2023/10/13

 

2024/06/20

空の色の石セレスタイトとは?特徴から魅力まで専門家が徹底解説

澄み渡る空のような青色が美しいセレスタイト。しかし、やわらかく割れやすいため加工には向かず、宝石としてはあまり知られていないかもしれません。

この記事では、そんな知る人ぞ知るセレスタイトについて深掘りしていきます。20年以上天然石の卸売に携わる宝石のプロTOP STONEが、セレスタイトの特徴から魅力まで詳しく解説します。

セレスタイトをお探しのコレクターの方も、セレスタイトの名前を初めて聞いた方もぜひチェックしてみてください。


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1.宝石・ルースとしてのセレスタイト

まずはセレスタイトの特徴や品質など、基本的な情報をご紹介します。一緒にセレスタイトがどのような宝石なのか見ていきましょう。

■高品質なセレスタイトとは

セレスタイトの品質は、カラー・透明度・カラットなどを総合的に見て決められます。

カラー

セレスタイトの多くは無色から青色をしています。ごくまれに緑や黄色、オレンジ、褐色などのセレスタイトが産出することもあります。

特に好まれるのは空のような澄んだ青色で、全体的に色が均一で鮮やかに発色しているものほど、価値が上がります。

透明度

セレスタイトは透明度が高いほど色がきれいに見え、光をよく反射して輝きが増します。そのため、インクルージョンの少ない透明度の高いセレスタイトは高品質です。

カラット

カラットは宝石の重さのことです。1ct(カラット)は0.2gに相当し、一般的に宝石はカラットが大きいほど高く評価されます。

セレスタイトは大きな塊で産出することもありますが、非常にもろく割れやすい特徴があります。よって高品質でサイズの大きなセレスタイトは希少で、価値が上がります。

■セレスタイトの輝き

    セレスタイトは澄み渡る空のような青色と美しい輝きが魅力です。透明度が高いセレスタイトは光が当たると内側からキラキラと美しく輝きます。

    もろく割れやすいため、取り扱いや加工が難しいのも大きな特徴です。カットされたルースやジュエリーはなかなか見られないでしょう。

    宝石の世界ではまだあまり広く知られていないセレスタイトですが、ヒーリングストーンやパワーストーンとしては人気があります。空のような美しい色とあいまって、癒やしや浄化の力があると考えられています。

    ■セレスタイトの魅力

    セレスタイトは割れやすく加工には高度な技術が必要なため、宝石品質の美しいルースはほとんど流通しません。ただし、まれに美しくカットされたセレスタイトに出会えることもあります。

    カットが施された宝石品質のセレスタイトは、透明から淡い青色のものが多く、繊細で美しい輝きを放ちます。もろさと希少性もあいまって儚なげな美しさが魅力です。

    ■セレスタイトの産地

    セレスタイトはマダガスカルやメキシコ、アメリカ、ナミビア、カナダなど、世界各地で採掘されています。

    なかでも有名なのはマダガスカルです。特にマダガスカル北西部にあるマハジャンガ州のサコアニー村は、高品質なセレスタイトの産地として知られています。ほかにもマダガスカル南部のトゥリアラ州や中部アンタナナリボ州などでもセレスタイトが採掘されています。

    セレスタイトが初めて見つかったのはイタリアのシチリア島ですが、現在は鉱脈が尽きてしまい採掘されていません。

    また、かつては日本の島根県鵜峠鉱山でもわずかに見つかったことがあるそうです。鵜峠鉱山ではおもに銅や石膏を採掘していましたが、1970年に資源の枯渇や採掘コストの上昇などにより閉山されました。

    近年セレスタイトは原石コレクターを中心に人気が高まっていますが、高品質なセレスタイトの採掘量は年々減少傾向にあるようです。もし高品質なセレスタイトにめぐり合うことができたら、とても幸運といえるでしょう。

    2.鉱物・原石としてのセレスタイト

    セレスタイトの原石はそれぞれ色や形が異なり、原石ならではの魅力があります。ここでは鉱物としてのセレスタイトについて詳しくご紹介します。

    ■組成について

    英名 Celestite(セレスタイト)
    和名 天青石(てんせいせき)
    成分 Sr[SO4]
    結晶系 斜方晶系
    モース硬度 3~3.5
    比重 3.89~4.19
    屈折率 1.62~1.64
    劈開 一方向に完全、一方向に良好
    青色、無色、白色、灰色、帯青緑色、黄色、橙色、赤橙色
    主な産地 イタリア、マダガスカル、メキシコ、アメリカ、ナミビア、カナダ、ドイツ、フランス、イギリス、オーストラリア、ポーランド

    セレスタイトはバライト系の硫酸塩鉱物のひとつ。モース硬度は3~3.5とやわらかく、劈開性(一定の方向に対する割れやすさ)も完全のため、もろく割れやすいのが特徴です。

    保管の際には衝撃を加えたり、他の宝石が当たったりしないよう取り扱いには十分注意する必要があります。

    ■原石の形状

    セレスタイトはおもに石灰岩や苦灰岩、砂岩などの堆積岩の中で産出します。海水中から形成された蒸発岩や熱水鉱床の中などで見つかることも。結晶の形は塊状や繊維状、粒状、ノジュール状など、さまざまです。美しいガラス光沢があり、劈開面には真珠光沢も見られます。

    他の鉱物と共生して見つかることもあり、結晶の色や形はさまざまなバリエーションがあります。クォーツやアメジストのようなクラスター(群生)状で見つかることも。ただし結晶が剣のように長く成長することは少ないため、クラスター状の原石はとても希少です。

    Wikipedia掲載画像
    Didier Descouens - 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 4.0, 
    https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=7113295による

    もっとも高品質なセレスタイトはマダガスカル産で、砂泥岩に形成されたジオード(晶洞)の中に角柱状の結晶が群生し、コレクター向けの美しい原石が多く見つかります。

    ■原石コレクターからみた魅力

    宝石として出回ることは少ないセレスタイトですが、原石は比較的手に入れやすく人気があります。加工が難しいため、インテリアやコレクションとして原石のまま飾って楽しむのが一般的です。

    セレスタイトは原石の状態でも透明感があり、淡い青色の美しい見た目のものが多くあります。長い年月をかけて母岩の上で成長したセレスタイトのクラスターからは、自然の力強さを感じることもできます。

    同じセレスタイトでも原石は一つひとつ色や形が異なり、それぞれに独自の魅力があるためコレクションする楽しみがあります。

    ■鉱物としてのセレスタイト

    セレスタイトはバライト系の硫酸塩鉱物で、アングレサイト(硫酸鉛鉱)と共に重晶石グループの鉱物のひとつです。「重晶石」の名前のとおり、重さがあるという特徴があります。比重3.89~4.19という数値は、数ある鉱物のなかでも非常に重い部類です。そのためサイズが小さくてもずしりと重いのが大きな特徴です。

    バライト、アングレサイト、セレスタイトの3つは類質同像(結晶構造がほとんど同じで化学組成の似た鉱物)の関係にあり、成分が混じり合って固溶体を構成します。バライトは主成分にバリウム、アングレサイトは鉛、セレスタイトはストロンチウムを含みます。しかし、含バリウム天青石、含ストロンチウム重晶石、含鉛重晶石なども存在し、鑑別を複雑化しています。

    ストロンチウムは燃やすと赤色の発光をするのが大きな特徴です。金属イオンを燃やすと特定の色を発光する現象を炎色反応といい、鑑別に役立っています。ちなみに炎色反応の利用でもっとも知られているのが花火です。花火の赤色はストロンチウムによって発光しています。

    人工的に作られたストロンチウム(放射性など)は有害ですが、セレスタイトに含まれる自然界に存在するストロンチウムは有害ではありません。セレスタイト結晶に触れても人体に影響はないので、安心してください。

    3. セレスタイトをより楽しむために

    空のような美しい青色のセレスタイトには癒やしや浄化の力があると考えられており、パワーストーンとしても非常に人気があります。

    ここではパワーストーンとしての楽しみ方のほか、名前の由来や歴史などセレスタイトの知識をさらに深める情報をご紹介します。

    ■セレスタイトの歴史

    セレスタイトは、1781年にイタリアのシチリア島で初めて発見されました。鮮やかな黄色をした硫黄の上に、とても美しい水色の結晶が群生した状態で見つかったそうです。

    その後1798年にドイツの鉱物学者ウェルナーにより、大空の色を意味する「Celestial(セレスチアル)」にちなんで「セレスタイト(空の色の石)」と名付けられました。

    和名は直訳して「天青石(てんせいせき)」。「天晴石」と書くこともあります。しかし発見されてからしばらくは、セレスタイトは日本ではほとんど知られていませんでした。よく知られるようになったのは、マダガスカル島から大型のセレスタイトの結晶が輸入されてからのことです。

    ■セレスタイトのカットについて

    セレスタイトは硬度が低く、劈開性があり割れやすいため、加工には高度な技術を必要とします。セレスタイトの特性をよく理解した熟練の職人でなければ、磨いている途中に割れてしまうことも。そのため美しいカットルースが流通するのはごくまれです。

    セレスタイトは原石でも透明感があり美しい輝きが見られますが、適切なカットが施されたセレスタイトはより光を反射し、キラキラと繊細な輝きを放ちます。

    ■アクセサリーやパワーストーンとして

    ヒーリング効果があると考えられているセレスタイトは、パワーストーンとしても高い人気を誇ります。空のような色合いから「天使の石」と呼ばれることもあるようです。

    「休息」「浄化」「博愛」を象徴する石とされ、心を解放し、やすらぎを与えてくれる効果があると考えられています。インテリアやヒーリングストーンとして原石を飾って楽しむ人が多いようです。

    寝室に置くと深い眠りを誘い、心身を癒やしてくれる効果もあるとされ、ベッドサイドストーンとしても人気があります。


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    4. まとめ

    宝石の世界ではまだあまり知られていないセレスタイト。しかし、蒼天のような透明感のある美しい青色はとても魅力的です。

    癒やしや浄化の力があると考えられているセレスタイトは、持っていると心が落ち着き、お守りのような存在になってくれるかもしれません。ぜひこの機会にセレスタイトに興味を持っていただけたら幸いです。


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    この記事を書いた人

    ほしあゆみ

    TOP STOneRY / 編集部ライター

    トップストーン編集部がお届けする「トップストーリー」メディアでは、古くから愛されている誕生石の歴史やエピソード、最新のレアストーンの特徴、宝石の楽しみ方をわかりやすく解説しています。「天然石の魅力をもっと多くの方に知ってもらいたい」という想いで、個性溢れるライターが情報発信しています。