2024/06/21

希少!知る人ぞ知るシンハライトの魅力と特徴を徹底的に解説します

シンハライトはレアストーンの一種として、コレクターを中心に注目されている石です。ブラジル産のブラジリアナイト・タンザニア産のタンザナイトと並んで「20世紀に発見された三大宝石」の一つでもあります。

流通量が多くないために、店頭や市場で見かける機会は多くはないかもしれません。まさに知る人ぞ知る、希少な石です。

この機会にシンハライトについて詳しくなり、レアストーンの世界に足を踏み入れてみませんか。

宝石・ルース、そして鉱物の面から、シンハライトの魅力を詳しく解説します。


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1. 宝石・ルースとしてのシンハライト

シンハライトの落ち着いたブラウンの輝きは、持つ人に上品な印象を与えます。多色性を引き出すために工夫されたカットが施されることも多く、手に持ってさまざまな角度から見てみたくなる魅力を持っています。

はじめに宝石品質のシンハライトについて、詳しく紹介します。

■高品質なシンハライトとは

クオリティの高いシンハライトを手に入れたい人は、次の4つのポイントに注目してください。

  • カラー
  • 透明度
  • インクルージョン、クラックの有無
  • カラット

カラーは鮮明なほど評価が上がります。また含有物や傷がなく、透明度が高い石が珍重されます。シンハライトの一般的なカラーは、無色(白)から灰色、灰色がかった青、淡黄色から濃褐色です。
高品質とされるのは人気の高い王道のブラウン系で、明るめで鮮やかな色ほど高品質と評価されます。明るいカラーのほうが良いとされるのは、シンハライトの特徴である多色性が際立ち宝石としての美しさが強調されるためです。

産地によってはピンク色に近いカラーを呈する場合もあります。

またシンハライトの結晶は、大きな塊にはなりません。そのため、カラットは大きいほうが価値があります。

■シンハライトの特徴

シンハライトの特徴は多色性と複屈折です。

【豆知識】多色性とは?
結晶の色が見る角度によってさまざまに見える光学現象です。偏光面と結晶軸、観察方向の位置関係によって生まれます。

【豆知識】複屈折とは?
光が物質を透過したとき、2つの光線に分かれる現象です。複屈折性の石を通して文字を見ると、輪郭が二重に見えます(ダブリング)。

シンハライトの多色性は「三色性」とも呼ばれます。淡褐色・緑がかった褐色・暗褐色の三色を呈することが理由です。

シンハライトのダブリングは強くはありません。はっきり見たい場合は、大きなカラットのシンハライトを探してみてください。大きなカラットのシンハライトなら、ファセットカットのエッジが二重に見えるかもしれません。

■シンハライトの魅力

シンハライトはタンザナイトブラジリアナイトとともに「20世紀に発見された三大宝石」とされます。

しかしタンザナイトほどは流通しておらず、希少性が高めです。一方でブラジリアナイトよりは価格が手頃です。

シンハライトは希少性とコスパの良さのバランスがとれた、コレクター向きの石といえるでしょう。

シンハライトは結晶が小さく、石のロスを減らすために不規則なファセットカットが施される場合があります。また上品さとシャープさとを併せ持つステップカットが施されたシンハライトは、透明感をより強く感じられます。

好みにあった、たった一つの石を手に入れる楽しみがあるのもシンハライトの魅力です。

■シンハライトにまつわる逸話

シンハライトは長年、ブラウン色をしたペリドットだと思われてきました。20世紀初頭にはルースに加工され流通していましたが、シンハライトがペリドットとはっきり区別されたのは1950年ごろのことです。

シンハライトをペリドットから独立させ、新しい鉱物として発見したのはアメリカ国立博物館のGeorge Switzer(ジョージ・シュウィッツァー)博士です。博士は詳しいX線検査を行い、シンハライトとペリドットは別の鉱物だと仮説を立てます。

その後、イギリス・自然史博物館でより詳しい検査が行われ、この鉱物にはペリドットにかならず含まれるケイ酸分がないことを突き止めました。またアルミニウム(Al)とマグネシウム(Mg)を含む事実も発見しています。

こうしてペリドットに似た褐色の宝石は、1951年からようやく「シンハライト」として新たな息吹きを与えられたのです。

実はGeorge Switzer博士がシンハライトを“発見”するより以前に、イギリス宝石学協会のC.J.Payne博士もシンハライトの独自性に気づいていました。

博士が疑問に思ったのは、ペリドットは産地がどこであろうとも光学性が正(Positive)を示すのに、褐色のその宝石だけは負(Negative)の光学性を示す点でした。

ところが、この博士の疑問は放置されてしまいました。そのため、シンハライトの発見は1950年までくだります。

* * * *

まさに、疑問は発見の母。私たちも日頃感じる素朴な疑問を突き詰めると、新しい宝石を発見できるかもしれませんね。

■シンハライトの名前の由来

シンハライトの名前は、サンスクリット語でスリランカを意味する「Sinhala(シンハラ)」に、石をあらわす「lite(ライト)」がついてできました。

スリランカの古名は「セイロン」といい、Sinhala(シンハラ)はサンスクリット語でセイロンを意味します。

シンハライトはスリランカで採れることにちなみ、「スリランカの石」との意味をこめてこの名前がついたといわれています。

■シンハライトの産地

宝石品質のシンハライトはスリランカやミャンマー、タンザニアで産出します。タンザニアでは、クロムを含んで淡いピンク色から茶色がかったピンク色を呈するシンハライトも見つかっています。

ただしシンハライトは、名前の由来にもなっているスリランカ品質がスタンダードです。スリランカで採れるのはブラウン系であり、シンハライトはピンク系よりブラウン系のほうが評価される傾向にあります。

2. 鉱物・原石としてのシンハライト

シンハライトは鉱物的視点からみても、とても興味深い石です。組成や鉱物としての特徴を見ていきましょう。

■組成について

シンハライトの組成情報は、以下のとおりです。

英名(カタカナ) Sinhalite(シンハライト)
和名 シンハラ石
成分 MgAlBO4
結晶系 直方晶系(斜方晶系)
硬度 6.5
屈折率 1.67~1.71
劈開 なし
ブラウン、イエロー、グリーン、ピンク、オレンジなど
産地 スリランカ、ミャンマー、タンザニアなど

シンハライトがブラウンペリドットと混同されてきた歴史は、組成情報を比較するとやむを得ないと思えるかもしれません。

シンハライト ペリドット
成分 MgAlBO4 (Mg, Fe2+2[SiO4]
結晶系 直方晶系(斜方晶系) 直方晶系(斜方晶系)
硬度 6.5 6.5~7
比重 3.48~3.50 3.27~4.32
屈折率 1.67~1.71 1.64~1.88
劈開 なし 弱-不完全
複屈折 あり あり

結晶系も硬度も、屈折率も、さらに劈開もほぼ同じ数値を示します。複屈折があるところまで同じです。

ペリドットは含まれる成分の偏りによって、表出する色合いが変わります。

  • フォルステライト(Mg2[SiO4]・マグネシア橄欖石)寄り→黄緑色から緑色に
  • ファヤライト(Fe2+2[SiO4]・鉄橄欖石)寄り→褐色から黒色に

ペリドットにはシンハライトに近いカラーが存在してしまったため、一般の専門家がシンハライトを「ファヤライト成分が多いペリドット」と考えたのもやむを得ないことです。

しかしシンハライトとペリドットは、厳密に観察すると二軸性の複屈折率や光学特性が変わります。1950年6月に、アメリカ国立博物館のGeorge Switzer博士がようやく研究を始め、シンハライトがペリドットとは別の鉱物だと突き止めた、というストーリーに行きつきます。

ちなみにシンハライトとブラウンペリドットでは、ブラウンペリドットのほうがより希少性が高いとされています。

■原石の形状

シンハライトは石灰岩と花崗岩との接触部に形成された、ホウ素が豊富なスカルンの中に生成します。

【豆知識】スカルンとは?
石灰岩などの炭酸塩岩中に火山活動によるマグマが入り込んだとき、接触部周辺にできる鉱物の集合体をスカルンといいます。接触変成岩の一種で、カルシウムや鉄、マグネシウム、アルミニウムなどを豊富に含むケイ酸塩鉱物(スカルン鉱物)が生成されます。
スカルン鉱物は生成過程も規模も、成分もさまざまです。そのため原石の形状は一定ではありません。

シンハライトは漂砂鉱床にて、小石・礫状で採取されます。河を放浪してきたシンハライトの原石は、水や砂礫によって自然に表面が削られ、短柱状になっています。

■鉱物としてのシンハライト

宝石として流通するシンハライトは、インクルージョンがない方が好まれます。

しかし鉱物標本として考えたときには「内包物は石の個性」と感じる人も多いのではないでしょうか。

シンハライトはまれに、インクルージョンのある石も産出します。シンハライトのインクルージョンはさまざまで、多色性や複屈折という特徴とあわせて見ると唯一無二の魅力となるでしょう。

<シンハライトのインクルージョン>

  • 液膜
  • 針状
  • 管状包有物 など

3. シンハライトをより楽しむために

宝石品質の石が多くないこともあり、シンハライトはおもにコレクター向けにカットされ流通しています。
ブラウン系の落ち着いた色味も、ジュエリー向けではないと思われるのかもしれません。

しかしシンハライトは、ガラス光沢と透明度が美しく、日本人の肌色にも馴染みやすい輝きを持っています。誰も身につけていないからこそ、自分だけのきらめきを装いに取り入れてみてはいかがでしょうか。

もっと気軽にシンハライトを楽しむヒントを紹介します。

■シンハライトが持つパワー

シンハライトは頭脳を明晰にし、意志と心を強くし前進させるパワーを持つといわれます。明るい未来に踏み出したい人、自立して自分らしく生きたい人にぴったりです。

■シンハライトの加工について

シンハライトは希少性ゆえに、ビーズにはほとんど加工されません。一粒ごとルースになり、流通しています。

明るいブラウンから褐色、濃茶までさまざまなカラーがあるため、肌の色にあう石を見つけてみてください。小さな一粒石のピアスやリングに仕立てると、シンハライトの控えめなきらめきを存分に活かせます。

シンハライトは硬度が6.5で、日常使いにも十分耐える強さを持っています。


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4. まとめ

「20世紀に発見された三大宝石」のひとつであり、希少性からコレクターを中心に人気があるシンハライト。
一見、ブラウンの地味な宝石ですが、よく見るとオレンジやグリーンが感じられます。複雑な色合いは他の宝石にはあまりない魅力です。複屈折性や多色性も、見る人の視線を引き込んでやみません。

シンハライトは、一般の宝石店やネットショップではほとんどみられません。
TOP STONE オンラインショップではスリランカ産の高品質なシンハライトを独自の流通ルートから仕入れています。

レアストーン愛好家のみならずとも手元に置きたくなる輝きを、ぜひチェックしてみてください。


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この記事を書いた人

みゆな

TOP STOneRY / 編集部ライター

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