アクアプレーズとは?ミルキーな青緑が魅力の新しい宝石を解説

アクアプレーズは2014年に発見され、2016年にGIA(米国宝石学会)にて正式に認められたばかりの新種のカルセドニー(玉髄)の一種です。
宝石としての歴史は浅いものの、独特のミルキーな青緑色がとても美しく、世界中のコレクターの注目を集めています。
この記事では、そんなアクアプレーズを宝石・鉱物の観点から詳しく解説して、アクアプレーズの特徴やその魅力に迫ります。
ぜひこの機会に、注目の新しい宝石・アクアプレーズの魅力に触れてみてください。
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1.宝石・ルースとしてのアクアプレーズ

冒頭で述べた通り、アクアプレーズは2014年に発見されたばかりのカルセドニーの一種です。しかもアフリカのごく一部でしか産出しておらず、さらには「産地は明確にされていない」「新たな原石は採掘されていない」との噂もあるレアストーンです。
まずは、宝石・ルースとしてのアクアプレーズがどのような宝石なのか、品質の見分け方や特徴など基本的な情報を交えて、詳しく見ていきます。
■高品質なアクアプレーズとは

アクアプレーズの品質は、カラー・透明度・カラットを総合的に見て判断されます。
カラー
アクアプレーズの特徴ともいえるカラーは、独特のミルキーな青緑色の色合い。
これはカルセドニーにクロムが含まれることで発色します。
その発色が鮮やかに美しいものほど品質が高いと評価されます。
なお、カルセドニーにクロムが含まれることは鉱物的に見ても非常に珍しく、めったに産出しないレアストーンとして注目されています。
※アクアプレーズが青緑色になる詳しい仕組みは、この後の「鉱物・原石」に関する章の中で改めて解説しています。
透明度
アクアプレーズはインクルージョン(内包物)が入りやすい鉱物で、透明度が高い宝石品質のものが採掘されるのは非常にまれです。そのため、インクルージョンが少なく透明度が高いものほど、高品質なアクアプレーズといえます。
カラット
カラットとは宝石の重さのこと。1ct(カラット)は0.2gに相当し、どの宝石にも言えることですがカラットが大きいほど価値が高くなります。
アクアプレーズに関しては産出量自体が非常に少ないため、サイズが大きなアクアプレーズは必然的に高い価値が付けられます。
■アクアプレーズの魅力
アクアプレーズの魅力は、なんといってもそのやわらかな青緑の色合いと、ほのかな透明感にあります。
中でも、ミルキーな質感をともなう個体は、宝石として特に高い人気を集めています。
適度な硬度を持つことから加工にも適しており、さまざまなカットが施されたアクアプレーズがジュエリーとしても流通しています。
適切なカットが施されたアクアプレーズは、表面につややかな光沢があらわれ、瑞々しい美しさを際立たせます。
■カルセドニーの種類
カルセドニーは和名を「玉髄」といいます。
非常に細かい石英の結晶が網目状に集まり固まった鉱物の変種で、古来から宝石や印章、装飾品として利用されてきました。
アゲート(瑪瑙)と混同されやすいのですが、それもそのはず、両者の主成分や性質はほぼ同じです。
違うのは『縞模様があるかどうか』のみ。アゲートには縞模様がありますが、カルセドニーにはありません。
純粋なカルセドニーは白色です。わずかに他の鉱物を含むとさまざまな色に変化します。
個性的な特徴を持つカルセドニーには、それぞれ名前が付けられています。以下に代表的なカルセドニーの種類をご紹介します。
名前 | 特徴 | 画像 |
---|---|---|
カーネリアン(紅玉髄) | 赤みを帯びたオレンジ色のもの |
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クリソプレーズ(緑玉髄) | 緑色(アップルグリーン)のもの |
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アゲート(瑪瑙) | 平行な縞模様があるもの |
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ジャスパー(碧玉) | 不純物を多く含んだ不透明なもの |
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ブラッドストーン(血石) | ジャスパーのなかで斑点状に赤色が混じっているもの |
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アクアプレーズとよく似ているのが、緑色のクリソプレーズです。
クリソプレーズとアクアプレーズの違いは発色要因にあります。ニッケルが含まれるとやや黄みがかった緑色のクリソプレーズに、クロムが含まれると青みがかった緑色のアクアプレーズになります。
ちなみに、「アクアプレーズ」という名称はコマーシャルネームで、鑑別書には「オーリティックグリーンカルセドニー」または「グリーンカルセドニー」と記載されます。
■アクアプレーズの産地

アクアプレーズの主な産地はアフリカ・ジンバブエです。ジンバブエにちなんで「ジンバブエプレーズ」と呼ばれることもあります。
ただ、最初に採掘されてからほとんど産出していないともいわれ、産出量および流通量がきわめて限られています。
ジンバブエ以外ではザンビア産のものがわずかに市場に流通していますが、その他の地域で宝石品質のアクアプレーズが産出するかどうかは、現時点では明らかになっていません。
■アクアプレーズの歴史
アクアプレーズは2014年に、ギリシャの探鉱者ヤニー・メラスによってアフリカで発見されました。
メラス氏は世界的に高く評価されているベテラン宝石探検家で、スワロフスキー社が天然石部門を設立する事業にも貢献しました。
メラス氏がアクアプレーズを発見した地の正確な場所は明かされていません。
現在、市場に流通しているアクアプレーズの産地はジンバブエ産またはザンビア産とされています。
ジンバブエとザンビアは隣同士のため、国境付近の鉱山ならどちらも産地とされることがあるようです。
メラス氏は発見直後にこの石を鑑別機関に鑑別依頼したところ、クリソプレーズと鑑別され、新種とは認められませんでした。
この鑑別結果に疑問を抱いたメラス氏は、アメリカの宝石研究機関であるGIA(米国宝石学会)にあらためて鑑別を依頼しました。
GIAで宝石学の観点からさまざまな詳しい研究や分析が行われた結果、従来のカルセドニーとは異なる新たな鉱物であることが判明。そして2016年2月にGIAから新鉱物だと発表されたのです。
独特の青緑色からメラス氏は、水や海を意味する「aqua」と、緑の西洋ネギを意味する「prason」にちなんで「Aquaprase(アクアプレーズ)」と名付けました。
2. 鉱物・原石としてのアクアプレーズ

英語版Wikipedia掲載画像:クロム含有によってグリーンに発色したカルセドニー(ジンバブエ産)
By Hyperdeath - Own work, CC BY-SA 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=5692568
アクアプレーズは原石の状態でも独特の色合いが美しく、大変魅力的です。ここでは鉱物としてのアクアプレーズについて詳しくご紹介します。
■組成について
アクアプレーズの組成情報は、以下のとおりです。
英名 | Aquaprase(アクアプレーズ) |
和名 | - |
成分 | SiO2 + Cr |
結晶系 | 六方晶系 |
モース硬度 | 6.5 |
比重 | 2.57~2.64 |
屈折率 | 1.53 |
劈開 | なし |
色 | 青緑色 |
主な産地 | アフリカ(ジンバブエ) |
アクアプレーズのモース硬度は6.5程度と比較的硬く、宝石品質のアクアプレーズにはファセットカットが施されることもあります。
ただし、硬度が高い宝石と一緒に保管すると傷がつくおそれがあるため、取り扱いには十分な注意が必要です。
■アクアプレーズの色の秘密
アクアプレーズの青緑色は、含有するクロム(Cr)に由来すると考えられています。
クロムは遷移元素の1つで、クロムを含む鉱物によって異なる発色を見せるという特徴があります。
アクアプレーズはアメリカ宝石学会(GIA)の可視分光法調査で、次の事実が判明しています。
420/600nm を中心とする広い吸収バンドがある
約500nmに大きな透過窓ある(青緑色を生み出す)
646、676、679nmに鋭い吸収ピークがある

可視分光法調査とは鉱物がどの波長の光を透過させるかを調べる方法です。人間の可視光線(虹の七色を思い浮かべてください)のうち、数字が少ない方が紫・青寄りで、数字が大きい方が橙・赤寄りであることを示します。
調査結果から、アクアプレーズは青・紫色と赤色の光を吸収しています。青と赤を吸収した物体は、人間の目には緑色に見えます。
これがアクアプレーズが青緑色に見える理由です。
■原石の形状

【参照】アゲートにみられるドゥルージ
アクアプレーズの内部には石英の微結晶が網目状に集合しており、結晶の間には非常に小さな隙間が存在しています。
結晶の内部にはカルセドニーが石英化し、ドゥルージーとなった微細な空洞やキラキラとした粒状の結晶質部分が見られることもあります。
■原石コレクターから見た魅力
アクアプレーズは原石の状態でも独特の淡い青緑色が美しく、コレクターを中心に人気があります。母岩や他の鉱物によって複雑な模様や色合いを呈しているものもあり、原石ならではの個性的な魅力があります。
産出量および流通量がきわめて少ないため知る人ぞ知るレアストーンですが、独特の色合いと美しさから今後人気が高まっていくことが予想されます。
3. アクアプレーズをより楽しむために

アクアプレーズは宝石としてだけでなく、パワーストーンやコレクションとしても楽しまれています。
ここでは、その中でも特に人気のあるアクセサリーやパワーストーンとしての使い方について触れていきます。
■アクセサリー・パワーストーン

加工がしやすいアクアプレーズはビーズカットが施され、天然石のブレスレットやパワーストーンとしても流通しています。天然石のアクアプレーズは一つひとつ微妙に色合いが異なり、さまざまな表情を楽しめるのが魅力です。やわらかい色合いのミルキーな青緑色は他にはない美しさがあり、人気が高まっています。
アクアプレーズは心を解放し、問題解決へ導いてくれるパワーストーンとしても知られています。自分らしく前に進みたいときや悩みを抱えているときに持っていると、力になってくれるかもしれません。
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4. まとめ
アクアプレーズは2014年に発見されたばかりの新しい宝石で、独特のミルキーな青緑色が魅力です。
一方で、産出量や流通量はまだ限られているため、市場の動向はこれからの展開次第で大きく変わる可能性があります。
歴史が浅く不確定な部分も多いですが、その柔らかな見た目の中に確かな魅力を秘めていることは間違いありません。
今後の評価や市場の変化に期待が高まっており、これからの動きを楽しみに見ていきたい宝石です。
この記事を通じてアクアプレーズの名前を覚えていただけたら嬉しいです。
ぜひ、今後の展開にも注目しながら、その魅力を感じていただければと思います。
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この記事を書いた人

みゆな
TOP STOneRY / 編集部ライター
トップストーン編集部がお届けする「トップストーリー」メディアでは、古くから愛されている誕生石の歴史やエピソード、最新のレアストーンの特徴、宝石の楽しみ方をわかりやすく解説しています。「天然石の魅力をもっと多くの方に知ってもらいたい」という想いで、個性溢れるライターが情報発信しています。