2023/06/01

神秘的な青い宝石サファイアの魅力とは?特徴から歴史まで徹底解説

数ある宝石のなかでもトップクラスの人気を誇るサファイア。いつかは身につけてみたいと憧れる方も多いのではないでしょうか。

サファイアといえば吸い込まれるような深い青色が美しい宝石。しかし実はピンクやオレンジ、黄色、紫などさまざまなカラーバリエーションがあります。また、カラーだけでなく歴史や原石など、サファイアにはまだまだ知られていない魅力がたくさんあるのです。

この記事ではそんなサファイアの魅力に深く迫ります。20年以上天然石の卸売に携わる宝石のプロTOP STONEが、サファイアの特徴から歴史まで詳しく解説しますので、ぜひ最後までチェックしてください。


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1. 宝石・ルースとしてのサファイア

まずはサファイアの特徴や品質など、基本的な情報をご紹介します。一緒にサファイアがどのような宝石なのか見ていきましょう。

■最高品質のサファイアとは

一般的にサファイアは青色の宝石として知られていますが、実際には多くのカラーバリエーションがあります。カラーのほかにも透明度やカラットなどさまざまな要素を総合的に見て、サファイアの価値が決まります。

ここでは最高品質のサファイアがどのようなものか詳しく解説します。

カラー

カラーはサファイアの価値を決めるもっとも重要な要素です。サファイアは鉱物名を「コランダム」といい、含まれる不純物の成分によって色が変化します。赤色のコランダムはルビー、それ以外の色はサファイアに分類されます。サファイアには青色をはじめ、ピンク、オレンジ、黄色、紫、緑など非常にさまざまな色が存在します。


サファイアのカラーでもっとも人気があり価値が高いのは青色です。「ブルーサファイア」と呼ばれ、鮮やかで均一に発色しているものほど価値が上がります。ブルーサファイアのなかでも特に色が美しく上質なものは「コーンフラワーブルー」「ロイヤルブルー」などの名前がつけられ、別格とされています。


コーンフラワーブルーは、産出量がきわめて少ない最高品質のブルーサファイアのひとつ。矢車草(コーンフラワー)のような上品な青紫色が特徴です。

コーンフラワーブルーに次ぐ美しさを持つのがロイヤルブルーです。鮮やかな深い青色が特徴で、イギリス王室も御用達の最高級のサファイアとして知られています。


青色以外のサファイアは「ファンシーサファイア」と呼ばれます。「ピンクサファイア」や「オレンジサファイア」といったように色の名前をつけて呼ばれるのが一般的です。ブルーサファイアに比べれば価値は下がりますが、透明感があり高品質なファンシーサファイアは希少で人気があります。

ファンシーサファイアのなかでも特に価値が高いのは、ピンクがかったオレンジ色をした「パパラチャ(パパラチア)サファイア」です。また、光源によって色が変わって見える「カラーチェンジサファイア」も希少で、高い価値があります。


「パパラチャ(パパラチア)」はサンスクリット語で「蓮の花の色」を意味します。パパラチャサファイアは非常に希少でめったに産出しないため、幻の宝石とされコレクターを中心に人気があります。

「カラーチェンジサファイア」は太陽光の下では青色に見えますが、白熱灯の下では赤みがかった紫色に見える個性的なサファイアです。まれにイエローグリーン系からブラウン系への色変わりを見せるものもあります。


なお、現在市場に流通しているほとんどのサファイアには、色合いを鮮やかにするための加熱処理が施されています。加熱処理は一般的に行われている加工のひとつなので、加熱処理の有無でサファイアの価値が大きく変わることはありません。ただし加熱処理をしなくても結晶そのものが美しい非加熱サファイアはきわめて希少なため、価値が高くなります。

透明度

サファイアはインクルージョン(内包物)が入りやすい鉱物です。そのためインクルージョンが少なく透明度の高いものほど価値が上がります。

ただしインクルージョンがあることは天然サファイアの証であり、個性や輝きを増すプラスの効果もあります。

たとえばルチルと呼ばれる針状のインクルージョンがあると、星型の光の筋が入った「スターサファイア」と呼ばれるサファイアになります。星型の光の筋が生まれる現象は「スター効果」と呼ばれ、もとは同じ鉱物であるルビーにも起こる現象です。スターサファイアは個性的で美しく、産出することは非常にまれなため、一般的なサファイアよりも価値が高いとされています。

また、ルチルがインクリュージョンとして含まれるとき、顕微鏡レベルで絹の糸のように見えるため、シルク・インクルージョンと呼ばれることもあります。シルク・インクルージョンの入ったサファイアは、霞がかったような繊細な色合いが美しく「シルキーサファイア」と呼ばれ近年人気が高まっています。このように、インクルージョンによって別の良さが生まれることがあることも宝石の魅力です。

カラット

カラットは宝石の重さのことです。1ct(カラット)は0.2gに相当し、一般的に宝石はカラットが大きいほど高く評価されます。

高品質で大粒のサファイアが産出することはまれなため、非常に高い価値がつけられます。通常、市場に出回るサファイアは5ct未満のものがほとんどです。

カット

サファイアはカットによって光の反射や輝きが変わります。原石の形状にあわせて適切なカットを施すことで美しい輝きが最大限に引き出され、高品質なルースになります。

■サファイアの輝き

サファイアは十分な硬度があり割れにくいため、輝きを最大限に引き出すためにおもにファセットカットが施され、ジュエリーに加工されるのが一般的です。熟練の職人の手によって適切なカットが施されたサファイアは、光をよく反射し内側から美しく輝きます。

特にブルーサファイアは深い青色と神秘的な輝きが魅力で、古くから世界中の人々に愛され続けています。

■宝石としての魅力

サファイアはダイヤモンド、ルビー、エメラルドと並ぶ世界四大宝石のひとつ。希少性や美しさから世界中で親しまれ、歴史的価値も高い宝石です。

また、サファイアは丈夫で割れにくいため扱いやすく、日常使いのジュエリーにも向いています。美しくカットされたサファイアは、ピアスやネックレス、指輪などどんな種類のジュエリーにもよく合います。特にブルーサファイアは上品な色合いと美しい輝きが知的でエレガントな印象に見せてくれ、幅広い世代から人気があります。

サファイアといえば神秘的な青色が広く知られていますが、ピンクやオレンジ、黄色、紫などカラーバリエーションが豊富なのも魅力です。自分に合った好きな色を選べるのも楽しみのひとつといえるでしょう。

■主な産地と産地ごとの違い

サファイアはミャンマーやスリランカ、タイ、カンボジアなどさまざまな地域で産出します。産地によって色合いや透明度などに微妙な違いが見られ、価値が変わることもあります。以下におもな産地ごとの特徴をご紹介します。

カシミール産のサファイア

インドとパキスタンの国境に位置するカシミール地方では、やわらかく上品な青色とベルベットのような光沢を持つ最高級のサファイアが多く産出していました。最高級のコーンフラワーブルーの産地としても知られています。

カシミール産のサファイアの鑑別には「インド寄り:KASHMIR」と「パキスタン寄り:PAKISTAN / KASHMIR」の2種類があります。インド寄りのカシミールで産出するサファイアは「カシミールサファイア」と呼ばれ、特に価値が高くなります。カシミール産のコーンフラワーブルーというだけでも十分に価値がありますが、インド寄りのカシミールで産出するカシミールサファイアは価値が桁違いです。

ただし現在は枯渇してほとんど採掘されなくなり、カシミール産のサファイアは幻の宝石といわれるほど希少価値が高まっています。

スリランカ産のサファイア

スリランカはもっとも古くからサファイアが採掘されている伝統的な産地です。透明度が高く紫がかった美しい青色のサファイアが多く産出します。最高級のコーンフラワーブルーやロイヤルブルー、希少なスターサファイアが産出することもあります。

ミャンマー産のサファイア

高品質なルビーの産地として知られるミャンマーでは、大粒で美しい青色のサファイアも産出します。透明度の高い鮮やかな青色が特徴で、高品質なロイヤルブルーが見つかることもあります。

マダガスカル産のサファイア

マダガスカルでは古くからサファイアが産出していましたが、1990年代以降に新たな鉱脈が見つかり大きくシェアを伸ばしました。カシミールやスリランカ、ミャンマー産のサファイアとよく似た高品質なサファイアが産出し、産地鑑別が難しいとされています。

アメリカ・モンタナ州産のサファイア

アメリカのモンタナ州で採掘されるサファイアは「モンタナサファイア」と呼ばれます。モンタナ州の代表的な鉱山であるヨーゴ渓谷では、青色から紫色をした高品質なサファイアを多く産出します。

また、ロッククリーク鉱山は黄色や緑、非常にレアなピンクなど、多くのファンシーサファイアを産出しています。2色以上の色が混ざったバイカラータイプが見つかることも。

タンザニア・ウィンザ―産のサファイア

タンザニアのウィンザーでは、青色とピンクが混ざり合ったバイカラーのサファイア(ウィンザーサファイア)が産出します。2色がにじむような個性的な色合いが特徴です。

2. 鉱物・原石としてのサファイア

サファイアは原石も美しく、鉱物的にも大変魅力的な石です。鉱物としてのサファイアについても詳しくご紹介します。

■組成について

英名 Sapphire(サファイア)
和名 青玉(せいぎょく)
成分 Al2O3
結晶系 六方晶系または三方晶系
モース硬度 9
比重 3.99~4.05
屈折率 1.76~1.77、1.77~1.78
劈開 なし
主な産地 ミャンマー、スリランカ、タイ、カンボジア、ラオス、タンザニア、マダガスカル、 インド、ベトナム、オーストラリア、アフガニスタン、アメリカ、アフリカ、ロシア、中国、ネパール

サファイアの鉱物名は「コランダム」です。純粋なコランダムは無色で、微量の金属イオンが不純物として含まれると、青色や赤色、紫色、緑色、黄色などさまざまな色に変化します。コランダムの中で赤色のものがルビー、それ以外はサファイアに分類されます。つまりルビーとサファイアは同じ鉱物の色違いなのです。

サファイアのなかでも特に人気の青色は、コランダムに微量の鉄とチタンが含まれることで発色します。

また、サファイアはダイヤモンドに次ぐ硬さを持ち、丈夫で割れにくいのが特徴です。カットや加工に向いているため、ジュエリーとしても人気があります。耐久性の高さと扱いやすさから長く愛用できるのも人気の理由です。

■原石の形状

サファイアの原石の結晶形状は、樽型または紡錘型の六角錐状をしているのが一般的です。産地や形成された環境によって形状や特徴が異なります。

タイやカンボジア、ベトナム、オーストラリアなどで産出するサファイアは、おもに火成岩を起源としています。アルカリ玄武岩という黒っぽい火山岩を母岩とし、鉄(Fe)とガリウム(Ga)を多く含みます。どの宝石も鉄分が多く含まれると色が暗くなる傾向がありますが、濃い青色の「インクブルー」と呼ばれる高品質なサファイアが見つかることもあります。

一方、スリランカやミャンマー、カシミール、マダガスカルなどで産出するサファイアは、おもに変成岩を起源としています。角閃岩や片麻岩、グラニュライトなどの広域的な変成作用に関連する岩石や閃長岩などを母岩として形成します。火成岩を起源とするサファイアに比べ鉄分が少なく、明るい青色を示すのが特徴です。一般的に変成岩を起源とするサファイアのほうが高品質な原石となる傾向があります。

■原石としての魅力

加熱処理やカットによって、鮮やかな青色で美しい輝きを放つ宝石のサファイアはとても魅力的です。しかし、ありのままの姿をした原石には原石にしかない美しさと魅力があります。石によって一つひとつ色や形が異なり、決して同じものはありません。だからこそ長い地球の歴史や自然の力を感じることができます。

また、原石を深く研究することで、サファイアが形成された環境や地質、産地などがわかり、地質学的にも重要な役割を持っています。

■鉱物としての魅力

コランダムにクロムが含まれると赤いルビーになり、鉄とチタンが含まれると青いサファイアになります。さらに、サファイアには青色以外にもさまざまなカラーバリエーションがあり、「ない色はない」といわれるほどです。同じ鉱物でも微量な不純物の違いでまったく別の色に変化するので、自然の力の奥深さを感じられます。

3. サファイアをより楽しむために

サファイアは指輪やネックレスなどのジュエリーが人気ですが、そのほかにもさまざまな楽しみ方があります。ここではサファイアの歴史的背景やパワーストーンとしての魅力など、宝石やジュエリー以外の楽しみ方をご紹介します。

■サファイアの歴史

サファイアは長い歴史のある宝石のひとつで、太古の昔から人々に大切にされてきました。「サファイア」という名前は、ラテン語で青色を意味する「sapphirus(サッピールス)」に由来します。日本名も「蒼玉・青玉(せいぎょく)」といい、青色の印象が強いことがわかります。

古代ギリシャやローマ時代には、サファイアは貴族や王族の間で非常に人気がありました。彼らはサファイアを信仰や智恵の象徴として崇め、宝飾品やお守りとして身につけていたとされています。

中世ヨーロッパではサファイアには不思議な力があると考えられ、眼病を治す効果や解毒の作用がある薬として用いられていたこともあるようです。

現代では、イギリスのチャールズ皇太子がダイアナ妃にプロポーズの際に贈った婚約指輪がロイヤルブルーのサファイアだったことでも有名です。さらに、そのサファイアの指輪はウィリアム王子がキャサリン妃にプロポーズするときにも受け継がれ、大きな話題になりました。

■サファイアのカットや加工について

サファイアは丈夫で割れにくく、加工にも適した宝石です。原石の形状や品質にあわせて職人が適切なカットを施すことで、美しい輝きや透明感を最大限に引き出せます。角度によって違う色に見える多色性を示すこともあり、もっとも美しい色が見えるように仕上げるためには高度な技術と経験が必要です。

サファイアにはオーバルカットやステップカット、スクエアカットなどさまざまな種類のカットが可能です。特殊なインクルージョンの入ったスターサファイアにはカボションカットが施されます。

ジュエリーとして人気のサファイアですが、宝石品質に満たないサファイアは天然石というくくりでビーズやアクセサリーに加工されることもあり、宝石よりも手に取りやすい価格で多くの人を楽しませます。このようなサファイアは、宝石に比べて透明度が低い分、濃い青色をしているのが特徴です。

■パワーストーン・9月の誕生石

サファイアは心に安らぎを与え、集中力や冷静な判断力を授けてくれるとされ、パワーストーンとしても人気があります。知性をもたらす「賢者の石」ともいわれています。成功したいときや進むべき道に迷ったときに身につけることで、力になってくれるかもしれません。

サファイアは9月の誕生石でもあります。また、イギリス王室で婚約指輪に選ばれたことや、花嫁に幸せをもたらす「サムシングブルー」のアイテムとして知られることから、婚約指輪としても人気があります。

さらに、結婚45周年を「サファイア婚式」といいます。「誠実」「慈愛」「真実」などの石言葉から、揺るぎない誠実な愛で結ばれた夫婦を象徴してサファイアの名前が用いられているそうです。サファイア婚式にお祝いや感謝の気持ちを込めてパートナーにサファイアのアクセサリーを贈ったり、両親にサファイアをプレゼントしたりする人も増えています。


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4. まとめ

透き通るような青色が美しいサファイア。古くから不思議な力があると考えられており、神秘的な魅力も感じます。サファイアのジュエリーを身につければ、クールで知的な雰囲気を演出できるでしょう。

また、青色以外にもさまざまなカラーバリエーションがあり、自分にぴったりの好きな色を見つけられるのもサファイアの魅力のひとつです。この機会にぜひさまざまなカラーのサファイアをチェックし、あなただけのお気に入りのサファイアを探してみてはいかがでしょうか。


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この記事を書いた人

ほしあゆみ

TOP STOneRY / 編集部ライター

トップストーン編集部がお届けする「トップストーリー」メディアでは、古くから愛されている誕生石の歴史やエピソード、最新のレアストーンの特徴、宝石の楽しみ方をわかりやすく解説しています。「天然石の魅力をもっと多くの方に知ってもらいたい」という想いで、個性溢れるライターが情報発信しています。