2023/07/31

豊富なカラーが魅力!コレクターに人気のスキャポライトとは?|特徴や楽しみ方

主にコレクターの間で人気となっていて一般的な知名度は低いスキャポライトですが、その魅力は決してほかの宝石に劣りません。スキャポライトの特徴は、色や性質がさまざまで、多種多様な表情を楽しめることです。

この記事では、スキャポライトの特徴や魅力について、宝石と鉱物の観点からご紹介します。メジャーな存在とは言い難い石ですが、ぜひその奥深さを味わってみてください。


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1.宝石・ルースとしてのスキャポライト

水晶やトパーズなどに結晶が似ていたことから発見が遅れ、初めて宝石品質のスキャポライトが発見されたのは1913年のことでした。そんなスキャポライトの宝石としての特徴や魅力について、まずは見ていきましょう。

■高品質なスキャポライトとは

最高品質のスキャポライトは、透明度が高くカットが美しいものです。カラット数が大きくなればその分価値も上がり、また色があるスキャポライトの場合は色が濃いものほど価値が高くなります。

さまざまな色があるスキャポライトですが一般的に希少性が高い紫色のほうが価値が高いとされていて、紫色のものはマリアライト(パープルスキャポライト)と呼ばれています。ただし、照射処理された紫色のものよりも、天然ものであれば、流通量が多い黄色のほうが価値が高くなることもあるようです。

マリアライト
(パープルスキャポライト)

また、スキャポライトの中でも希少性が高い、蛍光を示すテネブレッセンススキャポライトなども高価になりやすい傾向にあります。

テネブレッセンススキャポライト
(左:通常光 / 右:紫外線照射時)

■スキャポライトの特徴

スキャポライトは、メイオナイトとマリアライトが混じり合った宝石で、希少な宝石の1つです。外観は水晶やアメシストシトリンなどとよく似ていて、見た目だけでの判別は難しくなっています。

黄色を中心に、紫色や茶色、黒色、ピンク色、透明など、さまざまな色の石があることもスキャポライトの特徴です。色だけでなく、スキャポライトにはさまざまな性質を持つ石があります。

  • 見る角度を変えると違った色に見える「多色性」があるもの

  • 気体やほかの成分による内包物であるインクルージョンによって、まるで猫の目のように縦長に一筋の光が入る「キャッツアイ効果」を持つものの

  • 光をあてると星のような光があらわれる「スター効果」を持つもの

  • 光をあてると虹色の光彩が見えるもの

  • 紫外線を当てると蛍光や発光するもの

なかには強い畜光性を持つスキャポライトもあり、太陽光の下に置くと独特な輝きを見せたり、紫外線に照射することでレモン色に発光したりします。このように、一口にスキャポライトと言ってもさまざまな特徴があります。

ちなみに、キャッツアイ効果が現れる要因は下記2つが挙げられます。

  • 結晶が光をはじくように平行にならぶ構造をしているため

  • 管状インクルージョンが発生したため

光をはじくように平行にならぶ結晶構造である場合、キャッツアイ効果だけでなくスター効果の要因になることもあります。

スキャポライトは、特に管状インクルージョンが発生しやすく、発生するとその管の中に別の鉱物が入り込むことがあります。なかでもレインボースキャポライトは、管状インクルージョンの中の液状内包物や空洞に光が干渉することで、虹色に見える仕組みです。

■スキャポライトの魅力

スキャポライトは、ガラス光沢でキラキラする輝きが魅力です。また、さまざまな色や性質の石を楽しめることも、スキャポライトならではの魅力となっています。

  • メイオナイト:透明~黄色

  • マリアライト:紫色

  • スキャポライトキャッツアイ:キャッツアイ効果がある

  • レインボースキャポライト:褐色~茶褐色で縦模様があり、暗いところで強い光を当てると虹色に光る

  • スタースキャポライト:スター効果がある

  • テネブレッセンススキャポライト:ブラックライトなどの紫外線を当てると畜光する

    なかでも、バイオレットスキャポライトやパープルスキャポライト、ピンクスキャポライトなどとも呼ばれるマリアライトは、人気が高くなっています。

    テネブレッセンススキャポライトは、畜光を意味する「テネブレッセンス効果」が魅力です。テネブレッセンス効果は、科学用語で「フォトクロミズム効果」とも呼ばれ、ライトの照射をやめても色の変化がしばらく石に残る光学効果です。

    ハックマナイトにも青紫系からピンクに蛍光し、蓄光で濃い紫になるという特徴がありますが、スキャポライトの場合はカラーレスからイエローに蛍光し、蓄光として淡いブルーの色が残ることが大きな特徴です。

    ■スキャポライトの名前の由来

    柱状の結晶であるスキャポライトは、ギリシャ語で柱や棒を意味する「Scapos(スカボス)」と、石を意味する「Lithos(リトス)」から名付けられました。和名では「柱石(ちゅうせき)」と呼ばれますが、これも柱状の結晶であることから名付けられています。

    スキャポライトの一種であるメイオナイトは、ギリシャ語で少ないことを意味する「Meion」にちなんで名づけられたとされています。マリアライトはドイツ人の鉱物学者によって発見され、発見者の妻の名である「マリアローザ」にちなんで「マリアライト」と名付けられました。

    また、現在ではほとんど使われていませんが、メイオナイトとマリアライトがどれくらいの割合で交じり合っているかによっても、違う呼び名が付けられていました。

    • メイオナイト40~80%、マリアライト20~60%:ウェルネライト

    • メイオナイト20~50%、マリアライト50~80%:ディパイライト(ディパイア)

    ウェルネライトはミッゾナイトとも呼ばれていて、スキャポライトの中で一番多くなっています。ちなみに、硫酸基が多く含まれるスキャポライトは、「シルビアライト」と呼ばれます。

    ■スキャポライトの産地

    世界各国から産出されるスキャポライトですが、主な産地は下記となっています。

    • カナダ

    • アメリカ

    • ミャンマー

    • タンザニア

    • マダガスカル

    なかでも、宝石品質のスキャポライトはミャンマーやタンザニアのほか、オーストラリアや中国から産出されるケースが多くなっています。ほかにも、ブラジルやフィンランド、スリランカ、パキスタン、アフガニスタン、イタリア、チェコ、ドイツ、ノルウェーなど、さまざまな国から産出されることが特徴です。ただし、マリアライト成分の強いものはアフガニスタンで主に産出されています

    なお、日本でもスキャポライトは産出されていて、国産のものはマリアライト寄りのスキャポライトが多くなっています。

    2.鉱物・原石としてのスキャポライト

    (Wikipedia掲載画像)
    Géry PARENT - 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0,
    https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=17758718による

    鉱物としても魅力が大きいスキャポライトについて、ここからは組成などをふまえてご紹介します。

    ■組成について

    まずは、組成から見てみましょう。

    英名 Scapolite(スキャポライト)
    和名 柱石(ちゅうせき)
    成分 メイオナイト(灰柱石):
    Ca₄(Al₆Si₆O₂₄)(CO₃,SO₄)
    マリアライト(曹柱石):
    Na₄(Al₃Si₉O₂₄)Cl
    結晶系 正方晶系
    モース硬度 5-6
    屈折率 1.54‐1.58
    劈開 2方向に明瞭
    無色、黄色、紫色、ピンク色、褐色など
    主な産地 カナダ、アメリカ、ミャンマー、タンザニア、マダガスカルなど

    スキャポライトは、ケイ酸塩鉱物の一種です。英名が「Scapolite」と表記されるため、日本語では「スカポライト」と呼ばれることもあります。スキャポライトはメイオナイトとマリアライトに分けられますが、それぞれ純粋な成分の鉱物は見つかっていません。そのどちらかをを20%以上含んでいる固溶体であることが特徴です。

    メイオナイトにはカルシウムが多く含まれ、マリアナイトにはナトリウムが多く含まれているため、これらがどれくらいの割合で混ざっているかによって、スキャポライトは色などが変わります。カルシウムが多ければ黄色に、ナトリウムが多ければ紫色になるなど、その混合率によってさまざまな色になります。

    スキャポライトは劈開性がありモース硬度も高くないため、加工が難しく、扱いにも注意が必要とされる鉱物です。結晶の色は、透明~不透明で色味がないものや白いものが多くなっています。

    ■スキャポライトの原石

    原石は、変成岩、緑色片岩、石灰質片麻岩などから産出されます。ほかにも、花崗岩に貫かれた水成岩や斑レイ岩中の燐灰石脈、大理石中から産出されることもあります。

    スキャポライトの原石は、柱のような形状です。横の断面が四角い柱のようになる「正方晶系」のものが一般的ですが、なかには粒状のものや塊状のものも発見されています。

    スキャポライトの原石は、大きいものが見つかりやすいことも特徴です。長さ25cmもの結晶が発見されたこともあるほど、大きく成長しやすい原石となっています。

    ■鉱物としての魅力

    スキャポライトは、その色味や光沢はもちろん、美しい柱状であることも鉱物としての魅力です。主にコレクター間での人気が高いスキャポライトは、原石を楽しむ人も多くいます。
    多様なカラーバリエーションを楽しむほか、紫外線照射による蛍光や蓄光を楽しむ人も多くなっています。

    3. スキャポライトをより楽しむために

    スキャポライトのその他の楽しみ方として、誕生石や石言葉、加工品の使用例などをご紹介します。

    ■誕生石・石言葉

    スキャポライトは、11月26日の誕生石とされています。また、スキャポライトキャッツアイは6月30日の誕生石でもあります。

    スキャポライトの石言葉は、「未来志向」「信頼」「自立心」などです。「人生の羅針盤」との異名を持ち、前へ向かって進む意味合いの石言葉が多くなっています。

    ■ジュエリーとして

    硬度が高くなく劈開性もあることから、スキャポライトはジュエリーとして楽しむ例は少なめです。しかし、キラキラとした光沢が非常に美しいスキャポライトは、ペンダントやリングなどで楽しむ人もいます。

    取り扱いには十分な注意が必要ですが、お好みの楽しみ方を見つけて、その美しさを堪能してみてはいかがでしょうか。


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    4. まとめ

    スキャポライトはさまざまな色や性質のものがあり、その多種多様な表情を楽しめることが魅力です。ただし、耐久性が高いわけではないため、取り扱いには注意が必要です。

    コレクター間での人気が高いスキャポライトですが、その奥深い魅力は留まることを知りません。この機会にさまざまなスキャポライトと出会い、その美しさに魅了されてみてはいかがでしょうか。


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    この記事を書いた人

    Aria

    TOP STOneRY / 編集部ライター

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