【超希少石】グランディディエライトとは?特徴から楽しみ方まで専門家が徹底解説

グランディディエライトという宝石をご存じでしょうか。鉱物コレクターの方や宝石好きの方以外には、あまりなじみのない宝石かもしれません。
グランディディエライトは、2000年代に入ってから初めて宝石品質のものが発見された比較的新しい宝石です。深海のようなブルーグリーンが特徴で、なかなか市場に出回らないレアストーンのひとつ。
この記事ではそんな希少な宝石、グランディディエライトの特徴や魅力、楽しみ方などを詳しくご紹介します。
20年以上天然石の卸売に携わる宝石のプロTOP STONEが丁寧に解説しますので、これを読めばグランディディエライトがどのような宝石か理解していただけます。ぜひ最後までチェックしてみてください。
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目次/Topics
1.宝石・ルースとしてのグランディディエライト

まずはグランディディエライトの特徴や品質についてご紹介します。グランディディエライトがどのような宝石なのか、詳しく見ていきましょう。
■高品質なグランディディエライトとは

グランディディエライトは世界の希少石トップ10に入るほどのレアストーンで、とても希少性が高い宝石。特に品質の高いグランディディエライトが採掘されるのは極めてまれです。
グランディディエライトの品質は、カラー・透明度・カラットを総合的に見て決められます。
カラー
グランディディエライトは、ブルー~ブルーグリーンの神秘的な色合いが特徴です。鮮やかに美しく発色しているものほど高く評価されます。
透明度
グランディディエライトはインクルージョン(内包物)が入りやすい鉱物で、透明度が高い宝石品質のものが採掘されるのは非常にまれです。そのためインクルージョンが少なく、透明度が高いものほど、高品質なグランディディエライトといえます。
カラット
カラットは宝石の重さのことです。1ct(カラット)は0.2gに相当し、カラットが大きいほど価値が高くなります。
ただし、グランディディエライトは非常に小さな結晶で見つかることが多く、1ctに満たないものがほとんどです。1ctを超える宝石品質のグランディディエライトが採掘された場合には、非常に高い価値がつきます。
■グランディディエライトの特徴
次に、グランディディエライトがみせる輝きとその希少性について解説します。
グランディディエライトの輝き方
グランディディエライトは多色性を持つ宝石です。多色性とは見る角度を変えると違う色に見える現象のこと。
グランディディエライトを傾けたり角度を変えて見ることで、無色または薄い黄色、濃い青緑色、濃い緑色の3色に変化するのです。さまざまな表情の複雑で美しい輝きを楽しめるのがグランディディエライトの大きな特徴です。
グランディディエライトが希少な理由
グランディディエライトの高い希少性も人々を魅了する理由のひとつです。
2014年から2016年の間に採掘されたグランディディエライトの原石800kgのうち、透明度の高い宝石品質のものはわずか60g。卵1個分ほどしかありません。なかでも1ctを超えるものは10個未満でした。
2015年にはアメリカの経済誌『Forbes(フォーブス)』で、レッドダイヤモンド、ターフェアイトに次いで「世界で3番目に高価な宝石」と評価されました。高価な宝石のイメージが強いダイヤモンドでもこのランキングでは5位となっており、グランディディエライトの希少価値の高さがわかります。
グランディディエライトが最初に発見されたのは1902年。フランスの鉱物学者、アルフレッド・ラクロワにより、マダガスカルで発見されます。「グランディディエライト」という名前は、当時マダガスカルの自然史の研究をしていたフランス人探検家のアルフレッド・グランディディエにちなんで付けられました。
しかし、発見当初のグランディディエライトはインクルージョンが多く、半透明から不透明の鉱物品質のものばかり。宝石として市場に流通することはありませんでした。
月日は流れ、2000年になってからスリランカで初めて宝石品質のグランディディエライトが発見されます。見つかったのはわずか0.85ctでしたが、非常に珍しく美しい宝石として注目を集めました。
その後、2014年にマダガスカルで高品質なグランディディエライトを産出する新たな鉱床が見つかり、宝石として市場に流通するようになったのです。
現在は主原産地であるマダガスカル政府が、グランディディエライトを「国の宝」として原石の国外持ち出しを厳しく規制しているといわれています。そのためもともとの産出量が少ないことに加え流通量が極めて制限され、とても希少な宝石となっています。
美しく複雑な輝きを持ち、非常に希少性が高いグランディディエライトは、知る人ぞ知るレアストーンとして今後も人気が高まることが予想されます。
■グランディディエライトの魅力
グランディディエライトはモース硬度7.5の比較的硬い宝石です。レアストーンと呼ばれる宝石は硬度が低く加工に適さないものが多いなか、丈夫で加工しやすくジュエリーとして楽しめるのはグランディディエライトならでは。
0.1ct前後の小粒のものが多いため、ダイヤモンドや他の宝石と組み合わせて華やかに見せたり、単体で上品なアクセサリーにしたりと、さまざまな楽しみ方ができます。
人気の高いブルー系の宝石のなかでも、神秘的なブルーグリーンで複雑な輝きを見せるグランディディエライトは、他にはない独特の存在感があります。他の人とかぶらない個性的な宝石を身につけたい人やコレクターにもおすすめできる宝石です。
石によって深いブルーグリーンのものから、淡い水色に近い涼し気な色味のものまでさまざまな種類があります。
■グランディディエライトの産地

グランディディエライトの主な産地はマダガスカルです。アメリカやカナダ、ドイツ、スリランカなど世界各地で鉱床は発見されているものの、宝石品質のものはほとんど産出されていません。
宝石品質のグランディディエライトは主にマダガスカルとスリランカで産出されます。
2.鉱物・原石としてのグランディディエライト

【Wikipedia掲載画像】
Rob Lavinsky, iRocks.com – CC-BY-SA-3.0, CC 表示-継承 3.0,https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=10149538による
グランディディエライトは、原石の状態でも独特のブルーグリーンの色合いが美しく、コレクターから人気があります。ここでは鉱物としてのグランディディエライトについて詳しくご紹介します。
■組成について
英名 | Grandiderite(グランディディエライト) |
和名 | - |
成分 | (Mg, Fe₂+)Al₃(BO₃)(SiO₄)O₂ |
結晶系 | 斜方晶系 |
モース硬度 | 7.5 |
比重 | 2.85-3.09 |
屈折率 | 1.58-1.62 |
劈開 | 2方向に完全/良好 |
主な産地 | マダガスカル |
グランディディエライトは、マグネシウムとアルミニウム、ホウ酸を主成分とする珪酸塩鉱物です。微量の鉄も含み、グランディディエライトならではのブルーグリーンは鉄分によるものと考えられます。
モース硬度は7.5と比較的硬めですが、劈開性という一定の方向からの衝撃に弱い性質があるため、強い衝撃を与えると割れたり欠けたりすることがあります。コレクションやジュエリーとして取り扱う際には注意が必要です。
■原石の形状
グランディディエライトの原石は、高温と低圧下で変成作用を受けたホウ素を多く含むアルミニウム質の岩石の中で形成されます。アプライトやペグマタイトの鉱床で発見されることが多いようです。
結晶は斜方晶系で細く薄い板状です。結晶が大きくなる過程で、薄い板状が重なり合う隙間に他の鉱物が入り込み、インクルージョンやクラックが生じます。
そのため、透明度の高い宝石品質の原石もわずかに採掘されるものの、多く見られるのはインクルージョンを含む半透明から不透明の原石です。半透明や不透明の原石にはグランディディエライトのブルーグリーンに加え、黒や茶、白など他の鉱物の色が混ざって見えます。
■原石コレクターからみた魅力
グランディディエライトは流通量自体が極めて少ないため、コレクターであってもなかなか目にすることができない希少な鉱物です。鉱物品質の原石の状態でも非常に珍しく高い価値があり、多くのコレクターにとって憧れの石といえます。
グランディディエライトの原石は、ブルーグリーンの独特な色合いが神秘的で、石によって大きさや形、色、透明感などがさまざまなのも魅力です。
他にはない希少性と神秘的な美しさから、鉱物コレクターの間でも話題になっています。
■鉱物としてのグランディディエライト
グランディディエライトが採掘されるマダガスカル南部海岸線一帯の地質は18~20億年前の古原生代の地質です。今から約6億年前の氷成紀に起きた地殻変動で一帯に海底地盤が生まれ、その後アルカリ岩質のマグマの貫入と噴出によってペグマタイト鉱床が形成されていきました。このような地質形成がグランディディエライトを生み出したと考えられています。
グランディディエライトは最初に発見されてから理論上存在すると信じられていたものの、約100年もの間見つかりませんでした。その神秘性から「幻の青い宝石」ともいわれてきました。
市場に出回るようになってまだ年数が浅く、今後新たな鉱脈が見つかるかどうかも予想できません。流通量が大幅に増えることは考えにくいため、今後もレアストーンとして注目を集めるでしょう。
3. グランディディエライトをより楽しむために

ここではグランディディエライトの宝石やジュエリー以外の楽しみ方をご紹介します。
グランディディエライトはレアストーンゆえに、まだ広く知られていないさまざまな魅力があります。この機会にグランディディエライトの魅力をさらに掘り下げていきましょう。
■天然石素材としてのグランディディエライト

これまでご紹介してきたとおり、透明度の高い宝石品質のグランディディエライトは非常に希少で、なかなか見られません。しかし、半透明のグランディディエライトであれば比較的手に入りやすい傾向があります。
透明度の低いグランディディエライトは、天然石素材としてブレスレットやネックレスなどのアクセサリーに使われます。
もちろんグランディディエライトの産出量自体が限られているため、透明度が低いものでも希少です。しかし他のレアストーンが天然石素材として出回ることはほとんどないため、その点でも珍しい石といえるでしょう。
グランディディエライトに興味がある方は、まずは天然石素材のグランディディエライトから探してみるのもおすすめです。
天然石素材として使われるグランディディエライトも、独特のブルーグリーンの色合いが美しく、天然石ならではの個性があります。
■グランディディエライトのカット
グランディディエライトは適切にカットを施すことで、キラキラと繊細な輝きを放ちます。原石の形状にあわせてブリリアントカットやステップカット、ミックスカットなどが施されます。
さらに多色性を持つため、カットされたグランディディエライトは見る角度によって色が変わるのも大きな魅力です。他にはないさまざまな表情の複雑な輝きを楽しめます。
■アクセサリーやパワーストーンとして
天然石のグランディディエライトは、ブレスレットやネックレスなどのアクセサリー、またパワーストーンとしても人気があります。
グランディディエライトには「新たな冒険」「ビジョン」「旅立ち」などの石言葉があります。何か新しいことを始めるときや新生活のお守りにぴったりの石です。
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4. まとめ
めったに出会うことができない希少な宝石、グランディディエライト。
産出量が少なく、最近市場に出回り始めた新しい宝石のため、まだ謎に包まれている部分が多くあります。未知数の可能性を秘めた宝石ともいえるでしょう。
もし実物に出会えたら、それだけで幸運かもしれません。これからさらに人気になりそうなグランディディエライトにぜひ注目してみてくださいね。
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この記事を書いた人

ほしあゆみ
TOP STOneRY / 編集部ライター
トップストーン編集部がお届けする「トップストーリー」メディアでは、古くから愛されている誕生石の歴史やエピソード、最新のレアストーンの特徴、宝石の楽しみ方をわかりやすく解説しています。「天然石の魅力をもっと多くの方に知ってもらいたい」という想いで、個性溢れるライターが情報発信しています。