさったものも存在します。この二色が組み合わさったトパーズを『バイカラートパーズ』と呼んでいます。
バイカラーの天然ブルートパーズはクリアーブルーとシャンパンブラウン~無色透明のツインカラー。最近では、ブラウンと無色透明のツインカラーの天然トパーズからも発見されています。天然のブルートパーズ産出数も非常に少ないので出会える可能性は稀なたいへん貴重なものです。
また、トパーズの中にはキャッツアイ効果をもつものもあります。キャッツアイ効果を持つトパーズは『トパーズキャッツアイ』と呼ばれ、人々を魅了しています。神秘的なルチルが入っているかのように見える管状インクリュージョンをもつトパーズキャッツアイは、非常に幻想的な魅力を放つのです。
キャッツアイ効果とは、特定の宝石にだけ見られる光反射効果。しかし、キャッツアイ効果が綺麗に現れることは非常に稀なので、大変貴重です。
トパーズは熱処理によって様々なカラーや風合いを引き出されているのも魅力のひとつです。中でも『ミスティックトパーズ』は他のトパーズと異なる独特なカラーに惹かれます。
ミスティックトパーズは他のトパーズ同様に無色透明なトパーズに熱処理を加えたものですが、チタニウムを蒸着させているのが特徴です。チタニウムを薄くコーティングさせることで、虹色のようなカラーを放ちます。コーティング膜の厚さで異なる色合いを出し、角度によって複数のカラーが見られるのは非常に幻想的。虹色に似たカラーが見られることから、『レインボートパーズ』と呼ばれることもあります。
天然石としてのトパーズも美しいですが、熱処理を加えたトパーズも加工品として一掃してしまうにはもったいない美しさ。さまざまな顔を見せてくれるトパーズはいくつも集めてみたくなってしまう宝石です。
■トパーズの輝き
トパーズは自然界では通常無色。しかし、成分や処理方法により様々なカラーを放ちます。
ピンクトパーズはローズトパーズとも呼ばれ、その鮮やかな輝きからピンクダイヤモンドやピンクサファイアに似ているという人も。ピンクトパーズは、ピンクダイヤモンドより手ごろな価格であり、大粒な宝石が入手しやすいため 人気を集めています。
シェリーカラーのトパーズはややピンクがかったオレンジ色です。別名プレシャストパーズとも呼ばれるほど非常に人気が高く、また希少なカラーとして扱われています。
無色透明、色のついていないカラーレスのトパーズは、『ホワイトトパーズ』と呼ばれ、宝石愛好家からも人気があります。
トパーズは自然界では通常無色なので、ホワイトトパーズも流通量が多いだろうと思うかもしれません。しかし、無色透明のトパーズに処理を施してさまざまなカラーのトパーズを作り出すため、無処理で本来の無色透明を保ったまま流通することはほとんどないのです。
■トパーズにまつわる逸話
トパーズの名前の由来は、実はハッキリしていません。古代よりトパーズと呼ばれていた宝石は、実はペリドットという全く別の宝石だったという事実もあります。トパーズという名が、現在の宝石に定着したのは1737年のことです。
名前の由来はハッキリしないものの、トパーズのその輝きが古代より人々を魅了してきたことも事実。
ギリシア人やローマ人からは、太陽神ジュピターに関係があると伝えられてきました。精神を強くし、魔術をも解くことができる石として重宝されてきたのです。
聖書の中でモーゼに与えられた『火の石』のひとつがトパーズであったという説もあります。それだけでなく、出エジプト記に登場するアーロンの胸当てにつけられた宝石も、エルサレムの城壁の土台に飾られた12の宝石のひとつもトパーズ。聖書の中でもトパーズは度々登場し、中でも使徒マタイと関係が深い宝石です。
■トパーズの産地

トパーズの主要な原産地は以下の通りです。
- ブラジル
- パキスタン
- ロシア
- ナイジェリア
- マダガスカル
- メキシコ
- ミャンマー
- スリランカ
- ナミビア
- 日本
日本でも岐阜県や滋賀県でトパーズが採鉱されます。
日本はかつて世界から注目されたトパーズの産出国でした。1875年頃に大きな結晶が大量の産出し、その中には美しいブルーのトパーズもあったのです。トパーズといえばイエローと思われていた当時、そのブルーのトパーズが海外へ数多く流出したことで、ブルーカラーの存在が世界に広く知られることになったという歴史があります。
ブラジルのミナスジェライスは、高品質なトパーズがとれる重要な産地の一つ。
ミナスジェライスでは多種多様なカラーのトパーズがとれるだけでなく、なんと200年以上前から現在まで採掘が続けられているのです。
パキスタンは、鮮やかなピンク色のトパーズが発見されることで有名。
鮮やかなピンク色のトパーズは『レッディッシューピンク・トパーズ』と呼ばれています。しかし、採鉱量は非常に少なく、非常に貴重で価値がある宝石です。
ロシアは歴史的に有名なトパーズの産地。
18世紀から19世紀にかけて、ウラル山脈南部のプラスト地域のカメンコ川沿いの漂砂鉱床から濃いピンクトパーズが採掘されました。その美しいトパーズは皇帝に寄贈されたり、ロシア皇族が自分たちだけに独占的に使用するようにと主張したことなどからインペリアルトパーズと呼ばれるようになったという説があります。しかし、近年ではロシアからトパーズが採鉱されたという記録はありません。
2.鉱物・原石としてのトパーズ

つづいては、トパーズを鉱物的な目線から解説します。
表面的な美しさはもちろん宝石の魅力ですが、鉱物的な情報や原石についても理解を深めておくことで、よりトパーズの魅力に引き込まれるはずです。
■組成について
トパーズは大きな火成岩の一種で、和名は黄玉。
日本ではほとんど黄色のトパーズは産出されないため、和名を付けた際はブラジル産の黄色のトパーズをモデルにしたのではないかとされています。
英名 | Topaz(トパーズ) |
和名 | 黄玉(おうぎょく) |
成分 | Al₂[(F,OH)₂|SiO₄] Fタイプ→Al₂F₂SiO₄ OHタイプ→Al₂OH₂SiO₄ |
結晶系 | 斜方晶系 |
モース硬度 | 8 |
屈折率 | Fタイプ→1.61~1.62 OHタイプ→1.63~1.64 |
劈開 | 一方向に完全 |
色 | 黄色・オレンジ色・褐色・淡青~青色・淡緑色 |
主な産地 | ブラジル、パキスタン、ロシア、ナイジェリア、マダガスカル、メキシコ、ミャンマー、スリランカ、ナミビア |
トパーズは劈開が一方向に完全のため、劈開に沿って簡単に割れてしまいます。加工する際真っ二つに割れてしまうことが多いことから、玉などを研磨する山梨県甲州の加工師の間では、『片端水晶/かたわすいしょう』と呼ばれて嫌われていたそうです。
また、トパーズは、成分によってFタイプ・OHタイプの2つに分類されるのです。含まれる成分によって、屈折率や比重などに若干の違いが生じます。
タイプ | 特徴 |
Fタイプ | 一般的に多く流通している。 無色透明・黄色・青色・茶褐色などが多い。 長時間直射日光に当て続けると退色するものもある。 |
OHタイプ | インペリアルトパーズと呼ばれるトパーズ。 Fタイプより産出量も少なく価値が高い。 長時間直射日光に当て続けても退色しにくい。 |
トパーズの最高峰とされるものはOHタイプのインペリアルトパーズ。
Fタイプのトパーズも普段使いでの耐光性は問題ないものの、長時間日光に当て続けることは避けたいものです。
■トパーズの原石

トパーズは主にペグマタイトの中に産出し、大きな結晶になることが多い特徴を持っています。その多くが柱状結晶ですが、稀にその成長環境に変化が起こると全く異なる結晶形を見せることがあります。
特殊な形状としては、気成作用(きせいさよう/pneumatolysis)といい、マグマから分離した高温のガスによって岩石の成分が昇華し、そのガスの成分が組み合わされて長石の表面などにトパーズとして結晶化したものや、気泡状の穴がたくさん開いた気成鉱床の隙間にトパーズが形成され、脈状トパーズと呼ばれる明瞭な結晶形を持たないものなどがあります。
3. トパーズをより楽しむために

最後は、トパーズの楽しみ方について触れていきます。
原石をおいておくも良し、宝石を眺めるもよし、ジュエリーとして身近に楽しむのも良し、美しさと耐久性を兼ね備えたトパーズ。いろいろな楽しみ方を知っておくことで、より可能性を見出すことができます。
■誕生石・石言葉

トパーズは11月の誕生石です。また、ブルートパーズは結婚4周年記念、インペリアルトパーズは結婚23周年記念とされ、世界各国で結婚の周年記念ギフトとしても人気。その他、日本ではトパーズが結婚16周年記念の宝石とされているため、より馴染みがあります。
トパーズは『成功』『希望』『誠実』『友情』『潔白』など、前向きで希望のある石言葉を持っています。さらに、ブルートパーズは『知性』、インペリアルトパーズには『能力の向上』、ピンクトパーズには『恋愛成就』など色別に異なる石言葉を持っているため、石言葉でトパーズのカラーを選ぶ楽しみも。
■パワーストーンとして

前向きで成功へ着実にすすむような石言葉を多く持つことから、パワーストーンとしても人気があるトパーズ。持ち主にとって必要なものへと導いてくれる石として、仕事や恋愛、人脈など自分が欲しているものがあるときにもよく採用されます。直観力や洞察力を高めるともいわれているので、自分が本当に必要なものが何かをハッキリさせたい、そしてそのサポートが欲しいという人にピッタリです。
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4. まとめ
トパーズは様々なカラーをもつ宝石です。カラーによって印象はもちろん、石言葉も変わるので自分の現状によってその時持つトパーズを変えるのも楽しみの一つ。原石も美しく、カラー別や加工別に多くの種類を揃えたくなってしまう魅力を持っています。
トパーズは成分の違いからFタイプとOHタイプに分かれる宝石です。OHタイプであるインペリアルトパーズのほうが価値も高く希少とされているため、どのトパーズにしようか迷った際の一つの基準にしてください。
さまざまなカラーを放ち、熱処理の方法によっても風合いを変えるトパーズ。個体によっても特徴が変わるので、ぜひ自分好みのお気に入りを見つけてください。
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この記事を書いた人

TORACO
TOP STOneRY / 編集部ライター
トップストーン編集部がお届けする「トップストーリー」メディアでは、古くから愛されている誕生石の歴史やエピソード、最新のレアストーンの特徴、宝石の楽しみ方をわかりやすく解説しています。「天然石の魅力をもっと多くの方に知ってもらいたい」という想いで、個性溢れるライターが情報発信しています。